記念すべき20周年を迎える今年のトークライブ。
国内外および福岡で活躍するゲストを迎えた会場には、「自分らしく生きるヒントを見つけたい」「一歩踏み出す勇気が欲しい」と多くの聴衆が集まった。ゲストの話をそれぞれが胸に受け止め、会場は熱気に包まれた。
基調講演
▲ 安岡 美佳さん(北欧研究所 主宰)
軸を持つ国デンマーク。常識に左右されない生き方を!
私のデンマーク生活は「常識は、一歩その場所を出れば常識ではない」と実感することの連続。だから、常識に左右されるのではなく、何を大切にするのかの軸を持つこと。デンマークはそんな軸を持ったたくさんの女性・男性が作ってきた国であり、軸を持つような教育をしている国だと考えています。
軸のなかで大切にしているのは一般的に弱者と呼ばれている人たちのサポート。医療や教育は無料で、失業者に対する就業訓練と資格取得制度が整っています。保育や家事、育児を社会が支えるので女性が働く割合は70%と高く、男性だけが頑張って働かなくていい。ただし税金は実質70%と高く、働いても手元に残らないのでほどほどに働こう、そのぶん家族との時間を大切にしようという暮らしぶりです。
ぜひ考えていただきたいことがあります。これからどう生きたいのか。いま日本政府や企業は「女性の労働」をうたっていますが、60年代のデンマーク政府も同じでした。日本ではまだ個人が声をあげていない気がします。女性が幸せになれば、男性も幸せになり、ひいては日本の国も幸せにつながると思います。
▲ 中澤 優子さん(株式会社UPQ 代表取締役)
ものづくりのワクワクを伝えたい。
大好きな携帯を作りたくて就職した会社は、入社5年目で携帯部門からまさかの撤退。技術者にとって苦しい時代に突入していきました。
アプリで多機能になるiPhoneの登場で、ハードよりソフト(アプリ)が重要なのだという技術者もいました。ですが、眼鏡ひとつ取っても人は道具に愛着を持つもの。ハードにはハードの魅力があります。「次は一体何が出てくるんだろう」とワクワクさせる面白いものを作って売って、また面白いものを作ってと循環させるのが、ものづくりだと思っています。
2014年終わりごろからIoT(Internet of Things)が出てきました。ハードウェア開発者のためのコワーキングスペースや、ベンチャー企業に対する流通面のサポートなど、ものづくりに光が当たりだしつつあります。生産拠点を自前で持たなくても世界中の工場に発注することが可能で、大量生産でなくても採算が取れるものづくりができる時代だから、わたしにもものづくりができたのです。
何より伝えたいことは、まず動いてみること。アイディアを一回形にしてみることが大切だと思います。
トークセッション① 「女性活躍・ダイバーシティ」
▲ 左から、木瀬 照雄さん(TOTO株式会社 相談役)、副島三記子さん(株式会社資生堂 執行役員 美容統括本部長)、村山由香里(ファシリテーター 株式会社アヴァンティ 代表取締役社長)
女性活躍の鍵は、女性の視点・感性を活かすこと。
10年以上前、TOTOの女性活躍推進の仕掛人となったのは、当時社長だった木瀬さん。「なぜ女性活躍をすすめたのでしょうか」と興味津々のアヴァンティの村山。「社長就任時、日本の景気も悪くて。だから強く明るく美しい会社にしたいと。女性が頑張らないと、明るくて面白い会社にはならないと思って」と木瀬さん。全国から210人の女性社員を集めた会議の場で「職場に帰ったら好きなことをしていい。中間管理職が邪魔をしたら、その上の上司に言ってそれでもだめなら私に言いなさい」と、社長のお墨付きを与えた話に会場から笑いが起こります。「女性活躍がうまくいったのは、企業トップの社長が率先したことも大きい」と全員がうなずきました。
一方で社員は8割、客は9割が女性という資生堂で、美容統括本部長として女性の働き方について長年向き合ってきた副島さん。日本で女性管理職が少ないのはなぜか、という質問に、「残業込みの男性的な働き方を求められる、男性基準だからではないでしょうか。人口の半分が女性なのに、女性の感性や視点を活かせない会社はこれから生き残るのが難しいと思います」と分析。女性が活躍する社会にするには? という問いかけに「『キャリア形成』『仕事と家庭の両立』、このふたつが必要。キャリア形成のビジョンは一人一人の事情で異なるので、ていねいな人材育成が大切。キャリアとは仕事だけでなく仲間や周りにどう貢献するかです」という副島さんに、「男性も実はキャリアのビジョンを持っていない人が多い。企業も仕掛けを作って企業理念を全員に浸透させることで、『自分の役割とは』と常に問い続けることが必要。これは男性も女性も一緒だと思います」と木瀬さん。
女性と男性、お互いの立場からキャリア形成についても話題が広がったトークセッションでした。
トークセッション② 「COOL福岡」
▲ 左から、石丸 修平さん(福岡地域戦略推進協議会 事務局長)、浦上 早苗さん(翻訳家・ライター)、山倉 千賀子さん(株式会社ガンバリオン 代表取締役社長)、松田 美幸さん(ファシリテーター 福岡県男女共同参画センター「あすばる」 館長)
福岡を知ることが、世界につながる。
ファシリテーターの松田さんの「海外からみた福岡の魅力は?」という問いに、石丸さんからの「福岡の魅力はフレキシビリティ、柔軟性です。限られたリソースの中でやるのが得意な地域。世界会議後のレセプションを川端商店街の通りで行う。焼鳥を焼いて提供したり、そんな日常を取り入れたおもてなしが喜ばれました」との実例に会場から驚きの声が。
浦上さんは「福岡は東京に比べると物価が安く暮らしやすいので女性がバリバリ働かなくても暮らしていける。福岡が好きな『女子力』という言葉には仕事を含まないバリバリよりキラキラという感じ」と、外から見た福岡の姿に会場がどよめきます。山倉さんは「私は佐世保で会社を設立して、2年目に新卒募集したら応募ゼロ。もっと人がいる所に行こうと福岡に移転して気づいたのはプログラマーやイラストレーターがたくさんいて、東京や関西からの交通の便がよい土地ということでした」と、別の地域にいたからこそ見える、仕事をする上での福岡の利便性を語りました。福岡がグローバルに広がるためには? との投げかけに、石丸さんは「いま福岡が世界に知られているか、というと難しい。今後はビジネスの意思決定ができる地域にしていきたいですね」。山倉さんは「福岡は新しいことを生み出すことに向いている土地だと思います。私も世界に通用するゲームコンテンツを作りたい」と、夢も語ってくれました。一方で浦上さんは「福岡で働いていたとき、東京の人から『福岡はグローバル都市といわれているけど、来てみるとそうでもないね』と言われて腑に落ちたことがあります。もっと福岡の女性に外に出てほしいです」とグローバル化にはまず自分が海外に出ること、と提案。3人の話に刺激を受け、会場は熱気に包まれていました。
第2部
交流パーティ
トークライブ後の交流パーティは、ゲストと参加者が直接ふれあい感動を共有する賑やかな会になった。
交流会会場は多くの参加者で賑わった。
ゲストに直接話を聞いたり、感想を伝えられる貴重な機会。
参加者同士の交流も生まれる場となった。
ゲストと参加者が一緒になって記念撮影!
協賛企業
第20回トークライブ協賛企業の皆様、ありがとうございました。(順不同・継承略)