【コメント スタッフちゅん】
「クリスマス」というワードには、なんか人の気持ちを穏やかに暖かくする力があると思いませんか?そしてちょっと考えてみるだけでクリスマスに纏わるシンボル的なものってたくさんあることに気づきました。
クリスマスツリー、クリスマスプレゼント、クリスマスカード、クリスマスケーキ、クリスマス・キャロルetc…。
今回の映画「Merry Christmas!ロンドンに奇跡を起こした男」は170年以上前から世界中に愛され続けているチャールズ・ディケンズの名作小説「クリスマス・キャロル」が誕生するまでのストーリーを描いたファンタジー作品です。クリスマスを今のように家族や愛する人たちと集いお祝いするルーツとなった物語なんです。
舞台は1843年ロンドン、ヴィクトリア朝時代、産業革命で活気付いていた時代ですけど貧富の差も大きな時代です。主人公のチャールズ・ディケンズは売れっ子小説家として潤風満帆の生活。のはずだったんですが続けて出版した3作が不作で、あっというまに借金まみれに。なんとか愛する家族のためにベストセラーを生み出そうと町中でネタを探して出会ったテーマが「クリスマス」。とてもいいインスピレーションだったんだけど、クリスマス前に出版するにはたった6週間しかないのです。もう必死に執筆に没頭!没頭しすぎて小説の世界と現実の世界が入り混じり、家族に苛立ちをぶつけ不穏な空気となります。チャールズ・ディケンズはなんとか締め切りに間に合わそうともがき苦しむうち、心の奥にしまっていた幼少期の記憶や父との確執という自身の問題が浮き彫りになり、そこに向き合うことで家族や友人への真実の思いやりや優しさ寛容の大切さに気づくんです。
映像では窓から差し込む日の光と夜のロウソクの灯りが効果的に使われていて美しいです。主人公と妻との会話で彼女がカナダでカヌーに乗った冒険家になるつもりだったという言葉がきちんと意志を持ったパートナーとしての‘妻’を感じることができて、細やかなキャラクター設定を楽しむこともできました。今回声優陣も豪華です。スクルージ役 市村正親、ディケンズ役 小野大輔、ケイト役 坂本真綾、ジョン役 江原正士ほか。
クリスマスを愛する人と暖かく穏やかな気持ちで迎えるたくなる映画。ぜひ大切な人と観てください。
【ストーリー】
1843年、ロンドン。落ち目となったベストセラー作家のチャールズ・ディケンズは、これから子どもが増えるというのに、家の改装費用にも事欠くありさまだった。友人でエージェントのフォースターと出版社へと足を運ぶが、原稿料の前借りも断られてしまう。起死回生を狙って新作の構想を練っていたある日、チャールズが耳にしたのは、アイルランド人のメイド、タラが子供たちに聞かせていたクリスマスのストーリー。それは「クリスマスイヴの日にはあの世との境目が薄くなって、精霊たちがこの世にくる」と祖母が語ってくれた話だという。
ロンドンの街角で「煙突掃除人を買いませんか」と子どもが売られている場面に遭遇した夜。墓地へと迷い込んだディケンズは、奇妙な老人と出会う。偏屈そうな老人の「くだらん」という言葉にインスピレーションを得たチャールズは、猛然と筆を走らせる。主人公はケチな実業家。仲間が死ぬ。だが泣けない。大事なのは金だけ。そしてクリスマスイヴ―。超自然的な導きから始まり、主人公がいかに哀れで利己的なのかを描き出す新作の構想を持って出版社へと向かうが、「今どきクリスマスなど誰も祝わない。12月25日は人の財布をひったくる日。要するにクリスマスの本は売れない」と、反応は芳しくない。ディケンズは「クリスマスは一年に一度人々が心を開く日だ」とアピールするが、時はすでに10月半ば。クリスマスまでに本を出版するためには、あと6週間しかない。
©BAH HUMBUG FILMS INC & PARRALLEL FILMS (TMWIC) LTD 2017
書斎で物語の主人公となる老人の名前を考えていた彼が「スクルージ!」とひらめいた瞬間、老人が部屋に現れる。この言葉から何を連想する? というディケンズの言葉にスクルージは答える。暗闇=安い、愛=詐欺、カネ=安心、子ども=役立たない、救貧院=有益……そして、消えてしまうのだった。自腹で費用を払い新作を出版しようと決意したディケンズの前に、金にだらしがなく浮草のように生きるトラブルメイカーの父がやって来る。チャールズはスクルージや彼の前に出現する3人の幽霊からの助言を得ながら執筆を進めるが、それは心にしまいこんでいた過去の記憶や父との確執とも向き合う心の旅でもあった……。
映画 『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』
11 月30 日(金)公開
全国ロードショー
配給: 東北新社STAR CHANNEL MOVIES
https://merrychristmas-movie.jp/#1