スタートアップ企業やベンチャー企業、新しい時代を創造する企業が福岡にも続々と生まれている。ITの世界は軽々と国境を越える。地元福岡は、どんな企業があって、どんなサービスをしているのか、その中からユニコーン企業(巨額の利益を生む可能性のあるレアな価値のある企業)は生まれるのか。
「雇われない自由な働き方」をする人たち
『フリーエージェント社会の到来』という本を読んだのは15年ほど前のこと。アル・ゴア副大統領のスピーチライターをしていたダニエル・ピンクという人が書いたもので、「アメリカで雇用されない働き方をしている人たちが3300万人いる」と衝撃的な数字を出し、組織人間の時代の終わりを宣言した。パソコン一つでどこででも仕事をし、プロジェクトごとに集まり、解散する。そこに書かれた内容は、いまの日本を予言しているかのよう。
日本でも、「働き方改革」の大号令を政府が発する一方で、自由な働き方をする人たちがじわじわと増えている。いまや会社設立に資本金はいらないし、副業を認める企業も出てきた。
今月は、そんな新しい働き方をする人たちのための「シェアの空間」を取材した。
1月、「働き方の変革」をテーマにセミナーを開催。オープンなイベントスペース。
いろんな個が集まって大企業のような仕事をする
昨年12月、キャナルシティの近くに国内最大級(約400坪)のシェアオフィス&コワーキングスペースThe Company 「ザ・カンパニー」がオープンした。
階段を登り、扉をあけると、ふわっと明るい空間が開ける。お気に入りのテーブルやソファに陣取ってパソコンをあける。会議室や、開放的なイベントスペースもあり、講師業の方のオフィスとしてもよさそうだ。
「いろんな個が集まって大企業のような仕事ができる集団にしたい」とは、「ザ・カンパニー」を運営する株式会社ゼロテンの榎本二郎社長。「福岡って、小さいけど、実力のある会社がけっこうあるんですよ。一緒に組めばおもしろい仕事ができると思う」。ゼロテンは、軍艦島のデジタルミュージアムやTAOの舞台映像、大濠公園のライトアップなどを手がける感性豊かな総合演出ファクトリーだ。
榎本社長が「ザ・カンパニー」でかなえたいのは、新しい働き方や組織のあり方だという。そのための「場」であり、オリジナルのSNSでメンバーをつなぎ、「仕事やプロジェクトをシェアする」仕組みを導入している。行政や企業の案件を「ザ・カンパニー」で受託してメンバーと一緒に仕事したり、メンバー同士がつながってそこから仕事がうまれてもいい。
「水中ミュージアムを糸島につくりたいんだよね。糸島がいいの、糸島が」「アジア中から人がくるようなクラブイベントをやりたい。工場跡地とか、廃墟をジャックして。すっごくおもしろいと思うんだよね」「VRとホログラムに力を入れたい」。
目をキラキラさせて夢を語る榎本社長。引き寄せのマジックをかけられたかのように、ぐいぐいと人をその気にさせる。純粋で素直で人に対する平等観は天性のものとみた。「アヴァンティとも女性向けのイベントをしましょう!」と盛り上がった。
これからここにどんな人たちが集まり、どんな新しい世界を繰り広げるのか、楽しみだ。
会議室は3つ
場所はキャナルシティのすぐそば
セミナールームから見た全景
会員だけでなく1日利用のビジターでも利用可
月額利用なら水とコーヒーは無料
村山取材メモ
新しい働き方がうまれる「ザ・カンパニー」の魅力
◎カフェのような女性向きの空間
◎空間のシェアだけでなく、仕事やプロジェクトのシェアが目的
◎独自のSNSでコミュニティを形成
◎榎本社長の夢と引き寄せ力
株式会社Zero-Ten
代表取締役
榎本 二郎さん
1978年生まれ、福岡市出身、ニューヨーク工科大学(NYIT)卒業。約10年間ニューヨークにて映像・アート・クリエイティブ制作に携わる。帰国後の2011年、福岡にて株式会社Zero-Tenを創業。
株式会社Zero-Ten[http://zeroten.jp/] The Company[http://thecompany.jp/]
●経営理念/Make No Border. Create New Fantasy.
●創業/2011年
●代表取締役社長/榎本二郎
●資本金/1000万円
●社員数/15名
●社員構成/男:女=4:6
●平均年齢/33歳
●拠点/福岡、東京
●住所/福岡市博多区祇園町8-13 第一プリンスビル1F・2F