インタビュー

吉野 了嗣さん/自分が面白いと思ったことを 真剣にやり続ける。

吉野 了嗣(よしの りょうじ)さん
『学校法人九州自然学園
北九州子どもの村小学校』 事務長

東京都出身。結婚を機に北九州へ移り住み、1992年、戸畑で不登校の学生のためのフリースクールを開校。その後1997年に「ひらおだい自然塾」を設立(2002年NPO認証)、2006年、「学校法人 九州自然学園 ひらおだい四季の丘小学校」を開校。2009年に「北九州子どもの村小学校」に改称、現在事務長を務める。2011年中学校も開校。
http://www.k-children.jp

 

吉野さんへ3つの質問

Q. この仕事に向いている人は?
A. 何でもいいからひとつのことに打ち込める人。いわゆる「子ども好き」は逆に向いてないかもしれません。

Q. あなたのバイブルは?
A. 個人的には「武士道」。学校としてのバイブルはレイチェルカーソンの「センス・オブ・ワンダー」。

Q. あなたのメンターは?
A. これまで応援してくれたすべての人。

自分が面白いと思ったことを
真剣にやり続ける。

美しいカルスト台地が広がる北九州・平尾台に、面白い学校がある。「北九州子どもの村 小学校・中学校」。九州・山口から生徒が集まる全校生徒40人の小さな学校では体験や生活から学ぶ授業が中心に行われ、プロジェクトと呼ばれる中心の活動は、すべて子どもたちが考え、話し合って決めていく。この学校を作った吉野了嗣さんに会いに行った。

自然の中で暮らし、不登校の生徒と接して感じたこと

東京生まれの東京育ち。「都会は飽きた」と25歳で、結婚を機に妻の故郷である平尾台へ移り住んだ。予備校の講師などを経て、戸畑で不登校の若者たちのためのフリースクールを開校。学校に行けないことに劣等感を持つ若者たちの社会復帰をサポートした。10年間、300人を超える若者と向き合って感じたのは初等教育の大切さ。「いわゆる“問題児”がいる背景には、効率重視や机上で学ぶ画一した教育制度があり、それをよしとする社会への違和感が昔からずっとありました。社会から弾かれる子がこれ以上増えないように、小さい頃からいろんな体験をして、自分の考えをしっかり持って生きていけるような子が育ってほしい。そう思いました」。この思いが小学校を作りたい気持ちへと繋がった。

体験からすべての科目を学ぶ学校を作る

1997年には準備活動として「ひらおだい自然塾」を設立。週末に農作業やキャンプなど、体験を通じて学ぶことを教える活動を行った。2004年に北九州市が「自立と共生の教育特区」の認定を受けたことも追い風になり、廃校になった学校を無償で借りて2006年には小学校を開校。教育モデルとした和歌山県の「きのくにこどもの村学園」との提携を経て今年で8年目を迎える。「勉強を教えるのではなく、体験を通じて学ぶことの大切さや楽しさを教えています。体験学習が中心のため特殊に見られがちですが、文科省の指導要領はクリアしています。『池を作る』という授業ひとつでも、面積を考えることは数学、池に住む生物は理科、記録や感想文は国語、とすべての科目を学ぶことができる。子どもたちにとっても『池を作るために必要』だという動機付けがあるから学ぶ意欲も湧きやすい」という。

学校の他にも東北への支援活動や韓国人へ日本語を教えるボランティアなど、活動が多岐にわたる吉野さん。信条にしているのは面白いと思うことに真剣に取り組めば、興味や理解を示す人がついてくるということ。「夢中で取り組んで、その面白さや楽しさを皆で分かち合いたい。僕自身が子どもなんです」と笑う。いまだ決して大勢になることのない教育改革。だがそれに共鳴する人は確かにいて、学校・家庭・地域の3方向から、強く生きる力を持った子どもたちを育んでいく。

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