今回の特集にあたり、仕事と家庭と子育てをめぐる今の働くママたちの悩みは何?と、まずは近しい働くママたちに意見を求めたところ、一人ひとりからそれぞれけっこうな熱量の返事が返って来ました。
時間がない、体力・気力がない、自信がない、夫の協力がない、やる気が出ない、お金がない、とにかくタスクが多くて日々生きるのに精一杯、などなど。出産前もそれなりに予定が詰まっていた日々の時間に「育児」が加わり、職場復帰して「仕事」が加わり、持ち時間と許容量に対するタスクがあふれ出した時のストレスは相当なものだったのだろう。今月はこの働くママたちの叫びに寄り添い、それでも日々工夫をしながら毎日を楽しもうとする福岡の働くママたちの姿に迫った。ママでなくても参考になる工夫や考え方がいっぱいです。
働くママのリアルをアンケートした調査結果はこちら
Q1 「仕事」と「子育て」と「家事」、両立できていると思いますか?
7割は「両立できている」との回答。これは意外と多い印象。でもその両立にいたるまでが大変なようで…
Q2 両立していく中で、みんな何を求めている?
※複数回答可
子どもと過ごす時間が欲しいママが多い。一緒に過ごせても時間がなくて怒ってしまったり、楽しむ気力が尽きている、というママも。
Q3 両立する上で自分を責めたり、後ろめたさを感じたことはある?
これは圧倒的に「ある」が多い。
〈avanti働く女性研究所調べ〉
調査期間:2017年3月17日~31日●N=96/年齢:25~29歳2.1%、30~34歳27.1、35~39歳45.8%、40~44歳10.4%、45~49歳8.3%、50歳以上6.3%/未既婚:既婚93.8%、死別・離別6.2%/雇用形態:正社員64.6%、契約社員・嘱託14.6%、自営業10.4%、フリーランス10.4%
働くママたちのリアルな悩みとは?
働くママたちに聞いてみると、やはり大変だったのは経験のない第一子出産後の復帰時。
今は3児の母でもある先輩ママ、Tさんの当時の様子を聞きました。
自分は「社会のゴミ」とまで思っていた 第一子出産後の職場復帰時代。
【Tさん】会社員・30代・3児の母
育児休業から復帰した当時のことを教えてください。
第一子の育児休業中は、家事と育児だけやっている自分を認めることができませんでした。仕事をすることこそが社会と繋がり、貢献できることだと思いこんでいたんです。でも、いざ時短で復帰したものの、直後からつまずきました。本当に見積もりが甘かったと思いますが、出産前と同じように仕事ができると思っていたんです。仕事の締め切りも約束も守れないことが続き、毎日「ごめんなさい」「すいません」が口癖になって、それまでの仕事に対する自信もプライドも粉々になりました。そんな自分自身もイヤで、毎日泣いて、自分を何の役にも立たない「社会のゴミ」とまで思いました。
仕事で気力と集中力を使い果たすので、家に帰っても疲れ果てて夫とも喋りたくないし、実際会話する暇もありませんでした。初めての育児で心の余裕もなく、夫に当り散らしました。家事育児の分担はしていたけれど、夫も精神的に参っており、あの頃は夫婦の危機だったと思います。
今はどう変わりましたか?
今は子どもを育てている自分にOKが出せます。当時は仕事しかしてなかったので、家事子育てに対する優位性が低く、「仕事の方がえらい」みたいな変な考えがありました。でも、子どもを持ってからは働き方も生き方も様々な人と出会って、それで視野が広がりました。いろんな生き方や暮らし方、多様性を知るほどに、仕事にも価値があるように、暮らしを豊かにすることや、子どもを育て、親として成長することにも大きな価値があると知ることができたように思います。仕事も職場の上司や仲間に助けられながらスケジュールの立て方を徹底的に見直し、必ず納期を守れるスケジュールを立てて、物事を前倒しで進めるようになりました。守れること、できることが徐々に増えてきたことで、一度は失った自信も取り戻せてきたように思います。
この春職場復帰するママたちへメッセージを。
家事をして子どもを育てるだけでも一人では手が足りないのに、その上に仕事もやっていたら、日々、自分と家族が無事に生きているだけですごいこと。だから、自分で自分を褒めてあげてほしい!
\今、実践していること/
早寝早起き、朝型生活?
子どもを寝かしつけた後に起きてきて家事をする気力も体力も残ってないので、ここは潔くあきらめて、子どもと一緒に9時には寝るようになりました。そうすると自然と早朝に目がさめるので、誰にも邪魔されず家事を一気にこなしたり、時には自分の趣味の時間にしてスッキリしています。疲れてる日は早く起きれず子どもが起きるまで寝てるんですが、そんな日はたくさん睡眠時間をとって体の調子を整えてるんだと捉えてます。
夫との関係は「いい意味で」諦める
夫とは性格や価値観が180度違うので、特に家事や子育てのやり方を巡って意見がぶつかることばかり。以前は意見が対立するのが嫌でなおさら話したくなくなってたので、二人の考えが合うことはない、といい意味でお互いに諦めるようにしました。諦めてるから最初からケンカにもならないし、自分とは真逆の意見も冷静に受け止められて、時には「そんな発想、私にはなかった!」と感激しちゃう奇跡が起きたりします。
頑張るあなたへ贈る先輩ママのアドバイス
困難も多いけど、この時期は人生どう生きたいか?が見えるチャンス。
【Kさん】40代/息子6歳
復帰直後から今までを振り返って思うことは、仕事と家事・育児の両立に関する問題を解決する特効薬はなく、日々自分や家族に合うやり方を模索していくほかないということです。私は嫌なこともつい我慢して抱え込む性格だったのですが、1人では絶対にできないという状況に追い込まれたことで、初めて周囲に助けを求める行動を起こすことができました。またその中で、自分の人生で本当に大事にしたいことは何かということにも気づけたのです。今もトライ&エラーを繰り返す毎日ですが、同じ働くお母さんたちへ、「困った時こそ本当の自分を知り、自分らしい人生を創っていくチャンス」と伝えたい。一緒にがんばっていきましょう。
親も子どもも10人10色。“こうあるべき”は華麗にスルー!
【Sさん】30代/息子7歳・5歳
3歳児神話や21時まで就寝、食育など、平日は仕事と子育てを1人でこなしているのにそこまで無理! と思いつつ、結局はそうした概念に縛られていた私。育児雑誌を見ては、その通りにできない自分に落ち込んでいたものの、保育園ママに話してみたら就寝時間や偏食、成長に関する悩みまでみんなそれぞれに違った悩みを抱えていることを知りました。何もかも初めてだからマニュアルを探して、その通りやらなければと無理してしまうんですよね。他の人と比べたり、周りの評価を気にしていたこと、悩んでいるのはみんな同じなのだと気づいて楽になりました。同じように悩むママがいたら、それだけ一生懸命やっている証と捉え、自分を大事にすることも忘れないでほしいと思います。
働くママたちはこんなことで罪悪感を感じたり、自分を責める気分になっています。
職場へ
●忙しい職場を後にして早く帰る時は、いつも罪悪感を抱く。
●子どもの病気などで早退や欠勤する時、誰かにしわ寄せがきていると申し訳なく感じる。
●子どもが病気の時に仕事を休むこと。
●時短勤務を余儀なくされ、職場での居辛さは常に感じている。
家庭へ
●仕事と子育てを優先し、家事は後回し、手抜きになる時。
●もっと効率よくできるはずなのに、なぜできないんだろうかと自分を責めることがある。
●自分の楽しみのために夫や義母に子どもを預けることは、後ろめたさを感じる。
子どもへ
●昼夜問わず出勤で、出張もあるので子どもに寂しい思いをさせていないかと自責の念にかられる。
●子どもが熱を出しても、帰れなかった時。
●子どもが病気の時でも仕事を優先させて、病児保育に預けて仕事に行く時。
●子どもと過ごす時間がほしいのに、家事や仕事に追われて気持ちに余裕がなく、実際に子どもと過ごすときにはイライラばかり募って子どもに辛くあたってしまう。子どもに怒鳴ってしまう自分をいつも責めている。
●3歳の息子の健康診断で目が見えにくいとわかった時、テレビやスマホを見せていた自分を責めた。
●子どもが熱を出しても、すぐにお迎えに行けなかったり、病児保育にお願いしたり、つらいときにそばにいてあげられないとき。それでも、外の世界に出たくて仕事があってよかったと思う後ろめたさ。
アヴァンティ読者の働くママに聞いた「私の工夫」
成功と挫折を繰り返しながら、日々の暮らしをなんとか乗り切る術を現役働くママたちに教えてもらいました。
外注する
外注した時間を子どもとの時間や時間節約・心のゆとりにあてる人がたくさん!
●時短の家電や調理器具を使用する。
●お惣菜に罪悪感を感じていたが、週に一回楽する日と割り切り、外食か惣菜を許すようにした。
●洗濯乾燥機、ルンバ、食洗機を導入し、家事は家電に頼る!
●無理をしてイライラするよりも、時々は家事代行を頼んでリフレッシュ!
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私の時短テク
「こうできるじゃん!」「それって必要?」と省略&工夫できることは案外ある!
●野菜を切る時には色んな切り方をしてパッキング。次は下ごしらえ無しで調理できる。
●子どもの服の組み合わせを上下セットで作っておく。夫に頼んだ時のセンスのなさにイラつかずに済む。
●片付けに時間をとられないようおもちゃを減らす。
●無洗米を使う。買い物はネットスーパーの宅配サービス。
●洗濯物は畳まず、ハンガーに干してそのまま収納。下着類は洗濯乾燥機から直接ぽいぽいと脱衣所の棚へ。子どものTシャツなどは、洗濯乾燥機からそれぞれカゴに入れておいて、自分達でたたんでもらうように。
家族で分担
自分1人で抱え込むと大変!でも人に任せるのも大変…。少しずつ、少しずつ!です。
●掃除は夫と一緒にできる土曜日の午前中にする。
●義母のお迎え、夫が休みの時の家事など使えるものは使う。
●料理が全くできない夫に、1品だけ得意料理(お好み焼き)ができるように画策した。最近は進んで作ってくれるように。
●夫や子どもたちに頼むことによってそれぞれに責任感が生まれ、自分も相手を褒めたり感謝する機会ができて、いい循環が生まれたと思う。
●洗濯物は子どもの担当。PTAは夫の担当。
●グーグルカレンダーで、夫婦のスケジュールを共有。お互いの予定がある程度見えるとストレスがかなり減った。
自分の限界を認める、許す、思い込みを捨てる
これがなかなか難しいようですが…!
●夫や母たちに任せることで余裕が出来た。自分の限界を認めたら楽になった。
●できない日もあると認める。
●自分がしないことを決めた。車の運転ができないと、送り迎えの必要がなく、夫や父が動く。
●予定通りに進まないのが当たり前。特に朝。
気持ちや考え方を切り替える
「こうあるべき」という型に、わざわざ自分を当てはめない! 子育てにも多様性があっていい。
●子どもとの時間は、長さではなく、真っ直ぐ向かい合うことを大事にする。
●人と比べない。私は私で充分頑張っている。
●頑張ってこなそうと思わない。完璧じゃない方が子どもが自分の力で逞しく育ってくれている気がする。
●21時までに寝かせなければならない、という思い込みを捨てた。22時までに寝かせると決めると楽になった。育児雑誌で21時までに寝かせるママたちの工夫がたくさんあって、できない自分を責めていたが、そのママたちは退社時間が私より2時間早いことに気がついて、生活スタイルが違う人をお手本にすることが自分を苦しめていたことに気づいた。
●弁当の日には必ず子どもにミニレターを添えて気持ちを伝えるようにした。
ルール・優先順位を決める
時にはやめる、という選択も必要。しんどいけど、決めなきゃ前に進めない!
●「家事は平等に!」がモットー。2人とも仕事を平等にしているわけなので、母親だからやるとか、家事が不得意だからやらないなどの理由は許しません。
●家事を義務化しない。手抜きをする。 例)毎日掃除機をかけるのをやめた。
●家が少々汚くても子どもとの時間を優先。
●全部7割でやる。
●離乳食は全てレトルト。高いが毎日バタバタの私がつくる偏った栄養の離乳食よりはプロが考えたものを食べた方がいいと考えたから。また、離乳食を作る時間を子どもと一緒にいる時間に替えたと考えました。いま、身体はとても丈夫で、年中さんから小学校上がっても病気での欠席は0です♪
自分だけの時間を作る
“自己犠牲”では疲れが溜まる一方。ときには自分の心を潤す時間を!
●時には子どもを実家や一時預かりに預けて美容院に行ったり、友達とランチして自分の時間を持つ。
●パンクしそうな時は「残業で…」「どうしても抜けられなくて」と30分だけでも一人時間を確保してリフレッシュする。
\悩めるママの解決のヒント/
「ライフオーガナイズ」で、思考の整理を。
働くママたちの最大の悩みは「時間がない」こと。でもそれって本当に時間がないの?「楽に心地よく暮らすための仕組みをつくり、モノだけでなく、時間や情報、暮らしや人生までをも整えていこう」というアメリカ発祥の整理術「ライフオーガナイズ」を、ライフオーガナイザーRの大津さんが教えてくれました。
働くママが陥りやすい罠? 優先順位がついていない
よく気がつく方にありがちなんですが、すべきこと、したいことに気が付いてしまって、それに溺れてしまうパターン。自分が大事にしたいことは何なのか?思考の整理をしてから、タスクを整理することで、1日スムーズに過ごせるようになります。
働くママが陥りやすい罠? 時間の見積もりが甘い
「もうこんな時間!」が口癖の方にありがちですが、何かに集中すると時間を忘れてしまうこともありますね。毎日のタスクはルーティン化する、タイマーを活用するといった工夫を。ただし、睡眠時間を削ることはおすすめしません。質のいい睡眠は質のいい暮らしの土台ですよ。
働くママが陥りやすい罠? 一人で抱え込んでしまう
自分を過信したり卑下することなく、現在の自分の力を正しく理解することは大切です。人の力を借りることに抵抗を感じるかもしれませんが、案外周りの人は役に立てる場面を待っていることもあります。自分にしか出来ないと思っていることも、モノの配置や手順を見える化することで、周りの人も出来るようにしていけます。
働くママが陥りやすい罠? 自分を癒したり、満たす時間がない
毎日すべきことに追われ、したいことを置き去りにしていると、段々自分が擦り減るような感覚に陥ります。自分を癒し、満たすことは、明日への投資です。5分、10分でできること、ワンコインで出来ること、ちょっと奮発してしたいこと・・・日頃から「したいことリスト」をストックしておけば、機会が訪れた時に逃さずすぐできますよ。
時には外の力を借りよう!働くママたちのお手伝いリスト
家事代行
シルバー人材センターは、高齢者が“働くことを通じて生きがいを得る”ことを目的とする、国の事業。実家が遠い、プロ並みでなくとも少しでも手を借りたい、という時に相談してみては。
◆人生の先輩の力を借りる!◆
シルバー人材センター
¥)料金の目安(福岡市シルバー人材センターの場合)
家事援助サービス880円/時間 2時間以内の定額単価2,090円(税込)
問)福岡県シルバー人材センター連合会 http://www.fscr.or.jp/
?利用者の声/Yさん(娘3歳)
月に2回、週末に数時間、居室と台所の掃除をお願いしていますが、70代とは思えないパワフルさで、てきぱきと作業をされます。※ 時間内に全て終わらない場合もありますが、そこはプロではないので割り切っています。親と同世代なので、親しみも感じ、福岡の母のような感じです。
※個人差があります
◆プロに頼みたい場合はこんなところも◆
シェヴ
¥)家事おまかせプラン/2時間コース5,500円、3時間コース7,000円(交通費・税込)
※他プランあり、詳細はHPを
問)TEL 092-406-8861 WEB http://www.chezvous-fukuoka.com/
ベアーズ
¥)1時間の単価(月2回・1回3時間~) 3,300円~
問)TEL 0120-552-445 WEB http://www.happy-bears.com/
子どもの一時預かり
時には自分だけの時間を持つことも、ママたちには必要。気の置けない友達とランチしたり、美容院にいって自分メンテナンスをしたり、何も考えずにカフェでぼーっとただ過ごすだけでも違うはず。市の施設や民間のサービスを上手に利用して。
福岡市 一時預かり事業
¥)料金目安 : 3歳未満→400~600円/時間 3歳以上→300~500円/時間
※利用施設での事前登録が必要
子)対象児童 : 福岡市内に住む未就学児
問)実施施設の連絡先や料金等は、福岡市ホームページ内「ふくおか子ども情報」でチェック
北九州市 一時預かり事業
¥)料金目安 : 3歳未満児→日額2,000円 3歳以上→日額1,500円
※利用施設での事前登録が必要
子)対象児童 : 保育所、認定こども園、地域型保育(家庭的保育・小規模保育など)及び幼稚園に在籍していない小学校就学前の子ども
問)実施施設連絡先や料金等は、北九州市ホームページ内「その他の保育サービス」でチェック
※太宰府市・春日市・八女市でも同様の一時預かり事業あり
アリスチャイルドケア
訪問保育、託児ルーム、産褥シッター(産後の家事代行)、集団保育
※詳細はサイトをチェック
〒)福岡市中央区黒門
問)TEL 092-737-7057 WEB http://www.alice-wakuwaku.com/babysitter/
?利用者の声/Mさん
子ども連れでは行きにくい場所に行くときや、どうしても1人の時間が欲しいときに利用しています。自分だけの時間を持てた後は、気持ちに余裕が持てるので、子どもや家族にも優しくできる気がします。