株式会社Fusic 代表取締役社長 納富 貞嘉さん(左)
福岡市出身 福岡高校→九州大学工学部→九州大学院システム情報科学府修了
担当:経営全般、無茶振り
趣味:音楽、宇宙、たまにトライアスロン
株式会社Fusic 取締役副社長 浜崎 陽一郎さん(右)
大阪府出身 九州大学大学院システム情報科学府情報工学専攻修了
担当:経営戦略、営業、お笑い
趣味:サッカー、ゴルフ、たまに筋トレ
とんでもない転換点に生きている僕たち
「見積書って、なに?」
大学院時代に2人で始めたシステム開発は、仕事の仕組みもなにもわからないところからスタートした。多くの大人は反対していたが、いざやるとなると「キミたちがやるんだったら紹介するよ」と助けてくれた。そんな2人がつくった会社も、社員数41名を抱える中堅IT企業に成長した。
「いま、僕たちは歴史の転換点を生きている。100年後、歴史の教科書に必ず書かれると思う。そのIT革命の真ん中で、ITの仕事をしないなんてもったいない」。と、熱を込めて語るのは、社長の納富さん。
「ITのおもしろさは3つ。1つは、レバレッジが効く。飲食店をしても僕一人でせいぜい100人を相手にできるくらい。でも、ITは数も距離も飛び越える。2つ目はシンギュラリティ。技術的特異点というのですが、何億年の歴史のうち、人間が遭遇したことのないことにどうやら僕らが生きているうちに遭遇しそうなんです。そこにITが大きく関わると考えています。例えば、人間の脳みそをコンピュータが超える。ハッピーなことか、人類滅亡か、とんでもない転換点にいることにワクワクします。3つ目はIT革命。必ず歴史に残る。そんな時代にITの仕事をするおもしろさ」。
「人より賢いものができる。地球以外の場所に住む。死なない、もしくは劇的に寿命が延びる。この3つが僕なりのシンギュラリティの定義です。世の科学者の間では2045年くらいにそのような転換点が起こると言われています」と浜崎さん。
「話し好き」「好奇心旺盛」
技術者集団にして、発信力は高く、専門用語をわかりやすく話せる「話し上手なエンジニア」がFusicの目ざす像だ。
また、周りに異常と言われるほどの「好奇心旺盛」な集団でもある。新しい技術のキャッチアップは当たり前。一見、仕事に関係ないような良書探求会を月1回始業前に開催している。本を媒介にして幹部層の意識を合わせようと始めた。毎月1冊、感想を語りあい、ディスカッションする。ビジネス書や経営や教養、幅広く読む。畳スペース横の本棚には、社員のおすすめの本が並び、誰でも自由に読める。社長のおすすめ本には、「読め!」の文字があった。
福岡へのこだわり
まわりの同級生が東京の大企業へ入社していく中、福岡に留まって起業した2人。福岡へのこだわりには、並々ならぬものがある。
「どんなところに住んで、どんなものを食べているのかはとても大事だと思う。山や海が近いし、福岡ってクリエイティブな街だと思う。そこから東京や世界へ発信したい。意地もあるかなあ」と納富さん。「街の価値は人の価値だと思う。そこに人が集まる。ITはどこでもできるし、福岡でそれができないはずはない。僕らは僕らの技術で福岡の人や企業がITの恩恵を享受できる環境をつくる」とは浜崎さん。2人の話に、大学生たちはさぞやワクワクして入社してくるのだろう。
オンナ余りの福岡に、こんな企業が続々と誕生して東京へいいオトコが吸収されず留まり、さらに全国から集まったら、街もますます活性化する。そんなことを考えた取材だった。
バランスボールに座って仕事する社員
畳でくつろぐとアイデアも生まれる
仕切りのないオープンスペース
エントランスもかっこいい
村山取材メモ
ワクワクは伝染する
◎好奇心旺盛集団。幹部層の意識を合わせる目的でスタートした良書探求会。
◎ITはクリエイティブ。ゴールまでどの道を辿るかプロセスにおける美しさ。技術者の思想が現れる。
◎IT革命、シンギュラリティ。歴史の転換点。
株式会社Fusic[https://fusic.co.jp/]
●ビジョン/日本を代表する福岡の企業になる
●創業/2003年
●代表取締役社長/納富貞嘉
●取締役副社長/浜崎陽一郎
●資本金/1,000万円
●事業内容/テクノロジーコンサルティング、ソフトウェア開発、クラウドインフラ構築(Amazon Web Services)
●社員数/41人
●社員構成/男:女=3:1
●平均年齢/30歳
●拠点/福岡本社、東京オフィス