私だけの場所を求めて。
慌しい日々の中で自分を見失いそうになるとき、いつもの場所から少しだけ離れて非日常を味わってみよう。
思いっきり畑の土に触れる農業体験、自然の中でのんびり過ごすひとり旅。
そんな時間を過ごした後は、なんだか心も体もすっきり整う感覚に。そんないつもとは違う、非日常をあなたも体験してみませんか?
アヴァンティ読者の
休日の過ごし方を調査してみました。
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もっと非日常を味わいたいなら、思い切って海や山へ出かけてみよう。今回は、自然に触れることで自分らしく休日を楽しむ2人を取材しました。
島は大切なことを教えてくれる。
沖縄本島はもちろん、久高(くだか)島や、鹿児島の甑(こしき)島、加計呂麻(かけろま)島…など、今までに旅した島を尋ねると次々と名前が並ぶ。アヴァンティ編集部の中でも、旅好きといえばこの人。沖縄はこれまでに7〜8回は訪れているそう。 「沖縄へは休息のために行くことがほとんど。大好きな友人を訪ね、そこでいただく友人のお母さんの手料理を食べるとほっとします。沖縄は第2の家ともいえる場所。旅の予定を決めると、それまではがんばろうと思えます」。
一人旅では毎回その旅のテーマを決めて、行きたい場所をピックアップするそう。道草をしながら、気になっていたお店を探してその地を散策。すぐにお店の人と仲良くなって、美味しい食事処を教えてもらったり、また来年訪れる約束をしたりすることも。「島には独特の文化が今でも残っているので、その文化に触れたり、方言を聞いたりすると、“あぁ、違うところに来たんだなぁ”と実感します。福岡で暮らしていると忘れてしまうような、心の豊かさにも触れることができます」。
また、島に行ったときは決まって早起きし、ビーチで朝日を眺めるという。「海に入って遊ぶよりは、砂浜に座ったり寝転んだりして、大きく広がる空や海の色が変わっていく様子をぼーっと眺めるのが好きなんです。普段何も考えない時間はあまりないので、このときだけはすべて忘れて、波の音を聴きながらゆっくりします。そうすると、五感が研ぎ澄まされます」。
奄美・加計呂麻島へは、モニターツアーを企画し、もう3度も訪れている。そこには、不思議な体験ができる“とある場所”があるのだとか。「いつも泊まらせていただく宿は海のすぐ目の前なのですが、早朝にそこの“トイレ”に座って海を眺めていると、言葉が降りてくるんです。それは、自分にとって今必要なことや大切なことばかり。日常に戻ってもときどき思い出して、自分を振り返ります。加計呂麻島は、神様が通る神道(かみみち)があると言われているとても神秘的な場所なんです」。そんな島で過ごすひとときが、日々明るく元気に働く彼女の原動力のようだ。
山の厳しさに向かうと、頭の中を空っぽにできる。
「実は、登山をするなんて私の中では一番“ない”と思っていました。旅行は好きでしたが、もともと体力があるほうではなくインドア派だったんですよ」と溝口さん。そんな彼女が登山に目覚めたのは、昨年の8月に、小学生以来初めて太宰府の宝満山を登ったのがきっかけ。
「それまで、登山は苦手だと思っていたのですが、一度登ってみると意外と自分にもできるんだ! と達成感を感じて。それに、20代のころは何事もうまくできないとかっこ悪いんじゃないかと思っていたのですが、30歳を迎えるころに、ようやく純粋に自分が楽しめればいいんだと気がつきました」と、登山は溝口さんにとって、自分自身と向き合う時間になっているよう。「向き合うといっても、登山中はただただきつくて、余裕がないことが多いです。むしろそれがよくって。余計なことも忘れて、頭の中を空っぽにできるのでリフレッシュできます」。
今では、毎月1度は登山やキャンプを楽しんでいるという溝口さん。大人になって、日頃味わうことが少なくなっている達成感や爽快感を味わいながら、なおかつ自然と触れて気分転換できる貴重な時間になっている。
旅のプロに聞く
オンナ旅の最新トレンド
近年の女性たちの旅の特徴とは? 全国の旅の動向に精通する旅のプロに聞きました。
川波 佑吉さん
“食”のストーリーを 楽しむ女性が増えている!
一時はお取り寄せブームも訪れましたが、最近ではわざわざ本場に足を運び、その土地ならではの食を味わいたいという傾向があります。さらに、現地の人と触れ合いを持ち、食材がどのように生産されたのかなどその食の裏にあるストーリーまでを楽しむ人が増えています。
女性たちの旅は二極化している!
数年前からグリーンツーリズム、震災後はボランティアを兼ねた旅をする人も増え、現地の人と交流し、自己成長のための旅スタイルが確立してきました。一方で、リフレッシュの旅、日頃がんばっている自分へのご褒美の旅にでる女性も多く、エステ付宿泊プランも人気です。
専門家に聞く
非日常を求める女性たちの心理
女性たちの非日常や旅の心理に詳しい専門家に話を聞きました。
大方 優子先生
どうして私たちは非日常を求めるの?
人間は常に新しい「快」を求めます。これを「新奇性欲求」といい、カラオケや飲み会などの日常圏で満たすには限界があり、非日常圏を求めます。非日常の代表である旅は、職業でそのスタイルが異なるという調査結果もでています。日頃忙しい管理職や自営業の人はリラックスできる旅、比較的ルーティンワークの人は、刺激のある観光地を望むようです。一人ひとりに「最適刺激水準」があり、日常と非日常を味わい、心と身体のバランスをとっているのです。
女性の一人旅が増えているのはなぜ?
女性の一人旅の阻害要因は、「構造的要因(外的な環境)」「対人的要因(同行者)」「個人的要因(個人の心理)」の3つが考えられます。しかし、最近では一人で宿泊できるホテルが増え、旅の情報も得やすくなりました。同行者がいなくてもFacebookなどで、見た景色や食事の感想などを随時シェアできるので、孤独感を味わうこともありません。また、旅は「マズローの欲求段階説」の上層である自己成長や、自己実現をも満たしてくれるもの。それゆえ、ボランティアツアーなど、旅の目的を持って一人旅をする女性たちも増えているのです。