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アメリカから見た「103万円の壁」とは?“妻が働くと罰せられる日本”

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日本で賛否両論が巻き起こっているいわゆる「103万円の壁(※1)」問題だが、アメリカ人に話すと大抵、「へえ! 信じられない!」という反応が返ってくる。そんなアメリカ人の基本的な考え方がよく表現されているのが、世界最大の発行部数を誇る経済紙『The Wall Street Journal.』のオンライン版に掲載された記事(※2)だ。

その中には、日本のメディアではあまり見ることができない厳しい表現がされている。たとえば「..if they want to add hours or go full-time, they get punished on their taxes.│もし妻が103万円以上の収入を得ようとした場合や、正社員になろうとした場合は、税金により罰せられる」。「Despite the oddities of the current tax code, fixing it isn’t easy.│奇妙な税制にもかかわらず、それを正すのは容易ではない」。

このような厳しい表現になっている理由は、アメリカでは ”男女問わず誰もが自立して働く “という考えが根付いているからだ。アメリカにも収入に対する控除はあるが、それは妻の働き具合によって増減することはない。いわんや妻の収入が130万円以下なら健康保険料や年金を払わなくて良い、というような ”片働き特典 “はない。

在アメリカ歴約30年、長く経理の仕事に携わっている日本人女性に「103万円の壁」問題について意見を求めると、「アメリカから見ると、日本はまるで労働人口を減らすのを促進しているように見えてしまうんですよね」。

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また、金融スペシャリストの男性に尋ねてみると、「この法律はずいぶん古い時代のもののような気がします。今の日本人の働き方とフィットしているのでしょうか」。指摘の通り、この法律が施行されたのは半世紀以上も前の1961年で、その頃は夫は外でクタクタになるまで働き、妻は夫を支えるというのが一般的な時代だった。また同氏は「共働きでも片働きでも、働き方を自由に選べる社会であることが大切。今の日本の税制は、片働きを極端に支援しているのが問題です」と付け加えた。

アメリカは先進国の中でも高い出生率を誇る国として知られている。それならさぞかし子どもの預け先など子育て環境が整っているだろうと思いきや、逆にアメリカの方が厳しいのではないかと思われる状況がある。たとえば1カ月あたりの平均保育料は日本では25147円だが、ロサンゼルスでは約12万円(1192ドル)、物価の高いサンフランシスコでは約15万円(1461ドル(※1))と無慈悲なまでに高額。ここまで払っても、デイケアの多くは順番待ちだ。また、日本のように出産と同時にもらえる出産育児一時金(42万円)もない。さらに車社会のアメリカでは、ほとんどの親が朝晩の子どもの送迎に縛られ、追われる。

条件だけ見ると、疲れ切った親の姿が目に浮かぶようだが、なぜかそこには日本のような悲壮感がない。書くスペースがなくなってきたので、子育てに希望を感じられるアメリカ社会の秘密についてはまた次号にて。


※1 妻の年収が103万円以下、あるいは130万以下の場合に受けられる控除などの優遇制度のこと。現在、法改正が検討されている。
※2 http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/06/17/japan-weighs-cutting-tax-break-for-housewives/
※3 www.kidsdata.orgより。ロサンゼルス、サンフランシスコともに0歳〜2歳ぐらいまでの保育の場合。

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猪股るー

元アヴァンティ副編集長(1999年まで)。ロサンゼルスの広告代理店「Ru-Communications LLC」取締役。「アメリカに刺さるマーケティング」をキャッチコピーに、全米展開戦略プランニング他、英語によるウェブサイトや広告制作などを行っている。著書に『愛する日本の孫たちへ』(桜の花出版)、韓国で出版された語学テキスト『チョルムン イルボノロ マルハジャ(今どきの日本語で話そう)』(サラミン出版)などがある。

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