心の中で 「6か月 半年 抗がん剤治療を頑張れば 仕事に戻れる! 」
それは 私の明確な目標になった
私は昔から 目標というニンジンをぶら下げられると 俄然 力が出る方だった
しかし 現実は 半年生きているという保証は何もなかった
特に おなかの中を見ている医師たちは 決して私に楽観するようなことは口にしないし・・・
でも 絶望させるような言葉も言わなかった
私自身 ネット等で調べたにわか知識で相当厳しい状況であることは理解していた
命が年単位でない事も・・・
それでも私は半年ぐらいで自分が死んでいるなんて まったくイメージできないどころか
なぜか死ぬ気がしなかった ・・・ 理由はないけど ・・・ 死なないと思っていた
ある日 医師に
「先生 私は崖っぷちなんですよね?」って尋ねてみたら
医師は
「崖っぷちじゃないよ! もう崖の下に落ちている状態。だから這い上がるしかないよ!」
!!驚いた!! 思いがけない言葉だった 崖っぷちより悪い状況があるなんて・・・
私は最悪な表現をしたつもりだったのに それ以上だなんて ・・・
その医師は 入院時 泣いていた私に「一緒に頑張りましょう!」と力強く声をかけてくれた
いつも明るくて笑顔を絶やさない 心の強い女性だ そして私より20歳も若い
言葉通り どんなに忙しくても 必ず毎日私を激励に来てくれる彼女に対して
私は絶大なる信頼を寄せていたし 精神的にかなり頼りにしていた
そんな医師からの言葉 大変厳しいものだったけど 本気の激励 が心に響いた
以心伝心だと思う
その思い切った言葉に 私に対する真剣な心がとても伝わってきたのだ
私はドキッとしたけど「腹が据わった」 もうオロオロしなかった
その日の手帳に
スキルスは本当に手強いがん そしてしつこい奴。気を緩めてはダメ!との事
――― 3か月や半年で死んでたまるもんですか!
絶対やっつけてやる!負けない!!―――
と書いている
自分の強気にも 少し驚かされる
でもその強気な心は その時も今も 多くの人の激励に支えられながら生まれてきたもので
とても ひとりの力で築けるものじゃない
身体は辛くて弱音は出るけど
心は何を告げられても もう「絶望」の2字は浮かばない 浮かばせない 無視する
心が闇を見ないように 強く前を向くように ・・・
私はその医師に 医師と患者というだけではなく
この病気をやっつける為 共に戦う同志 のように感じている
だから 何だか偶然に出会った気がしない この出会いは きっと必然だったと 今でも思う
それは 先生もお父様をこの病気で亡くされていて
スキルス胃がんは先生にとっても 「敵」 だったからだ
――― がんと闘う ――― 本人・家族・医師・・・etc どの立場でも本当に厳しい
心が負けない環境に包まれ守られていることに とても感謝している
☆いっこ☆