今回のコラムでは、お金を計画的に準備するための「資産形成」について、考えてみましょう。
「貯蓄」と「投資」
将来に向けてお金を準備する「資産形成」には、「貯蓄」(銀行の預金など)と「投資」の2つの方法があります。
すぐに必要となるお金は、自由に引き出すことのできる「貯蓄」の形で、持っておくことが大切です。
一方、教育や老後資金など、今すぐに必要にならなくても、将来のために増やしていきたいお金は、株式や投資信託などのリスク性商品を利用した「投資」の形で、先を見越した備えをするのに向いています。
なぜ「投資」なの?リスクは大丈夫?
低金利のもとでは、預金だけでは資産は増えません。そのため、「投資」が注目されています。
「投資」は、元本割れするリスクがあります。心配に思われる方もいらっしゃると思いますが、ちょっとのコツでリスクを軽減することが期待できます。
ズバリ、投資のコツは、長期・積立・分散投資!
資産や地域を分散した積立投資を長期間続けることで、結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向があると言われています。
下の図は、長期・積立・分散投資を行った過去の実績です。定期預金(下図中の「A:定期預金」)に比べて、投資の効果がお分かりいただけると思います。
今回、ご説明する「つみたてNISA」は、投資のコツである長期・積立・分散投資を支援するために作られた制度です(2018年1月からスタート)。
「つみたてNISA」
つみたてNISA(注1)は、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための制度で、専用の口座で投資した運用益が非課税になる制度です。
購入できる商品は、投資信託(注2)の積立投資に限られており、金額は、年間40万円まで。購入した投資信託を売却して得た利益や受け取った配当が非課税(通常は約20%の税金がかかります。)となっており、非課税期間は20年間です。
(注1)つみたてNISAを始めるには、販売会社(銀行や証券会社など)で専用口座(1人1口座)の開設が必要となります。
(注2)「投資信託」は、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が国内外の株式や債券などに投資する商品です。その運用は購入額に応じて投資家に還元されます。(金融庁「基礎から学べる金融ガイド」)
金融庁「つみたてNISAの制度説明資料」より一部引用
手数料はかかるの?
通常、投資信託は、販売手数料や信託報酬などといった手数料(コスト)がかかります。
実際、日米の規模の大きい公募投資信託のコストを比較すると、日本の投資信託は、米国のものに比べ、1本あたりの販売手数料、信託報酬ともに高いといった点も指摘されています。
(注1)16年3月末基準。ETF、確定拠出年金専用、機関投資家専用は除く。米国投信純資産額は1ドル=112.43円にて換算。
(注2)日本の販売手数料は上限。米国投信でシェアクラスによって手数料が異なる場合は、各クラスの残高を基に加重平均。
(注3)米国の信託報酬は、代表的なシェアクラスのもの。
(注4)収益率は、販売手数料を加味し、分配金を再投資しないベースで算出。
(出典)QUICK(日本)、運用会社公表資料(米国)より、金融庁作成
しかしながら、つみたてNISAの対象となる投資信託は、安定的な資産形成を目指す、長期・積立・分散投資に適した商品となるよう、販売手数料が0円(ノーロード)で、信託報酬も低い商品などの法令上の条件が設けられています。
みなさんも、つみたてNISAでちょっとずつ、資産形成を始めてみませんか?
つみたてNISAについての詳しい情報は、こちらをご参照ください。
「金融庁 NISA特設ウェブサイト」http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
投資は余裕資金・自己責任で行える範囲にしましょう
金融商品を購入する際は、金融機関任せにするのではなく、商品の特性や取引の仕組み、リスクや手数料等の費用などを十分にご理解いただいた上、必ずご自身の判断と責任で実行してください。
でもやっぱり、結果として元本割れするリスクは嫌だと思われる方は、まずは実質元本保証で最低金利が保障されている「個人向け国債」から始めてみてはいかがでしょう。
※一部金融機関によっては口座開設あるいは口座維持等に際し手数料が必要となります。
個人向け国債についての詳しい情報は、こちらをご参照ください。
「財務省 個人向け国債特設ウェブサイト」
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html
(注)このコラムに記載された情報を利用することで生じたいかなる損害(直接的、間接的を問わず)についても、福岡財務支局及び筆者が責任を負うものではありません。また、文中、意見に関する部分は担当者の私見です。
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