今回は、昨年から始まった「セルフメディケーション税制」についてご紹介します。確定申告の受付が始まっていますので、該当する方は、申告すれば減税になるかもしれませんよ・・・?
セルフメディケーション税制とは?
2017年1月から導入された”医療費控除の特例”のことです。
そもそもセルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)は定義しています。セルフメディケーション税制は、日頃から健康管理をし、市販薬で治せるものは治すということを推進するため、1~12月の1年間で対象の薬を12,000円以上購入すれば、所得税、住民税を減らすことができるかも!というものです。
これまでの医療費控除は、10万円超(※1)にならないと申告できないため、利用する機会が少ないですよね。でも12,000円超であれば、該当する方は増えるのではないでしょうか?
(※1)総所得200万円未満の方は、総所得金額×5%
セルフメディケーション税制の利用条件は、以下のとおりです。
対象の医薬品は「OTC医薬品」といい、医療用医薬品の有効成分が一般用に転用されたものです。約1,500種類あり、風邪、鼻炎等だけでなく、腰痛、水虫、肩こり等の薬でも、指定の成分が含まれていればOKです。薬局やドラックストアのほか、通信販売で購入したものも対象となります。
詳しくは厚生労働省のHP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
や店頭、薬のパッケージについているマーク等で確認できます。気付かず購入した場合でも、対象の医薬品はレシートに★等のマークが表示されていますので、確認してみましょう。
なお、申告できる上限は年間購入金額10万円までです。実際に支払った税込後の金額が対象となります。年間でどのくらい薬を購入するか分からないと思いますが、申告の際に必要になりますので、念のため薬のレシートはとっておいたほうがよいでしょう。
いくらお得?
具体例で計算してみましょう。
所得税だけでみると、夫の所得税率10%、妻の所得税率20%の家庭で、年間4万円の対象医薬品を購入した場合、所得税率の違いにより、以下の表のようになります。
夫婦共働きの場合、所得税率(同じ給与でも、扶養控除や生命保険料控除額等が少ないほうが所得税率は高くなる可能性があります)が高いほうで申告したほうが効果的です。申告は、家族で一番所得税率が高い方で行いましょう。
なお、住民税は税率が一律10%のため、上の例では
28,000円×10%=2,800円
となり、妻で申告した場合で所得税・住民税の減税額を合計すると、
8,400円(=5,600円+2,800円)
減税できたことになります。
また、セルフメディケーション税制を利用することにより、課税所得(※2)が減るので、公立保育園を利用されている方は、課税所得をもとに計算される保育料が減ることになるかもしれません。
(※2)所得税額を計算するために、所得税率をかける金額のこと。
所得税=課税所得×所得税の税率
医療費は患者の負担分、健康保険料などで賄われていますが、不足分は国や地方が負担しています。近年は高齢化の進展に伴い、増え続ける医療費が国や地方公共団体の財政を圧迫している状況です。日頃から健康管理し、軽症のうちに病院にかからず治すことにより、体の負担も軽くてすむうえ、増大し続ける医療費の適正化に貢献することにもなります。
財政健全化に貢献し、なおかつ税金を減らすこともできる、2021年購入分まで対象のお得な制度です。みなさんもセルフメディケーションを心がけ、うまく活用してみてはいかがでしょうか・・?
(注)文中、意見に関する部分は担当者の私見です。
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