女性管理職についてのアンケート調査。今週は、「女性管理職が大変だと感じた具体的なエピソードを教えて下さい」について寄せられた自由回答をご紹介します。
周囲の目から見る女性管理職の大変さは、①古典的な男女役割分業に基づく、男性に比べた家庭的責任の多さ、②会社に縛られる時間の多さ、③子育てとの両立、④男性管理職に比べて仕事でより一層の努力が求められること、⑤男性部下の扱いの難しさ、⑥男性に比べた体力的な不利さ、⑦結婚できないこと、などがあるようです。以下、るる見ていきましょう。
仕事の上での苦労について
「男性より優れた成績を出し仕事をして初めて認められるという現実。男性管理職は、秘書が何かと世話を焼くのが当たり前だが、女性管理職は、身の回りの事も含め、ファッションから何からきちんとできていないと評価されない」(58歳)
「部下が男性の時、指示、指導が大変そう」(42歳)
「男性管理者から雑用を押し付けられている」(47歳)
「能力があっても、女性はあくまで駒に過ぎない」(53歳)
「責任ある仕事を持って、残業・休日出勤は当たり前」(43歳)
家庭との両立の大変さを挙げる声も
「お子さんがまだ年齢が低い時期の、仕事とのバランス調整」(37歳)
「社会的には平等がうたわれ、男性と同じだけの責務が求められるが、家制度の下、家庭的な平等はまだまだ。男性管理職は家に帰れば調査研究の時間も持ちやすいが、女性管理職で結婚して子供もいる人は帰宅すれば家事に追われるのがまだ多数だと思う」(43歳)
「祝日に仕事関係の用事が増えるので、子どもや家族、自分の時間は確実に減る」(40歳)
「会社の中の会議など自身の都合で変えられない予定がある。自身の業務の代理を作りにくいため、子供や家族のための急な休みが取りにくい」(43歳)
管理職になったら結婚できない、または、シングルでないと管理職になれない、という指摘も
「会社の女性管理職は全て独身。ワーキングマザーで 管理職の人は1人もいない。男社会の我が社では男性のように飲み会に常に参加でき、転勤にも柔軟に対応できる独身女性が自ずと管理職になる。ワーキングマザーが管理職になるイメージができない」(39歳)
「前職(大手企業)で西日本の営業部長になった女性は、30 歳ぐらいでマンションを購入したが、40歳を過ぎた今も独身でいる」(34歳)
体力面について
「連日飲み会続きで体がきつそうな時。どうしても、男性よりも体力的には劣ってしまうので」(34歳)
つまり、精神的・体力的にタフでないと、管理職はできなさそうに思える、ということでしょう。さらに家庭との両立も難しそうで、子育て中は仕事との板挟みにもなりがちです。
女性管理職、当事者の実例
「会社の立ち上げ時、女だから出来ないだろう、知らないだろう、わからないだろう、という周りからの目があった。男であれば、そんな事を言われることもないだろうと感じた。親戚からも、夫が会社を作るのなら賛成されるのだろうと思われることもあった(夫の親戚からの、あからさまではないが反対らしき言動など)。また、手続き中、当たり前のように夫の会社設立の手伝いだと勘違われることもあった。大変だったエピソードではないが、社会はまだまだこのように捉えるのだなと感じた」(36歳)
いつの時代・場所でも、開拓者は大変です。女性管理職が当たり前になるまで、まだまだ困難は続くでしょう。でも、いずれ数が増え、いまの苦労が昔話になる日が来るはず。(事実、日本の労働者人口は減っており、女性を活用できない企業は淘汰されていくはずです。)先陣を切って管理職として道を作っている彼女たちを、部下や周囲の女性は、支え、盛りたてて行きませんか。いずれ自分が管理職になる日には、もっと環境が良くなっていることを願って。
(文・元沢賀南子執筆)
アヴァンティ働く女性研究所の登録者で独身の女性約2000人にSNS等で呼びかけ、回答を得た。回答期間は10月23日〜11月2日。有効回答数55。回答者は28〜58歳、平均年齢は42歳。
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