毎月給料から貯蓄をし、ボーナスも無駄づかいしないで、なるべく預金にまわすよう心がけています。
マネー雑誌だけではなく、「貯蓄から投資へ」、「資産運用 7つのレッスン」、「賢い女性は株で儲ける」「おかねは銀行に預けるな」等々お金の話はあらゆるところで目にしますが、難しそうでよくわかりません。
そもそも貯蓄以外に運用や投資をする必要があるのでしょうか?
A.
「お金は無駄遣いせず貯金しなさい」と子供のころから言われてきましたよね。
親から言われる以外は、学校でも投資教育は特に受けた記憶はありません。
アメリカの高校では「経済」が主要科目のひとつにあり、教科書で金融と証券だけで約80ページもあります。イギリスでも同じような形です。
日本では、運用といえば、「村上ファンド」や「ホリエモン」のように、株式や投資で儲けることあまり良しとしない風潮があります。
(※村上・堀江両氏は儲けすぎたから逮捕されたわけではありません。やり方が美しくありませんでしたし、共感もできません・・)
日本人の平均寿命は年々伸びており、80歳を超えています。
60歳で定年退職したとすると20年を超える年月のセカンド・ライフを過ごすことになります。
あまり知られていないようですが、日本の公的年金の給付額は世界でも非常に高いといわれています。しかし、多くの方が老後の生活の多少なりとも不安を抱えているようです。
金融広報中央委員会の発表の「老後の生活を心配している理由」をみると
・ 十分な貯蓄がない
・ 現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて年金や保険が十分でない
・ 貯蓄などの準備をしていない
・ 退職一時金が十分でない
・ こどもからの援助が期待できない
・ 再就職による収入の見込みがない
お金に関する心配ごとが多いようです。
年金だけを定年後の収入と考えたとき、60歳で定年した後、年金支給年齢を考えると65歳までの5年間まったく収入がなくなることが考えられます。年間の基本生活費が300万円必要だとすれば5年間で1500万円のお金が必要になってきます。
また、65歳以降の年金の不足分も気になります。
20年で2000万円貯めようとした場合、毎月どのくらいのお金を積立をしなければならないのでしょうか。(複利運用 20%の源泉税)
例 20年で2000万円貯めようとした場合
① 普通預金程度 金利0.04% 毎月の積立額 83,100円
② 大口定期程度 金利0.19% 毎月の積立額 82,200円
③ 金利1% 毎月の積立額 77,200円
④ 金利5% 毎月の積立額 55,800円
毎月8万円以上貯蓄できる方は、銀行預金でどうにか2000万円確保できますが、5万円の積立しかできない場合は、5%を超える金利で増やさなければいけません。
20年間で2000万円を例にしましたが、実際は、住宅購入、こどもの教育費、クルマの買換え、時には旅行や医療費でお金がかかることもあるでしょう。金利も今のような低い金利が続くわけではありませんが、20年という年月の間には物価が上昇するリスクも考慮しなければなりません。また昨今は企業年金の解散も相次いでいます。となれば、もっと多くの金額を貯蓄するか、もっと高い金利で増やすことを考えなければなりません。
では、どうすればいいのでしょうか。
先ずは、ゆとりあるセカンド・ライフを送るためにはどのくらいお金が必要か目標金額を設定してみましょう。リタイアなんて遠い先のことでわからないと思っていても、誰でも必ず年をとっていきます。
イギリスでは30代半ばになると勤務している会社にファイナンシャル・アドバイザーが来て、リタイアメント・プランのアドバイスをしてくれます。若いときから取り組むと費用が安上がりになるだけではなく、より豊かなセカンド・ライフを送ることができるからです。現在は物価が安くなりデフレ傾向ですが、長い歴史の中では資本主義は必ずインフレを起こすといっても過言ではありません。将来のインフレ率を考慮した目標額は驚くほど大きな数字になってしまう可能性があります。
目標金額がはっきりすれば、資産運用の方向性が見えてきて、いきなり株式やFXに投資するのではなく、色々な選択肢が考えられます。
資産運用は、株式が大好きなお金持ちの人たちがする特別なことではありません。
自分のゆとりある将来の生活を確保するためにも資産運用に真面目に、積極的に取り組む必要があると思います。
資産運用の世界では、「なにも知らない」ことのコストは高いので十分納得してからはじめることが大切です。