佐々木 かをり(ささき かをり)さん
国際女性ビジネス会議実行委員会委員長
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長
Profile/フリーランスの通訳を経て、1987年に、70言語対応の通訳・翻訳などを行うコンサルティング会社、『株式会社ユニカルインターナショナル』を設立。1996年より毎夏「国際女性ビジネス会議」を開催。2000年、『株式会社イー・ウーマン』を設立。「ニュースステーション」リポーター、政府審議会委員、大手企業の社外役員、および多数の財団、法人の理事、経営諮問委員などを歴任。
自己ベストを更新すれば、次のステージが現れる。
国際女性ビジネス会議の実行委員長の佐々木かをりさん。『株式会社イー・ウーマン』の代表取締役であり、「ニュースステーション」レポーターなどを務めたことでも知られる、多くの女性の憧れの存在だ。
その瞬間、ベストを尽くす
上智大学外国語学部比較文化学科卒業後、イベント会社に入社した佐々木さん。1年が経ったころ、留学経験や語学力を生かして、翻訳の仕事でフリーランスに。雑誌社やレコード会社からの依頼で、外国人ミュージシャンの来日時の通訳を多く担当。「私は帰国子女ではないし、私よりも通訳技術がある人は沢山いた」というが、仕事は増えていく一方だった。
そんな中、取引先から法人化を打診され、起業を考えた。「その時、改めて『何故、私に仕事をくれるんだろう』と、真剣に考えました。翻訳や通訳は橋渡し役。単純に訳すだけではなく、メッセージを伝えることやコンサルティング的な役割もある。そこが私に求められているのだと気づいたんです」。
それがそのまま会社のコンセプトとなり、27歳の時に、国際コミュニケーションのコンサルティング業務を目的とした『株式会社ユニカルインターナショナル』を設立。
ちょうど同じ時期に、取引先である雑誌社の編集者から、「ニュースステーション」の関係者を紹介され「通訳の仕事につながれば」と訪れたテレビ局のスタジオで、レポーターの抜き打ちオーディションが行われ、後日「合格しました」と連絡を受ける。
「オーディションを受けたつもりなんて全くなくて。でも、番組側が『私に』って言ってくださるならやってみようと思ったんです」。
起業する、レポーターになる、という目標を設定し、達成してきたわけではない。「遠い未来よりも、今、この瞬間にベストを尽くして、毎日、自己最高記録を更新することが大切」という佐々木さんの生き方が、輝きを生み、求心力となり、やがて期が熟すと、必然的に次のステージが用意されている。
「講演などでも話すのですが、役職への抜擢など、チャンスがきたときに『やったことがない』と臆病にならずに、引受けたほうがいいと思うんです。そこから、新しい世界が広がるのだから」。
佐々木さん自身、レポーター時代に学んだことは多いという。「世界中で、人権を奪われ、貧困に苦しむ人々の姿を多く見てきました。難民の母親から『この子をあげるわ』と子どもを託されそうになったこともあります。日本へ戻る度に『日本はなんて豊かな国なんだろう』と実感しました。そして『大きな役割を果たしたい』と考えるようになりました」。
女性がつながれば、大きな力になる
27歳からの挑戦で生まれた新たな思いを実現するために、96年からスタートした国際女性ビジネス会議も17回を数えた。01年には、『株式会社イー・ウーマン』を起業し、志の高い女性たちの声を発信するサイト『イー・ウーマン』を開設し、日本中の女性たちとつながり、意見交換を行っている。3月には九州で、国際女性ビジネス会議が開催される予定だ。
「これまでの国際女性ビジネス会議は参加者満足度98%。これからは、それをもっと発信し、海外ともつながり、世界を変える大きな1つの力にしていきたいですね」。