コラム

アジアの特色

皆さんはアジアと聞くと、日本以外に、どの国を思い浮かべますか?

先日、日本に出張で出かけたときには、街中で、中国人や韓国人はもちろんのこと、アジアからの来日客、いわゆるインバウンド客をたくさん見かけました。タガログ語(フィリピン)やベトナム語、タイ語などで、いろいろな言葉を耳にしました。

 

では、アジアとは、実際にはどんな範囲なのか、どの国までをアジアと呼ぶのかご存知でしょうか?今回と次回はアジアが、どのような場所なのかを書いていきたいと思います。

上の地図で、黄色く塗られたところがアジアに含まれる国・地域です。(※1)

国数では26カ国、人口は44億人を超えており、世界人口74億人の約6割を占めています。(2016年国際連合統計)

ちなみに、香港からはこの黄色い場所に、約5時間のフライトでほとんどたどりつくことが出来ます。東京は、極東といわれるだけあってかなり東にありますし、北京はずいぶん北に、シンガポールは南に位置しています。香港は、ちょうどアジアの真ん中近くにあるのです。

 

アジア地域は他の地域と比べて、圧倒的に人口が多いことが特徴です。では、人口の移り変わりから、どんなことが読み取れるのでしょうか?

労働人口

労働人口とは一般的に15歳~64歳の人の数を指します。日本では少子高齢化の進行により、労働人口が減少に転じています。日本の他にも、韓国、中国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムなどでは、労働人口が不足していると言われています。それに対して、ミャンマー、インドネシア、フィリピンでは労働人口が過剰と言われており、これらの国では、一度、他の国へ働きに出かけてスキルをつけて自国へ戻るのが理想の働き方とされています。

 

以前のコラムでもお伝えしたと思いますが、私達の住む香港では、夫婦共働きが当たり前の環境なので、子供のお世話や親の介護、日常の買い物や掃除等をインドネシアやフィリピンから働きに来たメイドさんにお願いしています。高齢化と核家族化が進み、人手が足りないところが補われていて、上手くバランスがとれているなと感じます。日本でも、介護職は大変なお仕事ですが、そういう人たちを上手く取り込んで働いてもらうことも一考に価するかもしれません。

 

余談ですが、このメイドさん達、実はスーパーメイドさんなのです。彼女らが話すことができる言語は自国の言葉だけではありません。自国の言葉に加えて、英語は当然のこと、雇い主によっては香港の公用語である広東語を話すメイドさんもいますし、例えば香港に住むフランス人に雇われているメイドさんはフランス語も話したりと、言語のバリエーションも様々です。もし日本で、日本語以外に英語やその他の言語を話すことができたらとても重宝され就職の機会も増えますね。レストランのウェイターさんでも、広東語、英語、中国語など多言語を話せる人は多いのです。

 

話を戻しますが、労働人口の比率に対して、今後はどのように人口の年齢が推移していくのでしょうか?

次のグラフは、2050年までの予想高齢者人口の推移です。

高齢者人口比率

このグラフは、高齢者(65歳以上)が全人口に比較してどれくらいの人口比率になるかを示しています。

 

65歳以上の方の比率が21%以上を超高齢社会と呼びますが、2050年時点で、日本、シンガポール、韓国、中国がそれに該当します。一番高齢化比率が高いのは日本で、2050年には40%近くまで増えて、飛びぬけて高い比率になるとの予測です。ほぼ2人に1人が65歳以上の高齢者という社会になるのです。

 

それに対して、フィリピンやマレーシア、そしてインドは、十分に労働人口が高齢者を支えることができる水準です。何より、ここで忘れてはいけないのが、毎日新しい命も誕生しているということです。すなわち、高齢者が増えたからといって人口が減っているわけではなく、これらの国々では、総人口は増え続けているという点です。

人口ボーナス

人口ボーナスという言葉を知っていますか?15~64歳の生産年齢人口が、それ以外の従属人口(0~14歳、65歳以上の人口)を2倍以上となり、生産年齢の人たちが働くことで、都市化の進展、工業化による所得増、消費活発化により高い経済成長率を実現する潜在能力がある状態を言います。この人口構成になっている国や地域は「若い国」とも呼ばれます。日本は1960年代から1990年代初めまでが、人口ボーナス期でした。現在は、アジアで言えば中国、インドネシア、韓国、タイ、ベトナムが人口ボーナス期にあるとされ、いずれも急速な工業化が進展しています。

このように人口の面から見ても、アジアには高い経済成長や生産性の向上のチャンスがあると言え、投資の機会もリターンもより期待できる地域なのです。

世界中が注目する投資対象

あるアメリカの情報誌が「2018年に投資するのに最も適している国はどこだと感じているか?」というアンケートを世界約80カ国の見識者6000人超に実施したそうです。

その結果、ベスト20が発表され、そのうちトップ10の中にアジアの国が6カ国入るという結果になりました。(※3)

人口 GDP成長率
1位 フィリピン 1億330万人 6.9%
2位 インドネシア 2億6110万人 5.0%
4位 マレーシア 3120万人 4.2%
5位 シンガポール 560万人 2.0%
8位 タイ 6890万人 3.2%
9位 インド 13億人 7.1%

 

どの国も共通していることは、高い成長率と多くの人口ということがわかると思います。個人的には、人口9300万人で成長率も6.8%を超えるベトナムも注目しています。(※4)

先進国が狙う鉄道計画

日本を含む先進国は、自国で作り上げた鉄道輸送システムを他国に輸出して利益を得る産業にしようとしのぎを削っています。人口が拡大し、都市化が進むアジアの新興国は、鉄道輸送計画が多く、利益の機会が転がっているというわけです。

以下の図を見てください。

これは国土交通省が挙げている今後3~4年間に注視すべき鉄道関係のプロジェクトです。(※5)

赤文字部分がアジア地域に該当します。計画数が圧倒的に多いことが分かると思います。例えば、日本国内で新幹線鉄道をひとつ作ろうとすると約3500億円ものお金が動きます(※6)

それが世界規模で上図のようにあるわけですから、とてつもない金額が投資されることになりますね。

 

今回は投資と鉄道という点にフォーカスをあててみましたが、他のどの項目をとっても、アジアは注目の的なのです。

既に成熟した先進国から見て、アジアは投資や商売のチャンスがたくさんあり、軽視できない場所となっています。

 

世界中の超富裕層

次に富裕層のお話をしましょう。世界的にみて、アジアにはどれくらいの富裕層と呼ばれる人達がいるのでしょうか?

ちなみに、超富裕層の定義ですが資産3000万ドル(約33億円)以上を保有している個人を指します。

世界の「超富裕層」の人口は去年の発表で、前年比でおよそ13%増加し、25万5810人となりました。

今までは億万長者といえば主に北米だったそうですが、ここ数年は、アジア地域で多くの億万長者が誕生したそうです。「中国」の超富裕層の人口は昨年、なんと前年比19%もの増加を記録したそうですよ。

 

そして去年、私達の住む香港の超富裕層の数は、NYを追い抜き、初めて世界で最多となったそうです。前年比で31%増加、およそ1万人に上る数です。

以下に、超富裕層の数ランキングを載せています。(※7)

そういえば、中国の都市がランクインしていませんね。なぜでしょうか?

それは、中国の富裕層は一つの地域に偏らず、全国に散らばっているためだそうです。なるほど~と思わず関心してしまう理由ですね。

アジア地域に住む人々の消費動向

訪日外国人で比較して見ましょう。例えば、今までは爆買いといってブランド品や家電製品ばかりを買うイメージがあったと思いますが、今では宿泊費や食事など、エンターテイメントに使う傾向も顕著になってきています。

 

以下の図は、アジアと欧米の各旅行者が宿泊費・飲食費にかける料金の推移です。平成24年あたりから大きな変化が見られますね。ご覧のとおり、アジアからのインバウンド顧客の方が、宿泊も飲食もよりお金を使うようになってきている様子が分かります。アジアからのインバウンドのインパクトは高まっているのです。(※8)

 

     

最後に、「爆買い」はどうなったのでしょうか?

中国では、高級品ないし、高級ブランド品の購入に関して、世界販売数のうち約30%超を占めるまでに成長しているとのことです。

例えば、バーバリー(40%)、フェラガモ(35%)、グッチ(33%)、ボッテガ・ヴェネタ(33%)など・・・(※9)

このように、モノからサービス、マスから高級品へ変化しており、更に富裕層も増え続けているのがアジアなのです。

 

みなさんが思っていたアジアはどのようなアジアでしたか?

めまぐるしいスピードで成長するアジアから、まだまだ目が離せませんね!

 

【参考文献一覧】

※1 外務省HPより https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asia.html

※2 内閣府「第2節 アジアの長期経済見通し」より

www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh10…/s1-10-2-2.pdf

※3 BUSINESS INSIDER

https://www.businessinsider.com/us-news-best-countries-to-invest-in-now-2018-3

※4 ベトナム一般概況 – ジェトロより

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/vn/data/vn_overview201803.pdf#search=%27%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0+%E6%88%90%E9%95%B7%E7%8E%87+%E4%BA%BA%E5%8F%A3+2018%27

※5 経済産業省 「海外展開戦略(鉄道)」より

http://www.meti.go.jp/press/2017/10/20171031006/20171031006-4.pdf#search=%27%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2+%E9%89%84%E9%81%93%E4%BA%8B%E6%A5%AD%27

※6 鉄道・運輸機関より

http://www.jrtt.go.jp/02business/construction/const-sikin.html

※7 Wealth-X(最終閲覧日2018年10月16日)

The World Ultra Wealth Report 2018

URL: https://www.wealthx.com/report/world-ultra-wealth-report-2018/

PDF:https://www.wealthmanagement.com/sites/wealthmanagement.com/files/wealth-x-wealth-report.pdf#search=%27WealthX+World+Ultra+Wealth+Report+Richer+in+Hong+Kong%27(表は19ページ目より抜粋)

※8 経済産業省HP(最終閲覧2018年10月16日)

「訪日外国人消費指数の動きと アジア・欧米からの訪日客の消費行動比較」 URL:http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-1.html

※9 The Business of Fashion(最終閲覧日2018年10月16日)

「Decoding the Travelling Chinese Consumer」

URL:https://www.businessoffashion.com/articles/intelligence/decoding-the-travelling-chinese-consumer

ABOUT ME
長谷川建一
長谷川建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス)CIO。 京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンク日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に移り、マーケティング責任者として活躍。2009年からはアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク/日本ウェルス)を創業し、COOに就任。2017年3月よりCIOを務める。 >>長谷川建一氏登壇のセミナー:https://gentosha-go.com/articles/-/13973
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