抗がん剤の副作用に叩きのめされ
ようやくその苦しさから解放されつつあった私
相変わらず 食欲が戻らなかった
母は心配して 自宅から 私が食べられそうなものを
いつも持ってきてくれていたけど
期待にこたえられず 食べられなかった
心配した母 何とか少しでも食べてほしかった母
食べないと死んでしまうんじゃないかと 不安な母
副作用で苦しんでいる姿を ずーと見守っていた母
色んな思いが 母の中で飽和状態になっていたんだと思う
ある日 何も食べない私にこう一言
「もう少し 頑張って 食べたら?!」 って
スキルス胃がんを告知されてから
人生が一変し 次から次に色んな事が起こって
現実を受け止めるのも必至なくらい目まぐるしくて
身体も心も すべてがぎりぎりの状態だった
そして初めての抗がん剤に
その副作用に叩きのめされ 必至で頑張って闘っていた私
精神状態はピークに達していた
私に起こった すべての事を 受け入れ
立ち向かうことしか選択肢がなかった私
とにかく いっぱいいっぱい だった
そんな時の
その母の一言に
我慢していたものが 洪水のように溢れてきた
「頑張って・・・って・・・これ以上 どう頑張れって言うのよ!!!」
「食べなきゃいけないってわかっていても 食べられないんだから!」
「無理しても・・・ 食べようとしても・・・ 食べられないんだから ・・・・・・・・」
「頑張っても 自分ではどうしようもできなくて・・・」
「自分が一番 情けなくて くやしいのに ・・・ 」
「これ以上頑張れないよ!!・・・」
と 大声あげて 泣きだした 泣きじゃくった
もう涙も止まらず 悲しくて 辛くて オイオイ泣いた
個室中響き渡る程の声で
それほど辛かった・・・
今、思えば ――― ママも辛かったのに ―――
「頑張って!」の言葉に 傷つくなんて 思った事もなかった
元気な時は 「頑張って!」の言葉が 力にもなった
人を勇気づける言葉だと思っていた
でも 弱っている時は違う
病と闘い続けることを 強いられた日々を送るしかなかった私に
そして 頑張り続けるしかなかった私に
闘い疲れて弱っていた私に
そんな時の 「頑張って」 って言葉は酷だった
母はそれ以来 一度も「頑張って」とは言わない
泣き言をいっても
いつも 「あなたは本当に よく 頑張ってるね えらい!えらい!」
と 褒めることしか言わないし
変われるものなら変わってあげたいと・・・
そしていつも 私の事を 「肯定」 してくれている
「頑張って」と「頑張ってるね」じゃ 天と地ほどに違う
病気になって 初めて知った
「頑張って」に 傷つくこともあることを・・・
☆いっこ☆