インタビュー

激白。女性議員が 福岡を、日本を変える。

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国会議員、福岡県議会議員、春日市議会議員、3人の女性議員の皆さまにお集まりいただき、議員としての仕事、信条、おもしろさなどを語っていただきました。
女性議員が増えることで、世の中を変えることができるのか。一緒に考えてみませんか?

-聞き手:村山由香里(株式会社アヴァンティ代表取締役社長)

女性の議員が少ない。
ならば、私が。

-政治家になるきっかけは?

西川 PTA活動をずっと続けてきて、初の女性会長になった時、当時の自治会長さんに「議員にならんね」と言われ意識しました。40歳の頃です。その後、先輩の女性議員さんが、福岡県の事業で「女性研修の翼」をすすめてくださって、ノルウェーとイギリスを訪問して女性が活躍していることに衝撃を受けました。また、村山さんがあすばる館長だった頃、第1期の「ふくおか女性いきいき塾」に参加して、研修の翼といきいき塾の2つで感化され、刺激的で励ましあえる女性たちと出会ったことが大きかったです。

-いきいき塾1期生から2人、西川さんと築上町の宗さんが立候補され当選されました。すばらしかったです。来年の統一地方選挙でも、いきいき塾卒塾生から立候補される方がいると聞いています。

西川 福岡県の人材育成はすごいと思います。

01 私は、民主党政権に交代した時に日本が変わるかなあと期待して公募で参議院選挙に出ました。それまでずっと女性議員が少ないからなんとかしなくちゃ、と、応援していました。自分は出ないと思っていたんですが…。落ちた時はショックでしたが、9カ月後に県議会議員に。

-よかったですね。県議で当選されていまや2期目です。高瀬さんは、九州でただ1人の国会議員ですね。

高瀬 はい。当時、九州には女性の国会議員は一人もいませんでした。女性の活躍を言われる中、女性人口が多く、女性が活躍する福岡県を代表する議員が一人もいない状況は時代の流れに逆行しています。また、外交官として10年ほど外から日本を見たとき、いろんな意味で日本の女性政策が遅れていると感じていました。国政の場で変えていきたいという思いで出馬をさせていただきました。

保育、シングルマザー、
性暴力、地域の防犯カメラ…。
女性の問題だからこそ。

-議員の仕事で、世の中を変えることができるのでしょうか?

高瀬 保育の無償化が決まり、来年10月から始まります。国会で無償化に認可外保育園を入れるか入れないかという議論があったのですが、「認可外は認可に預けたいのにできない方々、一生懸命家計をやりくりして預けているのに認可外だからと無償化の対象外というのはあまりに不公平感が大きい」という意見をいただいて、福岡の意見として議論の場で言わせていただき実現できました。また、ひとり親の方とお会いして、「未婚のシングルマザーは寡婦控除がない。おかしい」という意見をいただいて、税制を変えるために取り組んでいます。また、成田、羽田、関空、中部、沖縄にはあるのに福岡空港は保育所がありません。国土交通委員会で保育所設置を求め、国の要望として運営会社にお願いしています。

福岡県は性犯罪発生率ワースト2位。性犯罪の抑止について、議会で質問してきたことで大きく変わってきました。まず、県警の重点課題の3つ目に入れてもらえたこと。それまでは、暴力団と飲酒運転だけだったんです。それから、性犯罪被害者支援センターというワンストップで性犯罪被害者を支援するセンターの設置。党として国会で「県ではこんなこともやってますよ」と発言してもらったりもしました。

03西川 私は、防犯カメラの設置を実現しました。性犯罪は魂の殺人だと、女性の立場から訴えました。

高瀬 国会で受動喫煙を防止する健康増進法が通りました。レストランなどでのぞまない受動喫煙をしなくていいように、禁煙のレストランを増やしましょう、喫煙できるなら、きちんと表示してわかるようにしましょう、という法律です。女性や子どもを守るために、女性は肌感覚でわかっていますので、女性議員が協力して発言していきました。今年春には、「超党派ママパパ議員連盟」ができ、党派を超えて、女性の問題、子どもの問題を変えていこうとしています。

-皆さんの活動をお聞きして、市民の声を聞き、議会で質問し、議論して、法律や政策を変えられるんだなあとワクワクしました。

国会質疑で安倍総理に、
男性の育休が取れるよう要望。

高瀬 34歳で出馬した時は独身だったのですが、結婚し、当選した翌年にはおなかに子どもがいるのがわかったんです。いま、10カ月の子どもがいます。

全員 えーっ!知りませんでした。

高瀬 ギリギリまで公表しませんでした。党で前例がなかったので、自分の身体とのバランスでどこまで仕事していいのか悩みました。いろんなご意見があるし、お気遣いもいただくので、9カ月くらいまで公表せずに仕事しました。体調は日々変化し、議場に座っているだけできつい日もありました。議会の制度や仕組みを変えていかないと女性議員が増えないと思います。国会に託児所が1カ所あるんですが、0歳児の募集は1名に対して100名以上が応募しているという状況です。

-え、議員さんに若い女性は少ないですよね?

02高瀬 議員秘書さんや国会職員にたくさんいらっしゃいますから。ママパパ議員連盟でもう一カ所託児所を作ってほしいと陳情を出しました。それと、これは地方議員の皆さまも一緒だと思うのですが、議員には産休も育休もありません。すると、休んでいる間もお給料が発生してしまうんですね。私の場合、回復に3カ月ほどかかりまして、動くこともできないような状態でした。それでお給料をいただくというのは大変後ろめたい思いになります。制度があれば、お給料は減っても子どもとの大切な時間を過ごしたり、自分の体が回復する時間をとることができます。その制度すらないんです。

-過酷ですね。産休育休がないのは、経営者も同じですね。

高瀬 「女性が活躍するためには、男性が育児介護に参加できる環境に整えないと、いくら女性政策ばかりをやっても変わらない」と、NHKでも中継された国会質疑で安倍総理に申し上げました。多少強制くらいで男性も育児に参加するようにしないと変わりません。すると男性の働き方が変わってきます。以前は、週休2日制はありえないという感じだったのが、制度を変えて何年も続けていくと、それが当たり前になりました。男性の育休も同じです。

西川 男性の長時間労働もネックです。

-官僚の世界が異常な長時間労働ですよね?

その元凶が国会対応。

高瀬 本当にそうなんです。例えば、委員会の質問は2日前が締め切りなんですが、守られなくてギリギリに出される議員さんもけっこういらっしゃいます。

-ギリギリに出すから官僚は夜中まで大忙し。

議員も行政も男性がほとんどだからじゃないですか?議員や行政職員の管理職に女性がもっと増えてきたら変わると思いますよ。私は、質問する前になるべく早く、趣旨を伝えるようにしています。追求するためでなく、「いい答えを用意してきてくださいね」という意味で早く言うんです。すると、行政の方は一生懸命に「何ができるか」考えてきてくださいます。

地方議員は、
女性に向いている !?

-今年5月、政治分野の男女共同参画推進法が成立施行されました。

高瀬 各政党に対して男性と女性の比率をなるべく均等にもっていけるように努めなさいという、歴史的な法律です。あくまで努力義務ではあるのですが、各政党で、議員になりたいと思う女性が出てくるような環境をしっかり作っていく、教育していく、候補を立てるときになるべく均等になるよう努力してくださいという法律です。強制力はありませんが、今まで全くそういう法律はなかったですし、国として女性議員を増やすために何かするということはなかった。

それが明文化されたということですよね。でも、義務ではない。例えば、女性候補が多い党には、政党交付金を上乗せするとかすればいいけど、何もない。

西川 そこ、大切ですよね。

経済的インセンティブが必要だと思う。男性の育休にしても。

-フランスでは、男女ペアで立候補するから、必然的に通るのも男女同数。

比例代表制だと、クォータ制で女性率がぐんと増える。

西川 割り当てを決める、クォータ制をとっている国は、世界130カ国を超えると聞いています。努力義務でも日本にこんな法律ができたことは大きいと思います。

-最後に、議員になってよかったことは?

高瀬 当事者として意見を言うことができる、また、いろんな声をいただいて、制度を変えられるか、何が必要かを地元の方と一緒に考え、実行できるのはすごくやりがいがあります。福岡のためにお仕事させていただけるのはありがたいと思います。

議員になることは世の中を変える近道。手ごたえがあります。

西川 自分で動かしていけば、自分たちの生活がダイレクトに変わる。暮らしをよくする仕事なのでやりがいがあります。議会など時間拘束はありますが、案外、自分の時間をマネージメントできるんですよね。

地方議員は、女性向きだと思いますよ。子育ての経験やPTAの経験、地域での仕事、すべての経験が活かせる仕事です。女性の第2第3の人生としておすすめです。

-再就職するより選挙に出ろ、ですね。自分は出なくてもこれはと思う女性を押し出し支援する、という方法もありますね。今日はエキサイティングなお話をありがとうございました。

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