コラム

香港の年金制度とは?

日本では65歳を過ぎると、年金の受け取りが始まるという制度になっています。

そのためには、一定期間毎月年金保険料を支払う必要があります。みなさんも、働いた給与から天引きされているのですが、そのおかげで老後の資金の一部を作ることができています。

香港には日本のような年金制度はありません。そして、定年という制度も多くの企業で設定がありません。香港では、老後の生活のために体力が続く限り働いたり、老後の生活資金を自分自身で用意しておく必要があります。

 

日本の年金の仕組みを理解していますか?

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皆さんは、自分が加入している年金や保険を理解していますか?なんとなくは分かっているつもりでも、具体的には、理解していないことが多いのが実情です。

 

「年金」と言えば、まず連想されるのが「公的年金」です。「公的年金」は2階建てといわれるように、「国民年金」と「厚生年金」に分かれています。1階部分の「国民年金」は、受け取り年金額が加入期間のみで決まり、20歳から60歳までの40年間加入することで、年間約80万円の年金が支給されます。

 

2階部分である「厚生年金」は、会社員や公務員として働いていた期間のみ加入します。従って、人により年金を積み立てていた年数(加入期間)が異なります。また、厚生年金は、加入期間の平均報酬額によって支払う保険料も異なります。保険料が異なるので、受取額も当然人それぞれに変わる「所得比例」年金です。同じ年齢で同じ期間同じ会社で働いた人でも、その間の給与は違いますから受給する年金額に差が生じることになります。

 

「公的年金」に、プラスして受けることができる年金もあります。国が管理・運営する「公的年金」とは異なり、企業が社員に対して「企業年金」や、公務員に例外なく加算される「年金払い退職給付」などがこれに該当します。前述の2階建ての上に付加するので「3階部分」とも呼ばれます。「企業年金」がない会社員の方も、自助努力として3階部分を自分で作ることも可能です。「個人型確定拠出年金(個人型401k)」に加入したり、民間の生命保険等で販売されている「個人年金保険」を掛けたりすることがこれに該当します。

 

幾ら受け取れるのかを知っておくことは、とても大切です。是非、年金定期便という通知には目を通して、年金としていくら受け取ることが出来るかを含めて把握しておいて下さい。ただそれ以外にも、不透明な部分があります。将来いくら必要になるかは、そもそも見えませんし、年金受給の開始年齢も時期が遅くなるという議論もされています。ある程度、自分でお金を残すことも必要でしょう。

 

驚きの香港の年金の仕組み

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さて香港の話に戻りますが、冒頭でも述べたように、香港で国が用意する年金はありません。そのために、皆、自分で調べて個人年金(保険)に加入しているケースがとても多いのです。

一部の例ですが、香港には、香港ドル建てか米ドル建てのいずれかですが、毎月複利で安定運用されて増えていく貯蓄型の終身年金保険があります。毎月複利で運用すると、例えば、30歳から定年予定の60歳までの30年間預けておけば、毎月積み立てていく分の他に、結構な運用成果がついて、積立額の数倍のお金を用意することができます。

 

香港では自分で年金を用意しなければいけない一方で、調べれば素晴らしい年金を見つけることができ、老後の準備がしっかりとできるところなのです。

 

ここで、一つ大事なことがあります。

「なんだ、結局香港は利率が高いものが多いから老後は安心じゃないか」とか「日本に住んでいるから関係のない話だ」と思ってはいけません。

確かに、香港は魅力的な年金があると紹介しましたが、これは、自分自身で調べ、勉強して、自分自身で選んで契約するのです。

つまり、人任せや国任せではなく、自己責任の中にあるのです。

自分の老後を若いうちから考え、行動することの大切さを学べる年金の仕組みでもあるんですね。

香港の人はどれぐらい保険を掛けている?

 

実際香港の人はどれくらい保険を掛けているのでしょうか?

とても興味深い記事がありましたのでご紹介します。

 

香港の年金保険契約の半数を超えるシェアを誇るMassMutual Asiaの発表では、同社の保険契約者の毎月の保険料の平均はHKD5,600(約80,640円)となり、年代別では以下の通りでした。(1HKD=14.4円換算)(※1)

 

・20歳-29歳:HKD3,500(50,400円)/月

・30歳-39歳:HKD4,600(66,240円)/月

・40歳-49歳:HKD6,500(93,600円)/月

・50歳以上:HKD9,300(133,920円)/月

 

驚くことに、MassMutual Asiaの年金保険の契約者数のうち、20代が全体の38%を占めていたのです。日本に匹敵する長寿の香港でも、2000年から確定拠出型の年金制度MPF (Mandatory Provident Fund)がスタートしていますが、それに加えて若い世代ほど自分で年金保険に加入し、老後や将来の資金ニーズに備えていることがわかります。

 

この結果から見ても、若い世代の老後や将来の資金に対する意識の高さが分かります。では、なぜ香港の若い世代の人たちはこんなにも老後の資金準備の意識が高いのでしょうか?

それは、働き方と定年制度に関係があるようです。

香港の働き方と定年制度

日本では、就職して会社に入ったら定年まで同じ会社で働く、終身雇用制度が長らく維持されてきました。同じ会社に勤め上げることこそが自分の仕事に責任を持ち、全うな人生の送り方だという考えが一般的だったのだと思います。

 

しかし、香港では「転職」に対する考え方が日本と全く違います。「香港」の人は、入社して数年経つと、大多数がキャリアアップ、給与アップを考えます。ある程度実力をつけたら、次の仕事を求め、会社を変わる事も厭わず転職します。当たり前のことですが、転職するということはポジションや給与アップが条件となります。そうして自分の価値を高め、仕事をしていくのです。

 

ここで、日本人の方だと、一つ疑問が浮かびませんか?「あれ?そんなに転職して退職金はいいの?」と。基本的には一つの会社に居続けることを前提としていないので退職金は最初から想定していません。そのために、前項で述べたように年金を自分で用意して老後に備えるのです。

それと、定年もありません。自分がまだ働けると判断し、会社が雇用してくれれば、何歳まででも仕事ができる環境です。

しかし、いつまでも健康でいられればいいですが、いつ体調を崩すか分かりません。

 

みなさん、日本の年金の仕組みだけで十分だと安心してはいけません。老後を考え、将来の資金ニーズに備えて、自分で用意するという選択肢も考えてみましょう。

 

参考文献

※1 香港「The Standard」2018年1月3日より

ABOUT ME
長谷川建一
長谷川建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス)CIO。 京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンク日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に移り、マーケティング責任者として活躍。2009年からはアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク/日本ウェルス)を創業し、COOに就任。2017年3月よりCIOを務める。 >>長谷川建一氏登壇のセミナー:https://gentosha-go.com/articles/-/13973
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