石川 たかね(いしかわ たかね)さん
インキューブ西鉄 代表取締役社長
Profile/大学卒業後、西日本鉄道株式会社に入社。専門店課、都市開発流通部、企画開発部などで開発・流通のキャリアを積む。『ソラリアステージ』『天神コア』館長を歴任し、2014年7月、現職に。忙しくてもON・OFFはしっかり線引きして、水泳やヨガなど趣味の時間を楽しむ
やりがいと好奇心が勝る、経営者としての使命を果たしたい。
「やりたいと思ったことがやれるから、ますます面白さが増しました」。そう語るのは、『インキューブ西鉄』代表取締役の石川たかねさん。74ある『西鉄』グループ企業で、初の女性トップに就任した人物だ。
「やるしかない!」 で、前へ前へ
「一生働き続けたい」という想いから、1991年『西鉄』に入社。ちょうどソラリアや三越など、西鉄福岡駅周辺の開発事業がスタートし始めたとき。彼女も開発本部に配属され、専門店街の部署で約50店舗を担当していた。
「当時は今みたいにメールやインターネットがなく、商業施設の立ち上げを経験した人もいなかったから、すべてが手探りで試行錯誤の連続でした」。約8年間の長きにわたり、『ソラリアステージ』という施設の方向性からテナントのリーシング、区画交渉や警備・清掃の取り決めにいたるまで多岐の業務に携わった。OPEN前の3カ月は多忙を極め、自宅には寝に帰るだけの日々。朝に慌てて家を出て、タクシーの車中でメイクをすることも少なくなかったという。
「一筋縄ではいかない交渉や、候補店舗の魅力をどうやったら上層部に分かってもらえるか。壁にぶち当たってばかりでしたが、『前に進むしかない』という気持ちで突き進みました。それだけに、専門店街が無事にOPENしてお客様がお店に並んでいるのを見たときは、感無量で涙が止まりませんでしたね」。その後、『チャチャタウン』開発や太宰府遊園地のリニューアルに携わり、ソラリアステージ館長、天神コア館長を歴任。
入社以来、開発・流通分野をひた走ってきた彼女に、青天の霹靂人事がくだる。一社員から経営者への大抜擢だった。
店舗を通して、福岡パワーを全国へ発信
『インキューブ西鉄』代表に就任してすぐ、さらなる動きがあった。現在九州、本州に展開している7店舗に加え、10月には関東他に4 店舗をオープンするという。スタッフも150名から180名近くに増え、急成長を遂げる今、石川さんは本部と支店の繋がりを意識しながら体制強化を図っている最中だ。
「企業の要は人。スタッフがイキイキしている店は活気があって、売上げもいい。そうしてみんなにモチベーション高く、楽しんで仕事をしてもらえるよう力を尽くすことも、私の重要な使命だと思っています」と石川さん。多忙な日々を送るなかでも、店舗やスタッフへの気配りを忘れない。
また、『インキューブ西鉄』はスタッフの8割が女性。「日頃から売り場で消費者と接する彼女たちの視点を生かした店づくりを」と、店舗づくりや仕入れにも彼女たちのアイデアを反映させ、売り場の鮮度を保っている。
めまぐるしい変化に対応しながらも、店舗やスタッフのためには今何が必要かを冷静に見据えている石川さん。プレッシャーをものともせず、「『インキューブ西鉄』を福岡天神発のブランドとして全国へ広め、全国の皆さんに『福岡の街って元気やね!』と思ってもらいたい」と、新たな夢に目を輝かせる。