【コメント スタッフちゅん】
殺人、自殺、幽霊、事故物件のテーマをこんなにコミカルにしちゃった映画。クリエイティブ度タカっ!片桐健滋監督が気になるわぁ。
「ルームロンダリング」とはワケあり物件に住み込んで、事故の履歴を帳消しにして次の住人を迎えるまでにクリーンな空き部屋へと浄化(ロンダリング)すること。
ルームロンダリングのアルバイトをする主人公の八雲御子を演じるのは池田エライザ。ストレートの長い髪に重めの前髪、愛想のない表情なんだけど心の素直さが感じられる演技ですっごく可愛いい。グリーンのワンピースに赤いロングコートも雰囲気があってて、なんたって彼女は福岡県出身だそうなのでさらに応援熱が高まります。
いつも大きなヘッドホンで耳を塞いで、世間との関わりを極力させているというこじらせ女子の御子。ルームロンダリングのアルバイトを始めたことで、幽霊が見えるようになって、幽霊との奇妙な共同生活を送るんです。普通考えたらホラーに間違いないんですが、御子と幽霊との会話がちょっと笑えちゃったり幽霊になって気づいたことや思いを知ることができて共感したり。そのうち何もできないと言い続けていた御子が幽霊たちのお悩み解決に動き出して、少しづつ自分自身の人生に向き合っていきます。
映像の中での衣装や小物の色合いやデザインが絶妙で、片桐健滋監督が3年ほどフランスで過ごしていたというのがこの世界観を作っているよう。御子が読んでいるマニアックな本もこの物語のメッセージが込められているように感じて見逃せないところ。
オダギリジョーの役は若い頃の松田優作さんそのもので(ある年代の人にはがっつり理解できます)いきなり「お富さん」(これはなおさらジェネレーションギャップが激しいところです)を口ずさんでるのには時代背景はいつ!?って思いましたが、まあファンタジーだからよしとしました。
渡辺えりが祖母役なんですが、そんなに登場シーンは多くないのに余韻が残る演技をされるんですよ。さすがキャリアを重ねた女優さん。「泣くな、笑え」ってセリフ、すごく短いひとことなんですけどなんだか前向きになれる大切なキーワードです。
脚本も務めた片桐健滋監督は人の死や社会問題をシリアスでなくコメディタッチの視点で描くことに注力し作品はできました。その背景には自身が幼い頃に亡くなってしまった父親に会えたらいいなっという思いがあってその思いを主人公に投影されているそう。
共同脚本の梅本 竜矢氏のコメントがしっくりくる映画です。
コメント
「この映画は、職場や学校や家庭の中で居場所を探している人たちに勇気を贈る物語です。『ルームロンダリング』という題名ですが、皆さんの日々の荒んだ気持ちもロンダリング(浄化)する仕様になっておりますので、まずは劇場でお試し下さい。」
ミュージシャンになる夢を諦めきれないパンクロッカー(渋川清彦) 見ず知らずの男に命を奪われ恨み節が止まらないOL(光宗薫) 部屋の隣人(健太郎)
【ストーリー】
5歳で父親と死別した八雲御子(池田エライザ)。翌年には母親も失踪してしまい、祖母に引き取られた御子だが、18歳になると祖母(渡辺えり)も亡くなり、天涯孤独となってしまった。しかし、祖母の葬式に母親の弟である雷土悟郎(オダギリジョー)が現れ、住む場所とアルバイトを用意してくれた。その仕事とは、ワケあり物件に住み込んで事故の履歴を帳消しにし、次の住人を迎えるまでにクリーンな空き部屋へと浄化すること=“ルームロンダリング”。引っ込み思案で人づき合いが苦手な御子にとって都合の良い仕事だったはずが、行く先々で待ち受けていたのは、幽霊となって部屋に居座る、この世に未練たらたらな元住人たち。ミュージシャンになる夢を諦めきれないパンクロッカー(渋川清彦)や見ず知らずの男に命を奪われ恨み節が止まらないOL(光宗薫)、カニの扮装をした小学生!?なぜか彼らの姿が見えてしまう御子は、そのお悩み相談に振り回されて…!?
©2018「ルームロンダリング」製作委員会
「ルームロンダリング」はTSUTAYAが新たなクリエイターの発掘を目指してオリジナル企画を募集するコンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM2015」で、『嘘を愛する女』(18)に次ぐ準グランプリFilmarks賞を受賞した企画の映画化。
映画 「ルームロンダリング」 配給ファントム・フィルム
http://roomlaundering.com
7/7(土)UCキャナルシティ13、シネプレックス小倉、UCなかま16他ロードショー