カリフォルニアの犯罪に関するあれこれ

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 カリフォルニアに住み始めて驚いたことのひとつに、2~3カ月に1度ぐらいの割合でヘリコプターが住宅街の上空を飛び回るというのがある。バラバラとかなりの騒音で、夜間には、地上をサーチライトで照らしながら、逃げ回っている誰かを探しているのだ。
ある夜、庭に出て空を見上げていたら、自分の周りがくっきりと昼間のように明るくなったこともある(笑顔で手を振るか、両手を上げるか…?)。

 こちらで携帯電話の激しいアラート音が鳴れば、それは地震速報ではなく「アンバー・アラート」の場合がほとんどだ。かつてアンバー・ヘイガーマンという名前の少女が誘拐・殺害された事件をきっかけに作られたこのアラートは、児童の誘拐事件が発生したときに鳴る。
近隣住民が速やかに情報を共有し、早期解決につなげることを目的としているため、アラート音とともに容疑者の車や子どもの特徴などの情報が届く。1年間に2、3回ぐらいは鳴っていると思うが、いつ聞いても悲しい気分になる。

 日本と最も違うのは、やはり性犯罪前科者の情報公開制度だろう。政府が発信している「California Megan’s Law Website」に検索したい地名を入力すれば、性犯罪前科者の居住地や顔写真、名前、身長、入れ墨の有無などの情報が閲覧できる。
これにより私も近所に住んでいる8人の性犯罪前科者の家を把握している。
性犯罪前科者の情報が公開される法律「メーガン法」は、7歳の少女メーガン・カンカが、過去に2度の少女暴行逮捕歴を持つ男に暴行・殺害された事件がきっかけで1994年に制定された。

img1711_los1印が付いているのは性犯罪前科者の家(日系企業が集まる街、トーランスの検索結果。
www.meganslaw.ca.gov

 なお、2005年には性犯罪前科者をさらに厳しく追跡する「ジェシカ法」が制定されている。この法律は、9歳の少女ジェシカ・ランスフォードが性犯罪など多数の逮捕歴を持つ男にむごたらしく暴行・殺害された事件の後に制定された。
これにより性犯罪前科者は学校や公園から約610メートル圏内に居住・立ち入りが禁じられている。また、犯罪が重度の場合はGPS付きの足輪を着用しなければならない。

 性犯罪前科者に対するこれらの厳しい措置については、「刑期を終えた後の、更なる刑」であり、更生の機会を失わせるという声もある。実際、ジェシカ法ができた後に性犯罪前科者のホームレスが急増し、むしろ犯罪の温床となる可能性が指摘された。
よって現在では、学校や公園への約610メートル規制が多少緩和されている。

実は性犯罪前科者の再犯率は、一般の犯罪前科者の再犯率と比べて低いというデータもある。個人的には、法の厳しさに守られていることは感じつつも、この厳しさの中で前科者は更生できるのか…?
と明確な答えが出せずにいる。

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猪股るー

元アヴァンティ副編集長。2016年1月にロサンゼルスにて広告代理店「Ru-Communications LLC」を起業し、日本企業の全米進出をサポートしている。著書に『愛する日本の孫たちへ』(桜の花出版)、韓国で出版された語学テキスト『チョルムン イルボノロ マルハジャ(今どきの日本語で話そう)』(サラミン出版)などがある。
WEB www.RuCommunications.com

written by 編集部