子どもの教育を考える|生きる力の土台となるのは、耐性と体力。「いまのままの自分」でいいのか?!
今月は、教育学が専門の大島まな先生にお話をうかがった。
授業中に立って歩いたり、おしゃべりしたり。全国の小・中学校で学級崩壊とも言える現象が起きている。「教育は、現状に満足しないで“もっとこうなりたい”といまの自分を否定するところから成長がある。なのに、いまのままの君でいいよ、という風潮。教育的な観点からみると違う。子どもも“もっとこうなりたい”と思っているはず」。「人間が社会的動物である限りがまんする力が必要」と大島先生は力説する。土台となるは「耐性と体力」。その土台の上に学力がついてくるという。
研究者として駆け出しの30数年前、青少年キャンプに参加した。当時も子どもたちは生きる力を育む体験が乏しく、キャンプで補完しようというプログラムだった。そこで劇的に変化する子どもたちを目の当たりにした。そんな体験プログラムを日常的にできないかと、3年前、学童保育の先生と組んで、1年間提供した。体を動かしたり、朗唱したり、障がいのある子もみんなで一緒に外で遊ぶことを意図的に仕掛けてデータを取ると大きな変化があった。次の年から研究としては離れたが先生たちが続けてくれている。
家庭の教育力低下を「女性が外で働いているからだ」と母親のせいにする人たちがいる。今後、放課後に保護者がいない家庭が主流になる。本来、家庭が担っていた教育を別のところが担う必要がある。「子育て支援はお母さんの生き方支援だと思うんです」と大島先生。今回のゼミは、現代の子どもの教育について考える時間です。
九州女子大学 人間科学部 教授
大島 まな先生
北九州市生まれ。1985~86年、トロント大学大学院に文部省奨学生として留学。88年に九州大学大学院博士課程を修了し、九州大学教育学部社会教育学講座助手。5年間の福井県での専業主婦生活を経て、95年から九州女子大学・短期大学教員。福岡県社会教育委員、北九州市男女共同参画審議会会長。