インタビュー

岩田 敦之先生/審美眼を磨き、メッセージ力を高めるデザイン術

岩田 敦之(いわたあつゆき)先生
西日本工業大学 デザイン学部情報デザイン学科 講師
1978年大分市出身。九州産業大学芸術学部デザイン学科卒。23歳でCG制作会社を立ち上げ、TVCMや番組オープニングタイトルの制作等に携わる。2007年、西日本工業大学情報デザイン学科助手として赴任し、2009年より現職。「北九州市制50周年記念3Dプロジェクションマッピング」などを手がけたクリエイターでもある。専門分野はグラフィックデザインおよび映像表現で、これらを融合させた情報伝達やメディア活用の研究に取り組んでいる。

ビジュアルコミュニケーションデザイン
審美眼を磨き、メッセージ力を高めるデザイン術

毎年100万人以上が訪れ、大混雑する「関門海峡花火大会」で昨年、日本初の試みが実施された。人の流れや滞留をリアルタイムで把握しながら、最適な誘導案内やエリアマップ情報を建造物に映し出す「ガイドプロジェクション」。数百メートル先からも視認できたこれらの情報は、来場者の安全な移動に大きな効果をあげた。岩田先生は、このプロジェクトを率いた仕掛人。情報を平面で伝えるグラフィックデザイン技術を、映像や空間も駆使して応用する「ビジュアルコミュニケーションデザイン」の専門家だ。

デザインの考え方を知り、自らの基軸を立てる

「視覚的に情報を伝達するデザイン」。そう聞くと、デザイナーや広報系など一部の人しか関係ない分野、と感じるかもしれない。けれどもデザインとは、色を選ぶ、形を整えるといった見た目だけの話ではなく、生活や人生すべてに関わってくる考え方だと岩田先生は語る。「デザインとは、ある問題を解決するための思考や概念を組み立て、それを様々な形に落とし込む一連の作業のことです」。たとえば、あなたが今着ている服や使っている家具は、どんな基準で選んだものだろう。

「ブランド品だから」「安いから」。そんな単純な選び方も悪くはないが、世の中の物はすべて、誰かがデザインしたもの。良いデザインには、人や環境が物理的に、生理的に、心理的にどう反応し、変化するかなど、あらゆる方面からの配慮があるという。「こういったデザインの基本を知ると、判断基準が明確になり、自分にとって本当に必要なものが分かります。生活もよりシンプルに、洗練されていきますよ」。

デザインは何も衣服や工業製品に限ったことではない。「都市デザイン」や「キャリアデザイン」「生活デザイン」など、街のあり方や人生の行動指針も、すべてはデザインされているといえる。岩田先生のゼミでは、そんなデザインの可能性と奥深さを垣間見ることができるはずだ。

デザインと情報技術を統合すれば、可能性は無限大

インターネットの普及に伴い、iPadで電子書籍を読み、SNSに写真をアップし、ブログで自分の考えや作品を発表する日常が普通になった。より見やすく、分かりやすく伝えるというグラフィックデザインの技術も、印刷の世界を飛び出して、活用の場が果てしなく広がっている。

「ごちゃごちゃと物が溢れた部屋に素敵な何かを置いても、どこにあるかも分からず目立ちません。しかし、真っ白な空間にポンと一つだけ置いたらどうでしょう。これが、情報をビジュアル的に伝えるということ。メッセージの要点を絞る。優先順位をつけて順番に見せていく。こういった知識は、日常のあらゆる場面に生きてきます」。

様々なメディアや技術を駆使すれば、誰もが発信者になり、クリエイターになれる時代。だからこそ、今回のゼミは刺激に満ちたものになるだろう。最新技術を駆使した豊富な事例とともに、岩田ワールドの魅力にご期待あれ。

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