植物と人、人と人が出会う場に!園芸店の新しい形にチャレンジ。

平田 恭章さんへ3つの質問
Q.この仕事に向いている人は?
A.もっと知りたいという好奇心や探究心が旺盛な人。植物の世界は限りなく広がっているから。
Q.座右の銘は?
A.高校の先生に聞いた「我以外皆我師」。自分以外の人はみんな自分の先生で、いろんなことを教えてもらっています。
Q.職業ならではのクセは?
A.いつでもどこでも植物に目がいくこと。お店に植物が飾ってあると、オーナーはどんな人かなと想像してしまいます。
福岡と熊本で7店舗を展開する『平田ナーセリー』。生産から販売までを手がける園芸小売業として業界トップクラスの規模を誇り、今年で創業40周年を迎える。創業者のもと、3人兄弟の末っ子として育った平田恭章さん。有名企業の息子ゆえ「あだ名はナーセリーでした」と笑う。
学生時代は園芸の職に就く気はなく、ビジネスを興したくて高校を卒業後、渡米。しかし大学を出た後、試しに現地の園芸店で働いてみたところ、その世界の奥深さにのめりこんだ。「そこは日本のように市場や業者を介さず、店舗と生産者が直接やり取りする世界。豊富な知識を持つ店舗スタッフに刺激を受けたし、育つ植物もすごく元気だったのが印象的でした」。
23歳で帰国し、家業を継ぐ決意をして入社。まずは自社農園で植物についてみっちり学び、3年目からは販売や仕入を担当、世界の園芸協会に加盟して、視察や仕入れで海外を巡った。SNSや人の紹介でピンとくる生産者がいれば、自らどんどん会いに行く。「植物に向き合う人たちって一生懸命で純粋で観察力もすごい。そんな人たちと話すのは本当に面白いし、そこで得た知識や植物の魅力をお客さんに伝えることが園芸店の大きな役割だと思います」
平田さんが就職した当時、園芸業界は景気が悪く、底辺ともいえる低迷期。従来の売り方も変える必要がある、と全店にキッズスペースを設けるなどの店舗改革や外部イベントへの出展、音楽ライブやカフェを取り入れた自社イベントの開催など、新しいことを次々と仕掛けた。「失敗もありますが、創業者の大きな器の中、多くの人に学びながらいろんなことに挑戦させてもらっています」。今年2月には九州で途絶えていた蘭の展示会を再開して4日間で6千人を集め、成功を納めた。
「植物は生活に必須ではなくても、癒されたり、元気が出たりするような「あるといいもの」。この価値をもっと伝え、植物を通して人やものが出会い、繋がる場を作りたいですね」。楽しみながら、未来を明るく力強く切り拓いていく。
『株式会社平田ナーセリー』 統括部長
平田 恭章さん
1983年久留米市生まれ。東福岡高校を卒業後、渡米。アメリカの大学を卒業して、カリフォルニアの園芸店で1年間働く。23歳のとき福岡へ戻り、家業の株式会社平田ナーセリーに入社。まずは2年間農園で植物のことを学び、次に2年間販売を経験し、少しずつ業務の幅を広げる。現在は主に仕入と企画、人事を担当。NHKテキスト『趣味の園芸』に登場したこともある。