コラム

実の父から相続した財産。離婚するときには分けないといけない?

夫と離婚することを考えています。先日、父が亡くなり、まとまった現金を相続することになりました。この相続で得たお金について、離婚するとき夫に分けなければいけないのでしょうか。

相続した財産は、離婚の際に分ける必要はありません。

離婚する場合、財産分与といって、夫婦が結婚している間(原則として結婚時から別居時まで。)に夫婦の協力によって作った財産(「共有財産」といいます。)について清算することを求めることができます。

結婚している間に作った財産は、名義がどちらか一方になっている場合も多いと思いますが、財産分与の対象となる財産は、実質的に夫婦の共有財産であればよく、名義は問いません。

お尋ねの相続した財産は、夫婦の協力によって作った財産ではないため、財産分与の対象となる共有財産となりません。ですので、離婚の際に、相手に分ける必要はありません。このような夫婦どちらかだけの財産を、「特有財産」といいます。

もっとも、離婚の際に財産分与について争いとなった場合、特有財産であると主張する方が、きちんと証拠をそろえて特有財産であることを証明しないといけません。

そこで、相続した財産と、夫婦の共有財産が混ざってしまわないよう、それぞれの財産をきちんと区別して保管しておく必要がありますし、相続したものと証明するためにどこから得たお金か分かる証拠を保管しておく必要があります。

相続財産の他に、財産分与の対象とならないものとして、独身時代に作った預貯金などがあります。独身財産のお金についても、夫婦共有の財産と混ざってしまわないよう、しっかりと分けて保管し、独身時代のものであるとの証拠を残しておきましょう。

 

どのような財産が財産分与の対象となるのか、財産分与の計算方法など、複雑な点も多いので、分からないことがあれば専門家に相談することをおすすめします。

答えてくれたのは・・・井芹 美瑛 先生

熊本県出身。九州大学法学部卒業、九州大学法科大学院修了。
2015年、弁護士登録・当事務所に入所。依頼者に寄り添う優しく、問題解決のために尽力する強い弁護士となることが目標。趣味はミュージカル鑑賞と手芸。最近ではホームベーカリーでパンを焼くことにはまっている。

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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。

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