佐野 友昭さん
『グロービス経営大学院』福岡校リーダー、教員
横浜市出身。慶應義塾大学理工学部卒業、グロービス経営大学院(MBA)修了。大手通信会社で研究開発、新サービス開発、法人営業に従事。2005年『グロービス』に入社し、スクール部門のマーケティングチームのリーダーとして、経営大学院を開学5年目で国内最大規模の経営大学院に成長させる。企業研修部門のコンサルタント、福岡校準備室を経て、2013年から現職。妻・女の子2人の4人家族。
佐野さんへ3つの質問
Q. この仕事に向いている人は?
A.九州・福岡が大好きな人。そして、学ぶことの意義を原体験で理解している人。
Q. あなたのバイブルは?
A.「吾人の任務」(堀義人)。人生を変えた一冊です。
初めて読んだ2003年以来、何度も読み返してきました。
Q. あなたのメンターは?
A.ここでは講師と受講生、先輩と後輩の区別なく、多くの仲間と人生を語り合えるので、特定の人はいません。
自らの体験と感動を原動力として
福岡に“最高の学びの場”を作るべく奔走する情熱家
2012年の初夏、志を抱いた熱い男が福岡の地にやってきた。横浜出身の佐野友昭さん。彼のミッションは、日本最大規模の経営大学院『グロービス経営大学院』の福岡校を10カ月後に立ち上げること。商社に勤めていた堀義人氏が1992年に設立したビジネススクールで、福岡校は国内5番目のキャンパスとなる。
受講生から転職、福岡校リーダーへ
大手通信会社に勤務していた佐野さんがグロービスを知ったのは、31歳のとき。「堀さんの講演を聞き、リスクを取ってゼロからイチを創り出す生き方に衝撃を受けた」。その後、技術畑から営業部門へ異動した佐野さんは、我流の提案書やプレゼンの仕方に限界を感じて、「クリティカル・シンキング」を3カ月間受講。「とにかく面白かった。異業種の受講生同士がお互いの課題や将来なりたい姿をさらけ出しながら学べる環境で、一生の仲間もできた。授業での学びを使って作成した提案書が通り、2億円のプロジェクトも受注。学びが実務で活きると実感したんです」。その感動をクラス後の懇親会で語ると、講師から声をかけられ33歳で『グロービス』へ転職。受講生の募集や大学院立ち上げなど、多様なプロジェクトを担当し、働きながらMBAを取得した後は講師も務めるようになった。39歳のとき、福岡校立ち上げの社内公募に応募。「ゼロからイチを立ち上げる絶好の機会。受講生・スタッフ・講師、スクールと企業研修の仕事を経験した自分の任務だ」と直感したのだという。
とはいえ、福岡に知り合いは皆無。「紹介してもらった一人ひとりと話し、福岡の土地と人を理解しながら、志を語り、共感してくれる人を募っていきました」と振り返る。「縁のない福岡で信用を得るには覚悟をわかりやすい形で表す必要がある」と、福岡市内に自宅を購入。家族も呼び寄せ、半年間は在宅勤務で開校準備に邁進した。そして迎えた2013年4月。予想をはるかに超える受講生が集まった。だが「ホッとしたものの、感慨にひたる余裕はありませんでしたね。受講生のために最高の学びの場をつくり、リーダーを志す多くの方々を集め続けるのが役目だから」と、冷静に次を意識した。
「最高の学びの場」を日々進化させていく
開校から1年半。多様な年齢・職種の社会人が予想以上に集まり、キャンパスも増床した。「スタッフと力を合わせて少しずつ改良を重ね、能力を高め、生涯の仲間をつくり、志を醸成する『最高の学びの場』を進化させていきます。僕はこの学校に出合ったことで仕事も人生も充実しました。その原体験を原動力に、今度は僕が誰かの背中をそっと推し、一歩踏みだせるきっかけをつくる。もちろん自分も成長しなければなりませんが、それも含め天職だと思っています」。