家のこと子どものことを夫に任せてみる勇気

平成最後のお盆が過ぎました。今年は、本当に異常な暑さですね。やっと朝晩が少しだけ過ごしやすくなってきた今日この頃です。
今回は、子どもを夫に任せて初めて宿泊出張に行った40代のころのことを思い出して書いています。
私は5人家族で、夫、義父、息子二人の私以外は全員男。そういうと大体「わ〜大変!」って言われます。家事を全部私一人で担っていると想像されるからでしょうね。結婚して2年目、28歳のときに同居をすることになって、最初の頃は家事と育児を一人でやってきて、同居という環境から何度も逃げ出したいと思っていました。そんな悩みを抱えながら、33歳の時、パートの仕事を始めました。それから転職しながら働き続け40歳のとき「男女共同参画」に出会いました。そこで、自分の中にある無意識のバイアスに気付き、夫と家事を担うスタイルに変えていくことができ、今もフルタイムで働きながら同居を続けることができています。義父は87歳になり、元気で健康に過ごしています。
そんな私が家のこと、子どもたちのことを夫に任せ、初めて泊まりの出張にいくことになったのは今から約10年前41歳のときです。同居を始めてから10年ほど経ったころでした。それまで、家を空けて一人で外泊したりしたことはありませんでした。

当時在職していた「あすばる」の先輩方は、出張に行くことを悩んでいる私に「だいじょうぶよ!お母さんが、二、三日いなくたって。なんとかなるし家事の大変さがわかるよ。特に同居しているなら、いつ介護がやってくるか、どんなことが起こるかわからないからね。夫婦で家事ができるようになっていたほうが将来安心だよ!」とアドバイスしてくれました。
その頃の子どもたちはというと中学校1年生と小学校5年生。寂しがるんじゃないかとか(もう大きいのに)、体操服の洗濯や部活の準備や、朝ごはんやお弁当や、水筒の準備や、次男のアトピーのことや、気になること心配なことがたくさん頭に浮かんできます。子どもたちを置いて出張に行くなんて同居している義父にどんな風に思われるだろうとかと、なんだか「出張に行く」ことを選択することが悪いことのように思えて仕方ありませんでした。
夫に出張のことを相談すると、あっさりととした返事が返ってきました。
「行ってくればいいやん!まぁなんとかなるよ。もし帰りが遅くなっても、いつも親父(義父のこと)が家にいるし。なんかあれは頼めばいいやん」と予想外でした。

一方で、その頃、80歳ちかい義父は、1日中一歩も外に出ない日が多くなってきました。ほとんど外出せずテレビ番ばかりしている義父のことで、夫とよく喧嘩をしていました。家にいると気持ちが休まることがないと訴えると、じゃ、外に出かけたり泊まったりすればいいやんって、言うのです。でも、それがなかなか出来なかったのです。家事を誰かに完全に任せることができないというか、お願いすることが悪いことをしているような気がしたり、手を抜いているとか、楽をしているとか、妻嫁業をサボっているとか、そんな風に思われるんじゃないかと。しかしながら、「出張に行く」ことを選択したことで、夫に家事と子どもたちのことを初めて全て任せてみるきっかけになったのです。
男女共同参画センターで、「男女共同参画」や「ワークライフバランス」を学び、自分の家庭のあり方を見直していきたいと感じていました。男性は会社のためにがむしゃらに働き出世することを誰もが望んでいるわけではない、それだけがいい人生だとは限らない(もちろんそれを否定するつもりはありませんが)。夫も早く家に帰ってきて、夫婦で一緒に家事も育児も担うこと、それは日々の安心感や家族の未来のためにも、とても大切なことなんだと学んだことも大きかった。

この時期、夫が転職し以前より早く帰ってこれるようになったことも幸いでした。早く帰宅した日には一緒に料理をしたり、「どうすればいいと?」と家のことに関心を持ってくれるようになっていきました。すると不思議なことに気付きました。家庭内の家事分担をするようになってから、夫と共有する情報(冷蔵庫の中身、家にある生活用品の在庫、明日の夕食のメニュー、子ども達のことなど、日々の会話も増え信頼感を少しづつ取り戻していきました。夫の帰宅がいつも遅かった30代の頃から考えると、日々の幸福度は増していった気がします。それは、きっと会話する時間が増え、共感してくれるようになったからです。私が感じていた家庭でのストレスを夫も感じるようになったのです。「そっか、嫁姑、嫁舅問題は、嫁だから起こるのではなく、家事を担うから起こるのだ」ということに気付いたのです。
勇気を出して参加した宿泊出張。自宅に帰ってきたときは、あんなに家にいるのが嫌で嫌でたまらなかった気持ちが、家族への感謝へと変化していました。
家庭内の男女共同参画推進って、組織内のあり方を変えるときと共通するところがあると思います。男性にはこの仕事、女性にはこの仕事という決めつけた考え方、その無意識なバイアスに気付き、性別で判断せずに今までとは違った試みをすることで組織がいい方向に変化していくのだと思うのです。そして、お互いの壁を低くして、得意な方がその仕事を教えながら協働でやってみる。やり方もその人にあったやり方を考え、経験を積み、情報を共有できると安心感が芽生え、緊急な事態にも対応出来るチーム力、組織力もきっと高まっていくのです。

出張先は国立女性教育会館 NWEC
宿泊研修の出張先は国立女性教育会館NWEC(ヌエック)でした。池袋から東武東上線に乗って武蔵嵐山駅(埼玉県)まで約1時間ほど行ったところにあります。おそらく、男女共同参画事業に関わったことがある方はご存知かと思います。出張の目的は、子育て女性支援事業等に携わる方々を対象とした研修に参加することでした。
研修で一番印象に残ったのは、ファザーリングジャパン(FJ)の活動報告でした。「笑っている父親を増やそう」このフレーズにグッときました。まさに私の中にあった「男性はこうあるべき」という思い込みの壁が壊れ、夫を理解するようになったスタート地点だったのかもしれません。その活動は、素敵だな〜って、そんな父親が増えていったらいいな〜って感動したことを覚えています。

NWECは、私にとってのパワースポット。これまで4度行きました。2009年の研修に参加し、その翌年2010年に「ファザーリングジャパン九州(FJQ)」が設立されることを知り、とても嬉しく思いました。それから、九州福岡でもイベントが開催されることが増えていきました。そういえば、2013年の北九州で開催されたファザーリング全国フォーラムin九州には、泊まりで2日間参加したこともありました。今年も広島で開催されるようです。夫婦で、もちろんお子様連れで家族で参加してみるのもオススメです。
それから、NWECでは8月末にフォーラムが開催されます。年間を通して、様々な宿泊研修が開催されています。私は、平成26年度に開催された学習オーガナイザー養成講座を受講し、その翌年にキャリアモデルとして地域活動CORALについて発表の機会をいただきました。今年も詳細はまだ決まってないようですが12月に開催されるようです。「キャリア」と「男女共同参画」「地域における男女共同参画」など関心のある方は参加をお勧めします。もし、行かれた際には、女性教育情報センターにも行ってみてくださいね!男女共同参画に関する、あらゆる情報が集まっているところです!
学びは未来を変える

★Photo Tomo ★
今年、5月のゴールデンウィークに夫婦で四国旅行に行ってきました。文中の写真はその時に撮ってきたもの。最近、格安プランを立てて車で遠出するのが夫婦共通の趣味。道後温泉は半端ない人の多さだったけど、ちょうど蜷川実花さんデザインのライトアップイベント開催中で幻想的な灯りに感動しました。



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専業主婦からのRestart 小さな一歩が未来をつくる