夫と離婚することになりました。これから、離婚の条件を決めることになりますが、夫から財産分与を受けた場合、税金はかかるのでしょうか?
中西 俊枝 先生
一橋大学法学部、大阪大学大学院高等司法研究科卒。新62期。2011年9月、大阪からの登録替えで当事務所に入所。生まれも育ちも大阪だが、福岡県出身の母に育てられ、福岡での生活に心地よさを感じている。先輩方のように、女性や子どもの事件に逞しく取り組める弁護士になれるよう、一つずつ経験を積んでいくことが目標。
財産分与として金銭が支払われるケースでは、原則として、贈与税はかかりません。
まず、財産分与として金銭が支払われるケースでは、原則として、贈与税はかかりません。というのも、財産分与は、夫婦の財産関係の清算や、離婚後の生活保障の趣旨でなされるものであり、贈与ではないからです。
しかし、例外もあります。分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他の事情を考慮してもなお多すぎる場合には、多すぎる部分に贈与税がかかります。また、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には、受け取った財産全てについて、贈与税がかかることがあります。
次に、財産分与として不動産を分与するケースでは、不動産を分与した側に、譲渡所得税がかかることになります。分与した不動産が居住用のものの場合は、優遇措置を受けられることがありますが、分与する側が離婚前に不動産から引っ越している場合には、「居住用」に該当せず優遇措置を受けられないこともありますので、注意が必要です。
他方で、不動産の分与を受けた側に不動産取得税が発生するかどうかですが、税務上は、財産分与の場合には不動産取得税は課されない取り扱いになっているようです。もっとも、財産分与の登記をするためには、登録免許税等の実費や、司法書士に登記手続を依頼する場合にはその手数料が必要となります。
税金については頻繁に取り扱いが変更されますので、ご心配な場合には、離婚前に専門家にご相談されることをお勧めします。当事務所でも、必要に応じて、女性税理士をご紹介するようにしています。
女性協同法律事務所
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。