最初の起業は35歳、離婚がきっかけだった。就職先がなかなか見つからず、信頼できる知人からコーヒー販売事業を紹介された。「社会が受け入れてくれないなら、自分でやるしかないと思ったんですよ」と、苦労を感じさせない穏やかな笑顔で語る。小学生の息子3人を育てるために、パチンコ店内でコーヒーを提供する仕事を始め、朝晩問わず働いた。気持ちのよい接客が評価されて事業は伸び、3店舗で従業員20人を抱えるまでに成長。しかし、浮き沈みの激しい業界のリスクを踏まえ、木村富士子さんは常に次の仕事を考えていた。
化粧品販売、介護などさまざまな事業も試みたが、自らの経験と強みを最も活かせると感じたのがファイナンシャル・プランナー(FP)だった。「昔から人の相談を受けることが多かったんです。経理の実務経験は豊富でしたし、何よりも私自身がお金のリスクと向き合ってきた。将来の年金や学費のことなど、学びながらいろいろな対策をしてきました」。
FP2級の資格を取得し、保険の知識を得るために保険会社で2年勤務。さらにFPの実務を学び、50歳で『FP Office アテンダーハート』を開業した。「a tender heart」(優しい心)で顧客の相談に応じ、金融機関に属さない独立系FPだからこそできる、顧客の立場に立った公正中立な仕事を大切にしている。「利益追求で働いた時期もありましたが、50代になって本当に理想とする仕事をしたいと思うようになりました。お客様が夢を諦めずに人生を楽しみ、心も豊かになれるようにお役に立っていきたいですね」。
木村さんの相談スタイルは、自立支援型。FPが答えを出すのではなく、顧客が自分でベストの選択ができるようていねいにフォローする。よいことばかりではなく、厳しい現実もきちんと伝え、揺るぎない強さと優しさで導いていく。
ファイナンシャル・プランナー
木村 富士子さん
1960年佐賀県生まれ、北九州市在住。西日本銀行に勤務後、建設関係の会社で経理事務を13年経験。35歳で独立し、1995年コーヒー販売を起業。経営のかたわら、化粧品の美容アドバイザーとしても活動。2006年ファイナンシャル・プランナーを志し、勉強のため保険会社に勤務。その後、日本マネーバランスFP協会で実務を学ぶ。2010年『FP Office アテンダーハート』開業。6歳から茶道を続け、表千家の地方講師を20年、教授資格を2015年取得。日本礼道小笠原流煎茶の師範でもある。
▲ 1.人を包み込むような雰囲気を持つ木村さん。どんな相談もしっかり受け止めてくれる。
▲ 2.個別相談ではライフプランに基づいたキャッシュフローを作成。リスク対策も考えながら、一人ひとりに合った夢のプランを立てていく。
▲ 3.ボランティアで人材育成会社の研修アドバイザーもしている。受講生たちからもらった感謝のメッセージ。
FP Office アテンダーハート
北九州市八幡西区小峰台3-3-14
http://atender-heart.com/
TEL/080-4159-3385
営/10:00~21:00
休/不定