インタビュー

杉本美穂子さん/挫折しても、挑戦を忘れなければ成長できる。

 

杉本美穂子 (すぎもと みほこ)さん
日立製作所 九州支社公共情報システム営業部 部長
Profile/宗像市出身。九州大学文学部卒業後、同社のグループ会社『ファコム・ハイタック』に入社。1994年から『日立製作所』公共情報システム営業部に配属。結婚後、2回の育休を経て2002年に課長職、2013年に部長職に就任。社外の管理職ネットワークづくりにも積極的に参加している。休日は、子どもの部活動のサポートや夫とのゴルフを楽しむ。

挫折しても、挑戦を忘れなければ成長できる。

「私には無理と尻込みしそうになったり、くじけそうになったことは数知れず。その都度、まずはやってみようというチャレンジ精神で、なんとか乗り越えてきました」。今回の主人公は、『日立製作所』九州支社で営業部長を務める杉本美穂子さん。大企業ゆえに責任やプレッシャーは如何ほどかと思いきや、その笑顔に気負うところは一つもない。

地道に、コツコツと

杉本さんが大学を卒業した1990年頃は、まさにコンピュータの黎明期。『日立製作所』へ入社後は、基礎からみっちりとコンピュータシステムの教育を受け、営業として歩み始めた。何千万円と、取り扱う額が大きく、専門知識が必要とされるため、一人前の営業になるには4〜5年はかかる。だが27歳の頃、やりがいを感じる一方で「この仕事が本当に私のやりたいことなのか」という疑問や迷いが大きくなった。「思い切って辞めようと、当時の上司に伝えました。すると、『地元・福岡で働いてから辞めるか決めてもいいんじゃないか?』と言ってくれたんです」。思いがけない上司の提案で、現在の職場へ。引き止めてくれたうえ、地元での仕事を勧めてくれた上司や会社への感謝の気持ちと、人の気質や地元という安心感で迷いは消え、心機一転、がんばる力が湧いた。

その後、顧客の要望や技術部門との間で苦労しつつも徐々に注文が取れ始め、規模が大きくなり専門性が増すほどやりがいも増えた。「どうしたらお客様の役に立てるか、注文に至るまでの過程が面白かった」。着実にステップアップしつつ、プライベートでも結婚、出産と新たな道を歩み出した。

挑戦が成長に繋がる

2人目の育休復帰から半年後、突然、課長職へ抜擢。2人の子育てに追われ、本来の仕事のペースさえ掴めないまま慌しく過ぎる日々。「管理職の仕事まで全うできるか」と不安に駆られたが、期待してくれた上司の気持ちに応えたいとも思った。「ダメならダメで、そのとき考えればいい。とにかくがんばってみよう!」と奮起。19時の保育園お迎えは死守しつつ、生産性を意識して時間を調整して働いた。「職場の人や家族の支えがあってこそできたことですが、あのとき挑戦してよかったと思います。違ったものの見方や考え方を知り、成長できたから」。子育ての経験は自身の成長にも繋がった。「部下の成長のスピードや性格を尊重して、公平に評価できるよう、常に心がけています」。

後進の成長に尽力

2013年、彼女は部長職に昇進。15名が所属する部署のマネジメントや成績、部下の育成など、これまで以上に肩の荷は重くなった。そして部長職ともなると、営業社員一人ひとりに同行することはなく、動いた結果にしかアドバイスをしてあげられない。そのため、一人前の営業力を身につけてもらうために心を砕くという。「『この人から買いたい』と思ってもらえる人財に育つよう、その人の持つ強みや魅力を引き出してあげるのは私の役目だと思っています。ただ、本人がすべてをさらけ出さないと本音の部分は見えてこないので、厳しいことを言って問い詰めることも。そうして成長していってくれることを願っていますが、怖い上司だと思われているかもしれませんね」と、立場ゆえの苦悩も垣間見えた。

ときに迷い悩み、地道に挑戦と調整を重ねた結果、今のキャリアを手にした杉本さん。その実直さとひたむきさで、これからも自らの道を切り拓いていく。

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