博多座11月公演(11月3日~27日)は、新作歌舞伎『あらしのよるに』が上演されます。
『あらしのよるに』は累計300万部を超えるベストセラー絵本。喰うものと喰われるものという敵対関係にある狼のがぶと山羊のめいが、情と本能の間で苦悩し、葛藤を乗り越えながら友情を育んでいくという感動的な物語です。今回の上演は、中村獅童さんが絵本のストーリーに惚れ込み、熱望して歌舞伎化となった作品です。2015年京都・南座、2016年の東京・歌舞伎座での人気公演に続き、待望の博多座での上演となります!
先日、新天町パレードの後、マスコミ取材会かありましたのでレポートします。
新天町パレード
中村獅童さん演じる「がぶ」、尾上松也さん演じる「めい」も一緒に、子どもたちと作画のあべ弘士さんも一緒に新天町をパレード。約2000名のファンが詰めかけました!
取材インタビュー
歌舞伎にしたいと思った一番の理由は何でしょうか?
中村獅童さん/『あらしのよるに』のファンタジックでメルヘンな世界観が歌舞伎になると感じました。大人になると忘れかけていたことを思い出させてくれるストーリーは、歌舞伎に通じるものがあります。また、「自分を信じろ」というセリフが役者人生にかぶるものがあります。子どもにも見てもらえる作品ですが、決して子ども向けにやっているわけではありません。大人が見ても、色んな感じ方をしてもらえると思います。
主演の獅童さんからメイ役のオファーがきた時のお気持ちは?
尾上松也さん/素直に嬉しかったです! 新作歌舞伎を作り上げるのは非常に苦労するのですが、私自身、この絵本のストーリーに惹かれていたので、演じることで応えたいと思いました。年齢、性別、国籍…多様に見る人によって感じるものが違う作品だと思います。人間関係や社会環境、そんなことにも置き換えて見てくださる人もいます。家族で見てもそれぞれが感じることが違う、そんな素晴らしい作品を大事にしたいという思いで演じています。
この作品に出てくるのは動物ばかりですが、ご苦労された点は?
中村獅童さん/衣装、かつらなど総合技術でそれっぽく見えるようになっていますが、和服でいかに表現するか工夫をしています。ガブの場合は、『狐忠信』をベースにして狼を演じています。和服が暑いんです(笑)。一回の公演で1.5Kg落ちることもあります。しかしながら、例えばヤギを食べたい心の声を義太夫で表したり、長唄など古典にこだわった踊りなどは見どころです。歌舞伎の面白さが凝縮されています。
『あらしのよるに』は、普遍的なテーマとして、「友情」「愛」「信じる力」が込められているというお二人。弱肉強食の世界はありますが、見た目の表面的なものだけで判断し決めつけてはいけないというメッセージは、現代社会にもあてはまると言われていました。劇場では、笑ったり、泣いたり、拍手をしたり、感じるままに表現し、子どもから大人まで楽しんでほしい! というメッセージをもらいました。いつもの博多座の劇場以上に、盛り上がりそうです。4歳児から入れる今作、どうぞお見逃しなく!