インタビュー

原田 昌樹さん/食の命は人の命につながっている。社会にあふれる資源を生かし、あたたかい循環社会を築く。

田 昌樹(はらだ まさき)さん
『フードバンク北九州 ライフアゲイン』理事長
北九州市出身。九州工業大学卒業後、家業を継ぐため大阪で電気工事・家電販売の研修を受ける。1年後に帰郷し26歳で代表に就任するが、引き継いだ負債が予想以上に多く、継続を断念し倒産。出張専門の電気工事業を始める。2000年牧師資格を取得。事業を営みながら、子育て支援と自立支援活動を行う。2007年から牧師業と支援活動に専念。2013年7月『フードバンク北九州 ライフアゲイン』設立。現在NPO法人格取得に向けて準備中。

原田さんへ3つの質問

Q. この仕事に向いている人は?
A.「もったいない」という気持ちがあり、人の役に立ちたいと思う人。

Q. あなたのバイブルは?
A.「聖書」「愛-マザーテレサ 日本人へのメッセージ」「私には夢がある」(M・L・キング)

Q. あなたのメンターは?
A.マザー・テレサ、キング牧師、妻、牧師になるきっかけとなったクリスチャンの友人

食の命は人の命につながっている。
社会にあふれる資源を生かし、あたたかい循環社会を築く。

余剰食材を必要な場所に届けるフードバンクの仕組み

わが国では、品質や安全性に問題がないのに処分される食品は、年間800万トンといわれている。包装の不備や規格外で流通に乗らないケースも多く、賞味期限内の食品が捨てられているのだ。フードバンクは、こうした食品の寄付を受け、生活困窮者に無償で提供する活動だ。食品が無駄にならず、提供側の廃棄コストも削減できる。1960年代にアメリカで発祥し、日本では十数年前に取り組みが始まった。

牧師の原田昌樹さんは、昨年北九州でフードバンクを立ち上げた。「1年半前に他県の活動を知って、これだ! と思った」と目を輝かせる。団体名『ライフアゲイン』は「息を吹き返す」という意味。食べ物も人も、すべての命が生かされるよう願いを込めた。

原田さんは自立支援活動を通して、家庭や仕事がない人、障害を抱えている人などさまざまな人たちと関わってきた。食べていくための支援をきっかけに、大量の食品が廃棄されている現状を知った。

「まだ役に立てるのに、競争や効率を重視して切り捨てられていく。廃棄される食べ物が、社会から片隅に追いやられている人と重なって見えたんです」。モヤモヤした気持ちを抱えていた原田さんにとって、フードバンクはまさに理想の事業だった。

さまざまな人や組織と連携し事業を発展させたい

創業を決意したものの、「一人で何ができるのか不安だった」という原田さん。自身が所属する里親会で話したところすぐに3人の仲間ができ、その後いろいろな人の紹介で応援の輪が広がっていった。

団体を立ち上げて1年余り、賛助会員は130人、法人会員は20件に増えた。「食品ロス削減シンポジウム」の構想も決まり、10月25日の開催に向けて準備を進めている。

現在、食品提供は県内の企業2社から受けている。さらに多くの循環を生み出すためには、仕分けや配送の人手、事務所や倉庫などの場所も必要だ。

「北九州のフードバンクはまだこれから。今の社会において、絶対に発展させなければいけない事業だと思っています。8月からは福岡県リサイクル総合研究事業化センターの支援を受けながら、北九州市立大学と連携して食品ロス削減研究会がスタートしました。産官学民の連携も進めていきたいし、将来は若い人の職場として成り立つ事業に育てたいですね」。

フードバンクは単なる食品ロス削減の運動ではない。社会にあふれる「もったいない」を「ありがとう」に変換し、あたたかいエネルギーで満たしていく。すべての命が輝き、互いの存在を生かし合う循環社会を構築する社会活動なのだ。

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