夫婦2人で出費156万円。アメリカの医療費は痛烈だ!

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 昨年は医療費に泣いた1年だった。そろそろ乳がん検診にでも、と病院に出掛けたのが運の尽き(?)。触診で怪しいと言われ、マンモグラフィーに回され、さらには超音波検査へ。それでもはっきりしないということで針生体検査に回され、結果は無事陰性だったが、自宅には計4500ドル(約52万円)にも上る「手出し」の請求書が届いた。優しい友人に「52万円で命を買ったと思って」と慰められた―確かに命あっての物種です、ハイ―が、52万円はイタイ!

 そうこうしているうちに夫が歯科医院へ出かけた。そこでまたもや検査や治療が必要となり、あれよあれよという間に請求額が9000ドル(約104万円)に! 大した病気にもなってないのに夫婦合わせて、合計156万円もの手出しとは…もはや日本語の「トホホ」という言葉を「tohoho」としてアメリカで流行らせたいほどの心境だ。

 ちなみに私が毎月支払っている保険料は430ドル(約5万円)。「5万円なんて高い」と思われるかもしれないが、アメリカで430ドルの保険というのは最安値の方だ(低所得者などの特別な保険を除く)。もともと健康体なので、検査などが十分にカバーされない安いものを選んでいたのがまずかった。夫の方は50代ということもあって、月額1200ドル(約14万円)もの保険だったが、こちらも歯科分野は十分なカバーがなかった。Tohoho!

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 検査だけで手出し52万円なのにもし、がんだと診断されていたら一体どうなっていただろう。そういえば大ヒットテレビシリーズの『ブレイキング・バッド』で、がんになった主人公、ウォルターのタガが外れるきっかけとなったのも、2000万円という高額の医療費だった。このとんでもない数字は物語の中の作り事ではない。実際、アメリカの自己破産者の約6割は、医療費が原因なのだ(2009年)。

 安心して暮らせないアメリカの現実に直面したとき、国に手厚く守られていた日本時代を思い出す。そしてそれに気付いていなかった自分も…。日本はそもそもの保険代も安く、たとえ医療費が高額になったとしても高額療養費制度や国からの貸し付けなどに守られる。安心して暮らせるという面で、日本はあまりにも素晴らしい国である。

 最後にひとつ、おまけの話。ずいぶん前のことだが、アメリカの友人宅を訪れていた日本人が心臓発作を起こしてしまった。すぐに救急車で搬送され入院し一命をとりとめたが、保険のなかったその方に送られてきたのはなんと3000万円もの請求書。値下げ交渉したらダイナミックに1000万円負けてくれたそうだが…アメリカ旅行の際は、保険のチェックをお忘れなく。

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猪股るー

元アヴァンティ副編集長。2016年1月にロサンゼルスにて広告代理店「Ru-Communications LLC」を起業し、日本企業の全米進出をサポートしている。著書に『愛する日本の孫たちへ』(桜の花出版)、韓国で出版された語学テキスト『チョルムン イルボノロ マルハジャ(今どきの日本語で話そう)』(サラミン出版)などがある。
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written by 編集部