残業についてアンケート調査をしたアヴァンティ働く女性研究所。残業と休日出勤が5年前に比べて増えたか減ったかも聞いたところ、「増えた」26%、「変わらない」31%、「減った」43%と、意外にも減ったと実感している人の方が多いとの結果が出ました。
詳細では、「すごく増えた」12%、「増えた」7%、「少し増えた」7%、「変わらない」31%、「少し減った」14%、「減った」14%、「すごく減った」14%となります。意外にも「すごく減った」が一番多かったのですが、同じくらい「すごく増えた」と感じている人もいます。残業や休日出勤が、多い人と少ない人とに二分されているのと同様、5年前と比べた変化でも、忙しくなった人と楽になった人とに二極分化しているようです。

残業については、会社にすべてを申告していない人が48%にも上りました。なぜ申告しないのかを複数回答で聞いたところ、最多は「サービス残業が当たり前なので」46%。次いで、「裁量労働制(みなし労働)なので申告しないことになっているから」39%、「周囲もみなそうだから」「すべてを申告しないのが慣習なので」がともに31%でした。
さらに「管理職なので残業時間をつけられないから」「すべて申告したら叱られたことがあるから」「残業をつけると仕事が遅い・無能な人材だと人事部に思われるのが嫌だから」がいずれも15%、「上司や会社の指示で、残業時間は何時間までしかつけてはいけないと決められているから」「申告する制度そのものがないから」「残業は付けられないと思っていた・思っているから」がいずれも8%。
なんと、驚くべきことにブラックな会社の存在が明らかになってしまいました。「すべて申告したら叱られたことがあるから」「上司や会社の指示で、残業時間は何時間までしかつけてはいけないと決められているから」「申告する制度そのものがないから」は、ブラックな会社です。残業を申告する制度がないのは論外ですが、何時間までしか残業をつけてはいけないと指導したり、きちんと申告したら叱ったりするような上司は、労働基準法違反です。労働基準監督署に告発できます。少なくとも労働組合に訴えることは可能です。全社的な問題として取り組むよう、労組に働きかけてみてはいかがでしょう。
電通の過労自殺事件でも、遺族が争う時に武器になったのは「本当は何時間働いたのか」の客観的な証拠でした。パソコンの電源オン・オフのデータや、会社への出退記録などは会社側が持っていますが、ブラックな会社と闘うためには、自分でも「何時出勤、何時退社」という勤怠記録をつけておくようにしましょう。異動で上司が変わった時など、全体の働き方の見直し提案とともに相談してみることをお勧めします。(この項続く)