
スタートアップ企業やベンチャー企業、新しい時代を創造する企業が福岡にも続々と生まれている。ITの世界は軽々と国境を越える。地元福岡は、どんな企業があって、どんなサービスをしているのか、その中からユニコーン企業(巨額の利益を生む可能性のあるレアな価値のある企業)は生まれるのか。
今月から、福岡のベンチャー企業を、弊社社長村山が訪問し、ご紹介します。
第一回目は、福岡のIT企業の老舗、WEBコンサルティングの「株式会社ペンシル」です。
2代目社長は、キモのすわったファンシー女性
2000年ITバブル華やかりし頃、福岡にもIT企業が続々と誕生した。その頃、渋谷ビッドバレーよりも先に、福岡のIT企業の交流セミナー「D2K」を開催し、長くネットワーキングを続けてきたのがペンシルの会長覚田義明さんだ。消えていった企業も多々あるなか、強烈な個性で福岡のIT企業を牽引してきた。
そんなペンシルも1995年の創業から8年ほどは、年商2億円台の小さな会社だった。2004年に前年比約2倍、以来、順調に売上を伸ばし、いまでは社員数130名、20億円を越える企業に成長した。特徴的なのは、スタッフの男女比が5:5と女性率が高いこと。また、昨年、38歳の若き女性が2代目社長に就任し、新風を吹き起こしている。
倉橋美佳社長が入社した13年前は社員数も20人程度だったという。入社3年目27歳で通販部門のマネージャーに抜擢される。
「3人くらいの小さな部署だったのですが、10年弱で部署単体で売上が20倍になりました」とさらりと言ってのける。ブレイクスルーは、ライオンのコンサルを担当したこと。通販サイトをオープンして3年が経過したライオンと、東京で開催したセミナーをきっかけにコンサルティング契約がスタート。1年で売上10倍、2年目も10倍、6年間で1500倍の売上になったという。
続々と東京の大手クライアントの仕事が入るようになり、部署の売上も会社の売上もうなぎのぼり。創業者の覚田さんが「次の社長はこの人だから」と内外にふれまわっていたのもうなずける。成功を支えるのは、2005年から自社開発を続ける戦略的WEB分析ツール「スマートチーター」だ。常にアップグレードして顧客のニーズに応えている。
東京へ、海外へ、社員の都合で増殖する会社
売上の8割は東京で稼ぐ。
東京オフィスの開設は、会社の戦略というより、「社員が ”東京で仕事がしたい“と辞めようとしたので東京にオフィスをつくって勤務してもらった」という。昨年開設した海外拠点の台湾も、台湾好きの女性社員の留学がきっかけのひとつで開設。社員の都合で会社が増殖するおもしろい会社だ。海外進出がどう進展していくか、2代目社長の手腕に期待が高まる。
もともと採用・昇進に男女の区別なく、女性社員が多いペンシルだが、最近、本格的にダイバーシティ経営に力を入れ始めた。育休取得、時短勤務、再入社制度、人事担当はフランス人、LGBTのスタッフをカウンセラーで採用と、多様性を受け入れ、包括する社風をつくりあげており、福岡のダイバーシティ経営を牽引する企業としても目が離せない。

月に1回の「社食」。部署ごとに月替わりで料理をつくり、全社で食事をするコミュニケーションの場。

ファンシーなアーチの向こうは、夢の国?

パソコンを持って立って仕事をする人のためのスペース。デコレーションも自分たちで。

社内のいたるところに遊び心満載。

クライアント企業の商品が所狭しと展示された一角。
村山取材メモ
11期連続黒字、伸び続けるヒミツはココ!
◎多様な人材の活躍と多様な働き方の実現
◎徹底した分析と研究開発に基づいたコンサルティング
◎WEBの成功ノウハウを体系化した「成功シート」
◎クライアントへの強い愛情

創業者&取締役会長
覚田 義明さん
倉橋が社長に就任してから、ビジネスのスピードが上がり、グローバル事業もどんどん進んでいます。どんなペンシルに進化を遂げていくのか、私も楽しみです。

代表取締役社長
倉橋 美佳さん
クライアントに、そして世界にワクワクを届け続けることができる、”好奇心”を”カタチ”にする”行動力”を持った集団を目指します!
株式会社ペンシル[http://www.pencil.co.jp/]
●経営理念/インターネットの力で世界のビジネスを革新する。そのために、常にWEB業界のトップであり続ける。
●創業/1995年
●代表取締役社長/倉橋美佳
●売上高/21億円(2016年)
●資本金/5200万円
●社員数/130名
●社員構成/男:女=5:5
●女性管理職率/32.3%
●平均年齢/35歳
●拠点/福岡、東京、台湾、サンフランシスコ