コラム

分散投資の意味と手法

投資というと、すぐにリスクと結びつけて考える方もいらっしゃると思います。そういう方は、「エイや!」と勢いで投資してしまう人よりも、実は投資に向いています。確かに、投資には何らかのリスクがついてきます。そこで、大切なことは、投資に関わる「リスク」とどう付き合っていくか、どう最小限にするかということなのです。これが、すなわち「リスクマネージメント」なのです。

 

アラブの旅人から学ぶ分散方法

その昔、アラブの砂漠を旅する人たちは、食料として重要な「卵」を運ぶ時には必ず、複数のかごに分けて、別々のラクダに積んで運んだそうです。ひとつのかごにすべての卵を盛って運んでいて、もしそのかごを落としてしまったら、すべての卵が割れてしまいます。そうすると食料がなくなり旅を続けられません。この「ひとつのかごに全ての卵を盛るな」という格言は、投資でも重要なこととして知られています。

 

『資産分散投資』と『時間分散投資』

資産の分散

投資には、いろいろな投資対象があります。一つに集中させてしまうと、値上がりすれば利益が得られますが、値下がりすれば損失をこうむります。最悪の場合、ゼロになることもありえます。前述のラクダに積む卵の話と同じですね。

投資でも投資対象をいろいろな種類に分けて投資をするということが重要です。それがリスクをマネージする方法なのです。

これが『資産分散投資』にほかなりません。投資する資金を複数の投資対象(相場や価格の動きの異なる種類の商品や銘柄)に分散させることでリスクを軽減させるのです。

時間の分散

相場に入るタイミングを分けて投資していくことで全体としてのリスクを軽減させる方法です。投資対象となる相場ものは、価格変動します。いつが高値か安値かを当てることは、プロでも難しいです。もし、投資する全額を一度に投資して、それが安値だったら嬉しいのですが、高値だったら運用はずっと苦しいものになります。

そこで、購入するタイミングを分けます。そうすれば買い付け価格が平均化され、大きく損を出さなくて済みます。これは『時間分散』手法と言われます。

時間の分散は他にも、一度の投資金額の大きさを小さく出来るというメリットや、投資をする期間が長くなるので、自然と長期投資のスタンスが身につき、世界経済や世界情勢、政治などに興味が湧くようになり、結果的に知識が増えて、投資上手になるというメリットもあります。

このように、分散投資は、リスクマネージメントの重要な手法であり、投資で成功する最も重要な鍵なのです。

 

当初のシミュレーションをしてみよう

分散投資の重要性を理解いただいたところで、では、実際に投資を始めることをシミュレーションしてみましょう。投資対象となる金融資産は、株、債券、他には不動産やコモディティ (貴金属や穀物、エネルギーなど) があります (株や債券の解説は過去のコラムを再読ください) 。

しかし、一口に株や債券といっても、発行している会社や地域・国によってリスクやリターン (利回り) が異なります。例えば、債券といっても、先進国債券 (アメリカや欧州など) と新興国債券 (アジアの国など) ではリスク・リターンが異なります。

 

株式は債券より、リスクもリターンも高い投資対象です。一般に、債券と比べると値動きも大きいという特徴があります。また新興国株式は、先進国株式よりも値動きが大きい傾向にあります。新興国の市場は、その国の政策や市場環境で一変する可能性もありますし、政治的なリスクも大きく、また相対的に市場の規模が小さいことも、変動幅が大きくなる理由です。

 

アジアの国は成長率が、相対的に高いことを背景に、リーマンショック以降の株式の上昇率は、高くなっています。従って、株や債券への分散に加えて、先進国と新興国に分け、特にアジアを含めることも意識して分散投資することで、リスクは分散しながら、期待リターンを高めるように投資していくことをお勧めします。

 

銘柄選びに困ったら・・・

株式や債券を買うのは、実は少し骨が折れます。何を買ったらいいか、銘柄が多すぎるのです。そんな方には、ファンド (投資信託) をお勧めします。ファンドは、プロのファンドマネージャーにお金を預けて、先進国の株式や債券といった括りで、特定の種類のものだけに投資し、そのリターンを分配する仕組みです。もちろん、ファンドマネージャーに払う報酬はかかりますが、それも、あらかじめ何%と決められています。従って、先進国株式、アジア株式、先進国債券、アジア債券に集中して投資するファンドに、分散投資をすれば、これで初期のポートフォリオは概ね出来上がります。

 

異なる価格の動きを性格上持つものを組み合わせることは、変動 (特に価格のダウンサイド) に対する耐性を高めます。実は、不動産も、株や債券とは異なる動きをする投資対象です。不動産は、世界の景気循環にはある程度リンクしますし、循環的な動きはありますが、不動産市場の好不況によりリスク・リターンが変動します。質の高い不動産は、長期的には安定的に上昇傾向にあります。更に、貴金属やエネルギー、農産物といったコモディティも、それらへの需給によって価格変動が起こります。投資に慣れてきたら、こういった投資対象も検討し、分散投資の対象に入れていくことも、視野に入れてください。

ABOUT ME
長谷川建一
長谷川建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス)CIO。 京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンク日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に移り、マーケティング責任者として活躍。2009年からはアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク/日本ウェルス)を創業し、COOに就任。2017年3月よりCIOを務める。 >>長谷川建一氏登壇のセミナー:https://gentosha-go.com/articles/-/13973
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