インタビュー

村田まみさん/「町の人を泣くほど喜ばせたい!」

村田 まみ(むらた まみ)さん
大刀洗町役場 地域振興課 自治振興係長
地元の高校を卒業後、19歳で大刀洗町役場へ入庁。税務や戸籍係の業務等を経て、5年前に地域づくりに携わる部署へ。地域づくりに力を入れる、との町の方針に伴い、facebookの導入や、町の女性たちの手づくり野菜の通販「おいしかぁ~便」をスタート。数々のイベントでも出店しながら大刀洗町の地域おこし、PRに奔走する。もう一つのライフワークはホルン演奏、指揮。

「町の人を泣くほど喜ばせたい!」。

西鉄甘木線ののどかな風景を眺めながら電車に揺られて到着した福岡県三井郡大刀洗町役場。ここに注目を集める公務員がいる。村田まみさん。筑後弁が板についた彼女が現在携わるのは、地域づくり、広報、観光、自治会・地域コミュニティなど、町民と直に接する仕事。そんな彼女の元には全国各地から視察の人が訪れているという。

村田さんが現在手がけているなかで、特長的な仕事の一つは「facebook」の導入。

facebookページを持つ自治体は少しずつ増えているが、大刀洗町は早期にSNSの有効性を見出し、「町のよさをリアルにタイムリーに発信できるツール」として着目。町の広報の手段として取り入れた。

さらに、このfacebookを活用した通販サイトで、地元の生産者が作った新鮮な米や野菜を箱に詰めて送る「Japan Sg(おいしかぁ~便)」にも参画。全国17カ所の自治体とともに通信販売を行っている。これは、町の収益を上げることだけが目的ではない。「町の農家の女性たちにとって、自分たちが作った野菜を直接消費者へ届けて食べてもらえるってやりがいになるっちゃんね。一日中家族と農作業をしている女性たちがちょっと外へ出かけて、町の人と交流をする機会を得て、利益も少しばかり入ってくる…そんな場になっとるったい。もちろん、大刀洗町の良質な野菜を知ってもらえるPRの役割も担っとるしね」と、語る。

軸は、町の人が主役になるかどうか
前例のない新しい取り組みを行うのに、躊躇をすることはないか尋ねたところ「私がやってきたことって、実は全部我流っちゃん。メソッドなんて何もない。できることからやってみただけ。だから躊躇はせんかった」と語る。軸はあくまで “町の人が主役であること”。「田舎の人って、前に出たがらん人が多いけど、私は、町の方々が持っているもの、やっていることをキラキラに倍にして素敵に表現するだけ。自身の持つブランド力に気づいてもらうための下地づくりやんね」。そんな先駆的な取り組みを、自分たちにも活かそうと全国の自治体担当者が絶えず村田さんのもとを訪れるという。

「他人ごと」ではない姿勢に賛同者が集う
村田さんが、大刀洗町役場で働こうと思ったのは、強い理由があるわけではなかったという。出身の町のためになって、幼い頃から大好きな音楽をする時間が取れるような仕事だったから。彼女曰く、「ごく一般的な公務員」として働く20代は、悶々とする日々を過ごすこともあった。しかし、役場に勤めて22年。町の人のことがほとんど分かる。そんな立場になって視界が変化してきているという。それは、彼女が以前から町のために、この人のためにと動いてきた結果なのだろう。彼女の取り組みに賛同者が多くいるのも、村田さんが常に自分ごととして「一緒にやろう」「私はこうしたい、どう思う?」というスタンスを貫いている結果だ。「今後も、誰か一人を泣くほど喜ばせたい! 自分も喜びたいって思うことを実現していきたい」と語る。

「今振り返って思うのは、若いとき自分はこれくらいかな、と限度を決めがちになってしまうけど、いったんその思いを取っ払ったら、自分の可能性は無限に広がっていることに気づくのかも。私は自分で自分に敷くレールを外した時に、人生面白くなったとよ」と語る彼女の言葉が光っていた。

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