「有責配偶者」って何ですか?
夫婦関係が壊れる原因を作った側の配偶者のことを言います。有責配偶者からの離婚請求には、相当期間の別居がなくては認められにくくなっています。
「有責配偶者」とは、夫婦関係が壊れる原因を作った側の当事者のことを言います。
たとえば、夫が女性と不貞をしたり、あるいは妻にひどい暴力をふるったりし、そのことで夫婦関係が破綻の危機に瀕した場合、その夫婦関係を壊す原因をつくった夫は、法律上、「有責配偶者」と評価されます。
裁判所では、有責配偶者からの離婚の請求は、原則として認められない、とされています。
ただし、永久に離婚が認められないわけではなく、一定の場合は、離婚が認められるとされています。それが、次の3つに当てはまる場合とされています。
①別居が長期間に及んでいること
②夫婦の間に未成熟の子がいないこと
③離婚される側の配偶者が、離婚によって精神的・社会的・経済的に過酷な状況にならないこと
もっとも、これらは総合的に判断されるので、別居期間が何年と一律に決まっているわけではありません。同じ期間別居をしている夫婦であっても、離婚原因の内容や、別居中の生活費(婚姻費用)の支払い状況、慰謝料の提案や支払いがきちんとされているかどうかなども、裁判所の判断に影響します。
また、実際には有責配偶者であっても、その証拠がないために、裁判上は「有責配偶者」という評価がされない場合もあります。
もしも、あなたが、不貞をしたり、暴力をふるったりしてきた配偶者から、あなたが納得してもいないのに離婚請求をされたら、「そんな自分勝手なことが許されるなんておかしい」と思いますよね。
ですから、そういう時には、離婚請求に無理に応じる必要はありませんし、もしも別居することになったとしても、その間の生活費(婚姻費用)をきちんと支払ってもらうよう交渉したりして、まずはあなた自身の生活を第一に考えましょう。
そのうえで、そういう人とはもう別れた方がいいと思うのか、あるいは修復の可能性を探るのか、今後どうすることが、あなたにとって最もよいことなのかを、落ち着いて考えてください。
別居が長期間にわたると、あなたがまだ納得をしていなくても、いずれ、調停・裁判などの手続を経て、離婚が認められてしまう可能性もあります。
自分がいまどのような状況にあり、どのような証拠を持っていて、今後どうすることがよいのかを、長い目でみてよく考えてください。もしも迷うことがあれば、弁護士へも相談をしてみてください。
広島県廿日市高校、九州大学法学部卒。54期。2001年10月から当事務所に入所。毎年5月に憲法劇を上演する「ひまわり一座」の(自称)看板女優。
好きな食べ物はおにぎりとプリン。趣味は、温泉巡り、特技はタバコの煙を探知すること。
女性協同法律事務所
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女性協同法律事務所について
「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。