手術できなかった現実を突き付けられた家族
目を覚ました私に
その事が気付かれないように
ICUの中にある時計を急きょ取り外してもらっていた
ある程度の手術時間を聞かされていた私が
目を覚まして時計に気づき
手術時間の短さに 「最悪の結果」を直感しないように
そしてショックを受けないように
家族がお願いしたことだった
まるで・・・白い巨塔の1シーン “財前五郎”と同じだ
私はそんな事には気づかず
声をかけられて ぼんやり目が覚めた時は
とにかく寒くて 奥歯がガチガチして 身体がだるかった
でも なぜか意識だけはすごく「クリア」な感じだった
「よく頑張ったね!」って声が聞こえた 「ママだ・・・」 顔も見えた
麻酔の闇から引き戻されたせいか
硬かった意識が なんだか ほぉわぁ~ っとした
家族の顔も見えた
――― 手術 終わったんだ ―――
… ん ???
少し経って 何故 母は「よく頑張ったね」としか言わないんだろう?
普通は「悪ものは全部とれたよ!」とか「手術は成功したよ!」とか言うんじゃないの??
――― もしかして手術はできなかったんじゃ・・・ないかな・・・? ―――
――― 胃もむかむかするし ――― 胃が残ってる・・・??
そんな思いが頭の中を駆け巡る
しかし、とにかく身体がだるいので眠りたい・・・
気持ちと身体の要求がかみ合わない感じだった
不安定な状態が続く
しばらく居てくれた家族が「そろそろ帰るね」というのを 「嫌だ」 と首を振った
もうちょっとそばにいてほしかったし 何だか わがもままも言ってみたかったから
甘えた
それから少ししてみんなが帰って
ひとりになった時
また 「きっと手術はできなかったんだ」という思いが起こってきた
ただ 身体も重いし キツイし その辛さが勝って
手術の結果に対して深く考えられない
鼻のところの酸素がうっとうしくて何度も勝手に外したのに
気が付くとまたチャンと鼻についていた
それぐらい うつらうつらしていたのだろう
そんな事を繰り返してた時、S医師が来られ
「今は手術が終わったばかりなので、結果は明日話すね」って優しく言われた
とても話を聞ける状態ではなかったので、そうしてもらえてよかった
でも・・・
核心に触れない言葉使いに、さっきまでのもやもやした思いが「確信」に変わった
間違いない!手術はできなかったんだ! って
☆いっこ☆