アヴァンティ働く女性研究所のアンケートでは、在宅ワークをしたことがあるのは3割弱、73%の人が未経験でした。では、したことがない人はなぜ、在宅勤務をしたことがないのでしょう。
その理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「会社に制度がないから」で80%。制度さえあれば在宅勤務は一気に普及しそうです。
ただ、制度がある会社でも使ったことがない人はいます。その理由は、「制度はあるが、パソコンなど仕事上で必要な設備が会社にしかないから」8%、「制度はあるが、上長への事前許可や人事部への申請など、手続きが面倒なので」が6%、「制度はあるが、自分の職種・担当は会社でしかできない仕事なので」「制度はあるが、職場の上司が許可してくれないので」「制度はあるが、自分が公私を分けたい・仕事を持ち帰りたくないので」がそれぞれ5%、「制度はあるが、同僚の手前、使いにくいから」「制度はあるが、残業代がつかないので」がともに3%でした。
制度があっても使えない背景には、企業側の本気度のなさが見て取れます。例えば、「上司が許可しない」(絵に描いた餅ですね)とか、「残業代がつかない」(制度を使えば「ただ働き」になっちゃいますね)などはブラック予備軍と言えるでしょうし、「必要な設備が会社にしかない」「手続きが面倒」などは、目に見えてブラックではないけれど、なるべくなら制度を使わせたくないという会社側の意図が透けて見えます。
一方、「制度はあるが、管理職なので使えない」「制度はあるが、取引先の手前、使えない」という回答は、それぞれ、意外にもゼロ。取引先にとっては、在宅勤務かどうかはあまり問題にならないということで、ちょっと勇気がもらえますね。また、「制度はあるが、自分の気持ちとして」積極的に「在宅勤務をしたくない」人は5%とごくわずかでした。
在宅勤務の制度が会社にあったら取りたいかとの問いには、72%の人が取りたいと答えました。では残り28%の人はなぜ取りたいと思わないのでしょう。
興味深いのは、在宅勤務をした時に障害になるのは、子供による邪魔よりも、「仕事のスイッチが入らない」とか「サボってしまう」といった自分自身のモチベーションだと考える人が多いということです。会社という場に行くことによって、公私のスイッチが切り替えられて仕事モードになり、かつ、周囲と切磋琢磨もできる、ということでしょう。米国のIBMが最近、在宅勤務から出社勤務へと労務施策を転換させた理由とも符合します。
アヴァンティ働く女性研究所の登録者約2000人にSNS等で呼びかけ、回答を得た。回答期間は8月21日~31日。有効回答数88。回答者は「20〜24歳」から「65〜69歳」までで、最多は「35〜39歳」。
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