
新卒・総合職の募集に申し込むとき、「採用予定人数20名」とされていました。書類審査を通過し、採用面接に進んだのですが、雑談の中で、面接官から「今年の採用は、男性を多く採りたいので、女性は即戦力になるくらいのレベルじゃないとね。」と言われました。性別で選考基準を変えるっておかしくないでしょうか。

男女雇用機会均等法は、労働者の募集や採用に関し、性別を理由とする差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています。
性別を理由とする差別とは、
①募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
②募集・採用の条件を男女で異なるものにすること
③採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
④募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
⑤求人の内容の説明や情報提供について,男女で異なる取扱いをすること
等が挙げられます。
したがって、この募集・採用は、上の例の③・④に当たり、正に男女雇用機会均等法に反する違法なものですので、貴女の感覚は正しいです。会社の遵法意識が低い場合、入社後も、例えば妊娠や出産を理由に嫌がらせを受けたり、最悪の場合、退職に追い込まれたりする差別的な取扱いを受ける可能性もあります。内定を受けたとしても、その会社に入社するかどうかは慎重に検討したほうが賢明だといえそうです。
気になる場合、各都道府県の労働局に雇用均等室という相談窓口がありますので、相談してみたらいかがでしょうか。
2011年1月入所。長崎県長崎市出身。慶應義塾大学法学部卒業、九州大学法科大学院修了。新63期(長崎修習)。理想の弁護士像は、「依頼者の心の痛みを理解・共感する弁護士」。一つひとつの案件を誠実に丁寧に取り組むことがモットー。趣味は音楽鑑賞で、チェリストのピエール・フルニエのCDを集めている。
女性協同法律事務所
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女性協同法律事務所について
「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。