西本 祥子(にしもと しょうこ)さん
財団法人アジア女性交流・
研究フォーラム(KFAW)専務理事
Profile/1951年北九州市門司区出身。九州大学法学部卒業後、中途採用で北九州市役所に入職。女性初の文書課法規係に配属。その後、保健や職員研修などの業務を経験。49歳で課長となり、保健福祉を中心に携わる。子ども家庭局部長を経て2010年女性初の局長となる。2012年4月現職に就任。異業種交流会「北九ネットしおりの会」を仲間たちと主催。
仕事を通じて成長。続く女性にもチャンスを!
アジア地域の女性の地位向上と連帯・発展を目指して活動する『アジア女性交流・研究フォーラム(KFAW)』で、専務理事を務める西本祥子さん。市役所に長年勤務し、様々な要職を担ってきたキャリアの持ち主だ。
「私は恵まれているんですよ。遠慮せずものを言ってきたのに、いつも応援してくれる人がいて」と大らかに笑う。きつい仕事や大変な時期もあったが、それに勝る達成感が仕事を続ける力になってきた。
多くの人に支えられ乗り越えたピンチ
西本さんの最初の仕事は、条例や規則に関する業務、法的な相談を受ける係だった。新人には回答できない難問が多く、「いきなり岩山の前に立たされ、登りなさいと言われた感じだった」という。仕事は大変だったが、上司や同僚に応援され、課題を解決していった。27歳まで法規係を務め、仕事の土台を築いた。
29歳で結婚。両親と同居し、2人の子どもを育てた。長女が熱性痙攣を起こして、退職しようと思ったこともある。課長になった年には、母親が骨折をして介護が必要になった。職場の仲間や介護の専門家など、多くの人に助けられ、仕事と家庭を両立してきた。
それでも、「私は結婚して仕事が楽になりました」と話す西本さん。悩んだときに、一番支えてくれたのは夫。「年休をたくさん取って、頭を冷やしたほうがいいよ」「進むか進まないか迷うくらいなら、進むほうがいい」など、ボソッと発するひと言に助けられた。
自分の足跡を残す仕事
転機となったのは、30代後半で就いた職員研修の仕事。ちょうど研修を根本的に見直す時期で、多くの自治体職員や講師と交流して指導を受けた。「自治体が国の下請け的発想を捨て、主体的に政策を考える」ことを学び、大きな刺激を受けた。
「このときから、配属された先では、ちゃんと自分の仕事の跡を残したい! と思うようになった。かなり意識が変わりましたね」。
もう一つのターニングポイントは、課長職で保健福祉を担当したとき。現場の責任者として、児童虐待、D V、介護問題など難しいケースに取り組んだ。区役所だけではなく、様々な機関と連携して解決し、チームで動く喜びを経験した。「志を持って地道にやっていけば、何とか改善するものだと思いました」。
西本さんは、その後も自発的な姿勢と枠を超えた連係プレーで、次々と新規事業を立ち上げた。
応援の連鎖を繋ぐ
もともと管理職志向はなかったが、55歳で部長、58歳で女性初の局長に就任。「女性登用が進んだ時期だったから、運がよかったんですよ」と、さらりと語る。
「幅広く、いろんな人に会えるのがいいですね。決定権もあるから、仕事を形にできる。管理職になってよかったことは、たくさんあります。私の後にも多くの女性達が続いて、チャンスを掴んでほしい」。
今年の4月からKFAWの仕事をすることになった西本さん。今までの経験を活かし、さらに意欲的に仕事にチャレンジしている。
「アジアと交流しながら、グローバルに女性問題を考えられるのはここしかない。たくさんの方に関わってほしいですね」。
どんな状況でも仕事を続け、頑張れたのは周りの支えがあったから。幸運に感謝し、出会った人たちを精一杯応援していく。