インタビュー

ジョイ・ミチコ・サクライさん/ゴールを明確にすること、早く決断すること、そして、完ぺきにならないこと。

ゴールを明確にすること、早く決断すること、
そして、完ぺきにならないこと。

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「外交官」。どこか近づきがたく、遠くから眺めているだけ、という人も多い職業の一つではないだろうか。そんな職業とサクライ氏が出会ったのは、大学卒業後、沖縄県で国際交流員として勤務していた時。来日したクリントン大統領(当時)を支える米国務省外交スタッフの仕事ぶりに目を見張った。さらに彼女に強烈なインスピレーションを与えたのが、その中の一人の外交官の存在だ。「外交官の試験を受けたらどうですか」と親切にアドバイスしてくれた。彼女はアフリカ系アメリカ人の女性領事だった。
「外交官試験は試験の成績が全て。出身大学や人種などは全く関係ありません。彼女の親身でポジティブな言葉が勇気になって、私も外交官になれる! と思えたのです」

見事、ゴールを突破したサクライ氏。在福岡アメリカ領事館には、2016年までに24人の米国務省外交官が首席領事を務めているが、日系人女性の首席領事はサクライ氏が初めてである。

福岡でのミッション

サクライ氏は同領事館のミッションを大きく3つ掲げている。一つ目は、日米同盟の強化。管内には米軍佐世保基地(長崎)と岩国基地(山口)があり、日米相互理解と協力促進のためには地元の人たちとの意見交換が重要だと考えている。二つ目は、日米のビジネス交流や貿易の促進。着任後、さっそく福岡の温州ミカンの米国輸出を実現した。そして、3つ目が草の根交流を通し、米国をもっと身近に感じてもらうことだ。福岡の二つの大学で米国の歴史や今を伝える外交官講義シリーズを実施。学生とのより深い交流が実現したと感じている。

「また、米国には10ヵ月間でMBAも取れるビジネスプログラムがあります。学生時代に大学院に行けなかった人は、セカンドチャンスで、家族を連れて留学という選択もお勧めです」

「私のビジネスパーソンとしての成長も、リーダーシップと切り離せません」とサクライ氏。自分を変えられた、と感じたのがまさに27歳の頃だった。

リーダーシップのあり方を学び、磨いた20代

女性の社会進出支援も長年取り組んできたテーマ。東京の大使館勤務の時代から九州を含む全国で女性リーダー育成プログラムの企画・運営に取り組んできた。高い目的意識を持った日本の女子大学生と、日本の中堅・若手女性リーダーがペアを組み、次世代の日本女性リーダーのネットワーク作りを奨励する10ヵ月にわたるプログラムだ。14年には福岡と那覇にも活動が拡大した。これはサクライ氏がメットライフ生命保険の上層部にアイディアを持ち込み、直談判して実現したものだ。

「いつも最終目標を頭に入れて、それに向かって行動しているかを確認するようになりました。それまではどこに行くのかがわかっていないから、時間がどのくらい残っているかもわかりませんでした。決断力も必要です。物事を決定するのに時間をかけてしまったら、他の人を待たせることになってしまいます。早く決断をすれば次に進めますよね。そして、ベストを尽くして、進むこと。すべてにおいて完璧である必要はない、だから小さなミスをしても自分を責めないでほしい、ということ。これはワークライフバランスにおいていえることで、子どもがいようといまいと、完ぺきでない自分を許すこと、また許される環境が大切だと思います」

そう話すサクライ氏自身、ハワイの穏やかな空気をそのまま纏ったような広やかな女性。尊敬する人物の一人であるハワイ州選出の日系上院議員ダニエル・イノウエ氏(故人)に人としてあるべき姿を教えられたという。

「大学時代の夏休み、氏の事務所で就業体験をしました。米政界の重鎮として長く活躍し、地位も名誉もある方ですが、誰にも丁寧に話しかけ、人を大切にする方でした。そして、イノウエ氏の祖父の出身地は福岡県八女市だったのです。福岡には本当に深い縁を感じます。その力も借りて、首席領事としてのゴールをめざしていきます」

在福岡米国領事館首席領事
ジョイ・ミチコ・サクライさん

米ハワイ州ワヒアワ出身の日系アメリカ人。父親が東京出身で、母方の曽祖父母は熊本と山口にルーツがある。レイクフォレスト大(イリノイ州)卒業後、1998~2000年、沖縄県国際交流員として活動。2003年、米国務省入り。2010年~13年、在日米大使館(東京)で文化交流担当官補。その後、インドネシアのジャカルタに二度にわたり赴任し、2016年8月から現職。家族は外交官の夫と長男、長女。

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