コラム

夫の浮気相手に慰謝料と連絡禁止を求めることはできますか?

夫が出会い系サイトで知り合った女性と付き合っているのを知りました。夫は、最初は別れると言ったのに、女性と別れ話に行くたびに引き止められて、フラフラし、最近では、「性関係は絶対にない」と言って開き直ります。女性が不貞行為を主導しているように思われてなりません。女性に対し、慰謝料を請求すると共に、夫に連絡しないよう求めることはできますか。

相原 わかば 先生
首都圏と北海道を行き来して育ち、一橋大法学部卒。2006年、北海道から現事務所に入所。
省エネ・脱使い捨て社会に関心があり、楽しく実践しているつもり。寒冷地仕様の体ながらクーラーも不要。物持ちもにも自信あり。

性関係を伴う不貞行為ならば慰謝料が請求できます。連絡を取らない約束を相手に求めることはできますが、裁判所で禁止してもらうことはできません。

まず、性関係を伴う不貞行為ならば、不法行為として慰謝料の請求が可能です。他方、デートやメール等、性関係を伴わない交際、違法とまで言えないことが多いので注意が必要です。とはいえ、実際には、性関係の直接証拠が残されることは少ないので、デートの延長に性関係が推認し得る証拠があるかが問題になります。

裁判例では、不貞行為の確たる証拠はないけれど、旅行等の交際をしていたケースで、「夫婦生活の平穏を害し精神的苦痛を与えた」として違法と認定した例があります(東京簡裁判決平成15年3月4日)。

また、損害賠償請求には、故意または過失が要件となるので、女性が、夫から騙される等して、既婚者と知り得なかった場合には認められない可能性もあります。

次に慰謝料の金額について、不貞行為では、一次的な責任はあくまで配偶者にあり、不貞相手の責任は副次的と評価されるので(東京地裁判決平成4年12月10日)、女性が主導したとしても、そう大きく金額には反映されません。

あなたの場合、このまま離婚せず、夫の責任を不問にして、女性に対してだけ請求すると、裁判所では、損害の額が低く評価される傾向にあります。

最後に、連絡を取らない約束は、相手に求めることはできますが、相手が応じない場合、裁判所で連絡を禁止してもらうことはできません。

女性協同法律事務所
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。

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