コラム

投資に役立つ豆知識 72の法則

皆さんは、「72の法則」をご存知でしょうか?この「72の法則」とは資産運用をする際に、金利の複利効果により元本を2倍にする場合の投資期間を求めるための法則です。

 

72の法則・公式

「年利率」×「運用期間」=72

 

 

【具体的に計算してみましょう】

「運用期間が5年の場合」

「年利率?%」×「運用期間5年」=72に当てはめて計算します。答えは、72÷5=14.4となりますね。従って、運用期間が5年の場合、年利率14.4%で5年間毎年続けて運用すれば、当初の元本を運用して倍にすることができます。

 

では、運用期間がもっと長くなるとどうなるでしょうか。

「運用期間が20年の場合」

「年利率?%」×「運用期間20年」=72となりますので、答えは、72÷20=3.6となり、3.6%複利で運用すればよいということが分かります。

 

いかがでしょうか。運用期間が20年と少し期間が長くなりますが、年利率3.6%で運用していくことなら、実現性が高そうですね。

 

【運用対象を探しましょう】

最近では、2017年の株式市場は世界的に上昇トレンドがはっきりしていましたが、それでも年間上昇率は15%程度でした。

15%の年利率が毎年成果として出せれば、72の法則に当てはめれば、「年利率15%」×「運用期間?年」=72で、答えは、72÷15=4.8となりほぼ5年で運用元本を2倍にできます。しかし、株価は、上下動が激しく、毎年継続的に15%の運用ができるかは見通せません。例えば、昨年2018年の株価の動きは年初こそ上昇したものの、後半は上昇した分を下げてしまいました。やはり年利率15%の運用を5年間続けることは容易ではありません。

では年利率3.6%の運用はどうでしょうか。円金利は短期も長期もゼロですので、無理ですが、通貨を変えれば、例えば米ドル建てであれば、長期の債券や保険で、年利率3.6%の運用を見通すことが可能です(信用リスクなどは残るため、絶対ではありません)。

 

【債券運用】

債券は、ご存知の通り、満期までの期間と年利率が決まっている商品です。

しかし、個人が購入するためには、まとまった資金が必要となります。

米ドル建てや他通貨建てでしたら、年利率3.6%の達成は見通せますが、まとまった投資資金を用意するのが大変です。しかし、今からでも遅くありませんので、まずは投資資金を貯める、もしくは今ある資金で運用を始めてみるのがいいでしょう。香港では、米ドル建てで、期間が15年から20年の債券なら、投資適格債券でも、4.0%台の利回りのものでも、手に入れることが可能です。

 

【保険運用】

長期運用を確実にするために、保険商品があります。一例ですが香港では、予定積立利回りが、年利4.00%から4.50%程度で運用できる好利回りの保険商品を購入することが可能です。皆さんは、保険で資産を運用すると聞くと驚かれるかもしれません。日本では、保険というと死亡保険を連想される方がほとんどですが、かつては運用型の貯蓄保険や年金保険も販売されていました。しかし日本円の金利が低下し、運用ができない環境では、そうした保険を販売しても保険会社は逆ざやになり、収益になりません。そこでこうした保険を「売り止め」てしまったのです。

 

ただし、気をつけていただきたいのは、日本人は、日本に居住していると日本国外の保険会社を引受会社とする保険を購入することが出来ないということです(保険業法186条2項8※)。逆に言えば、日本国外に駐在や居住している間は、この規定が適用されません。なお、この規定は購入時のみを制限するもので、日本に帰国した後、契約が無効になることはありません。海外での保険購入は、日本国外に居住している間のメリットです。急激に円高が進めば円貨換算すると元本割れを起こすというリスクや為替手数料などを考慮しても、長期にわたって運用し元本を大きく殖やしておけば、その分為替の変動に耐えることも出来るでしょう。

 

債券と保険は、それぞれの魅力があり、どちらも長期の資産運用という点でとても優れています。

 

今回は「72の法則」を資産運用の考え方のヒントに取り上げました。現在の年齢から年金が必要となる年齢まで、あと何年あるか計算をして、自分のためにどれくらいの運用期間が確保できるか、年間どれくらいの利回りで運用すれば安心した老後が過ごせるか考えてみましょう。時間を見方にすることは、皆さん平等に出来ます。是非、こつこつと運用することを始めてみてはいかがですか?

 

 

※日本に支店等を設けない外国保険業者に対して日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、当該申込みを行う時までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

ABOUT ME
長谷川建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス)CIO。 京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンク日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に移り、マーケティング責任者として活躍。2009年からはアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク/日本ウェルス)を創業し、COOに就任。2017年3月よりCIOを務める。 >>長谷川建一氏登壇のセミナー:https://gentosha-go.com/articles/-/13973
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