インタビュー

安部 ひとみさん/決して感謝を忘れない ご縁で結ばれた人たちを

古い住宅とお洒落な店が混在する福岡市の今泉。美しい緑の小路を抜けた先に、安部ひとみさんのオフィス兼ギャラリーはある。優しく微笑む瞳の奥に凛とした輝きを感じさせる安部さん。この明るくチャーミングな笑顔で、辛い経験をも乗り越えてきた。

父が営む木工所で木の香りに包まれて育ち、絵本より図面が好きな子どもだった。大人になってもその興味は変わらず、独学でインテリアコーディネーターの資格を取得した。福岡の家具メーカーの専属コーディネーターとしてキャリアをスタート。

34歳の時に、夫の大病が発覚。約10年の看病生活を経て、夫を看取った後に、インテリアオフィス『アトリエ アッシュ』を設立。さらに2003年には『カフェ ド アッシュ』をオープンした。カフェブームの先駆けだったが苦戦が続いた。「天国の夫がきっと見守ってくれている」と信じて乗り越え、少しずつ評判が広まり人気店となるが、12年目の2015年、柱だったスタッフの帰郷に伴い閉店を決めた。

現在はコーディネーターとして県内外の有名店や病院など幅広く物件を手がけつつ、自らのアートギャラリーでは福岡の障害者支援施設「工房まる」の柳田烈伸さんをはじめとして、アート支援も行っている。そしてソムリエとしての顔も持つ。イタリアで学んだワインの普及活動、ワイン会などもギャラリーで開催している。

安部さんはキャロルキングの名曲「タペストリー」を大事にしてきた。「大切な方々からいただいた “ご縁という糸” を一本一本ていねいに織って、今の私というタペストリーができあがったのだと思っています。これからは私がそのご縁とご恩を次にリレーしていく番。肩肘張らずにね」。そう微笑む横顔は輝いていた。

『atelier h(アトリエ アッシュ)』インテリアコーディネーター
安部 ひとみさん

福岡市生まれ。OLから専業主婦となり、主婦時代にインテリアコーディネーター資格を取得。2000年に他界した夫の会社の代表取締役を継承し、役目を果たした後、インテリアオフィス『atelier h』設立。2003年今泉にカフェ&ギャラリー『cafe de h』をオープン(2015年クローズ)。現在インテリアコーディネーターとして働きつつ、アートギャラリーを経営。2009年イタリアに留学し、イタリアワインのソムリエ資格(AIS)を取得。

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▲ 1.2.小さな通りを曲がると、そこは爽やかな緑あふれるアプローチ。その奥に、スタイリッシュでモダンな大人の雰囲気が漂うアートギャラリー『galerie de h』がある。

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▲ 3.イタリア大好きな安部さん。とうとうイタリアに留学をしてソムリエの資格を取得。「もっとイタリアワインの魅力を知っていただきたい」。


atelier h(アトリエ アッシュ)/galerie de h(ギャルリ ド アッシュ)
福岡市中央区今泉1-18-50 h-place1F
TEL/092-717-7110

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