コラム

別居中の生活費、どちらが負担?

理由があって夫と別居しています。
夫は「勝手に出て行って何もしないんだから生活費を払う必要はない」と言ってまったく生活費を払おうとしません。
子どもが一人いて、私のパート収入だけでは育てられません。どうしたらよいでしょうか。

松浦 恭子 先生
修猷館高校、九州大学卒。44期。松坂法律事務所を経て1994年に現事務所に入所。弁護士登録以来、薬害HIV,薬害肝炎事件などの集団訴訟に携わりながら、子どもの権利に関する事件に一貫して関与している。特にセクシュアルハラスメント事件や性被害、DV被害の事件を多数手がける。 趣味は、図書館や美術館巡り、エレクトーンなど。あこがれの山登りや一人旅にも行きたいと考えている。

夫婦にはお互いに助け合う法律上の義務があります。別居していても変わりません。そこで、別居中、収入が不足する妻から、収入がある夫に対して生活費の請求が認められることになっており、これを「婚姻費用分担請求」と言います。

ご質問の場合、「勝手に出て行って何もしないのに」と夫は言っていますが、このような場合も、出て行く理由について妻側からはまた別の言い分があることが多いですね。例えば夫が暴力を振るうから、とか怒鳴るから、とか、不貞があったから、など社会的に夫が許されない行為をしているために妻が一緒に生活できずに(生活することがつらい場合も)家をでることがあります。このような場合、妻は当然生活費を請求できます。

では、なんとなく一緒に住むのがイヤになったから、という場合はどうでしょうか。

この場合も、原則として請求は認められますし、ご質問の場合にはお子さんの生活費も必要ですから、それを含めて請求できます。

しかし、仮にお子さんがいなくて、妻自身が不貞をしていて家をでてしまった、というような場合は、認められない場合もあり得ます。

幾らの請求が認められるかについては、一般には家庭裁判所が目安としている「算定表」がありますので、参考にすることができます。表はネットや本で探せば比較的容易に入手できますし、弁護士の法律相談で確認していただくと、表の見方や特殊事情についてもご説明できます。

請求しても夫側が応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立て、相手方を呼び出してもらって話し合います。それでも駄目な場合は家庭裁判所の決定を求めることができます。

いずれにせよ、あきらめる必要はありませんので、請求手続をとられるようお勧めします。

 

女性協同法律事務所
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。

 

 

 

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