株式会社フロイデギズモ設立披露パーティにおいて、社会学者の上野千鶴子さんの講演が行われました。
上野千鶴子さんとは
上野千鶴子(うえの ちづこ)さんは、日本のフェミニスト、社会学者。専攻は、家族社会学、ジェンダー論、女性学。東京大学名誉教授。
NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。日本社会学会理事。シューレ大学アドバイザー、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」共同代表を務める。
著書に「家父長制と資本制」「おひとりさまの老後」「時局発言!」など多数。
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2019年4月、東京大学の入学式の上野千鶴子さんの祝辞は、動画や全文がネットを駆け巡りました。いままで、ジェンダーも女性学も興味がなかった女性たちにも衝撃を与え、大きな話題となりました。
上野千鶴子さんの講演「ノイズこそ、情報生産性の源泉」
講演のテーマは「ノイズこそ、情報生産性の源泉」。
講演のスタートは大学の使命、学問の定義からでした。
大学の使命、学問の定義
上野千鶴子さんが長年関わられている「教育」。
そのなかで大学の使命とは何でしょうか。
上野千鶴子さんはこう語ります。
「大学の使命は教育付加価値をつけること」
そして
「まだ誰も見たことのない知を生み出すこと」
だと。
そして、それを導き出す学問について、こう語ります。
「学問とは何か。それは経験を言語化することです。学問とは伝達可能な知、そして知の公共財です」
そして、学問というバックグラウンドがあってから、オリジナリティが生まれます。
「オリジナリティとは違和感である」
そう上野千鶴子さんは語ります。
オリジナリティとは違和感
「情報はノイズから生まれます。だからこそ、ノイズの発生装置をつくりましょう!」
そして、ノイズの発生装置の一つとして、大きなインパクトがあるのが「女性」です。
女性はこのような特徴があります。
- 言語習得コストがない
- 高学歴で優秀
- 文化や慣習に習熟している
- マルチタスクをこなせる
- 子育てには200万年の時差がある
女性が活躍することで、ノイズが生まれ、情報生産されます。ノイズこそ情報生産性の源泉なのです。
上野千鶴子さんがフェミニストになったきっかけ
![](https://e-avanti.denhomejp.mixh.jp/avantionline/wp-content/uploads/2020/02/IMG_2120.jpg)
その後に続く、上野千鶴子さんと元アヴァンティ代表でフロイデギズモ編集長の村山由香里さんとの対談では上野千鶴子さん自身のノイズ、フェミニストになったきっかけについて語られました。
上野千鶴子さんがフェミニストになったきっかけは学生時代。
当時、学生運動が活発ななか、その真っただ中にいた上野千鶴子さん。
同じく学生運動している同志である男性からは、おにぎりをつくる仕事といったまかない婦のような扱い。また女性ということでの差別。女性蔑視。
仲間なはずの同志からの差別、裏切りがモチベーションの源泉。極めて「私怨」の動機だそうです。
その後、上野千鶴子さんは理論社会学の研究へと進み、女性学を研究しはじめ、第一人者となりました。上野千鶴子さんが研究し始めたころは女性学はほとんど知られておらず、独学が中心だったそうです。
そういう上野千鶴子さんはこれまで激動の時代、変化を目の当たりにして、そしてこれからが楽しみだと語ります。
かつては平然とセクハラが許容されてきた時代から、許容されない社会へと変化。
また、男性の育児・家事参画が進み、男性側も「妻にも働いてもらわないと困る」といった意識変化があり、女性側の自然な平等感覚“男が偉いとはこれっぽっちも思っていない”が芽生えています。
かつてから今まで、女性に対する価値観は変化してきました。
ただ、実際には現代でも変わらない実情があります。たとえば、東京大学入学者のうち、女性はたった2割。
変化してはいるものの、まだ十分とはいえないのが現実。
上野千鶴子さんは今後も社会変革へと邁進されるようです。
(竹内正浩:でんホーム株式会社 取締役・家づくりメディアDENHOME編集長)