言葉にする勇気を持つ
1999年に制定された「男女共同参画社会基本法」について知ったのは10年前、40歳のとき。日本の女性の平均寿命は87.14歳。ちょうど人生の折り返し地点で「男女は平等である」ことを深く理解できたことは、その後の生き方に大きく影響していきました。
「男女共同参画」を学ぶ前と今を比べてみると、一番変化したと感じることは、自分の考えを言葉にして伝えることができるようになったことです。特に男性と会話をするときの意識が大きく変わりました。
以前は、男性と話すとき、自分が女性であることを意識すると、本音で話すことができませんでした。女性はおとなしく控えめでいなければと、自分を抑え考えていることを言葉にできなくなっていました。伝えたいこと、思っていることを、言葉にすることを我慢しているという感覚でした。
なぜそうだったのか。きっと両親の関係を見ていて、そうしなければならないと思い込んでいたから。母はいつも父に怒鳴られていました。そんな父に対して反抗的な態度をとったり自分の意見を言おうとすると「おなごは黙っとけ!」と叱られ、女性は発言することを我慢しなければならないと思ってしまうようになっていたのです。
40歳から44歳の5年間在職していた「福岡県男女共同参画センターあすばる」という環境で、社会の第一線で活躍している多くの女性が、相手が男性であっても自分の意見を堂々と伝えられる場面をたくさん目にしてきました。「私も自分に自信を持って堂々と発言できるようになりたい」そう思ったのです。
また、企画運営という仕事を通して、講座の内容やテーマ、講師など、自分で考えて形にすることを実践してきました。また、思っていること考えていることを人前で発言する場を数多く経験させていただきました。それに、館長や上司、諸先輩から
「なぜその企画が必要なのか?」
「なぜその講師を選んだのか?」
「なぜそう思うのか?」
と意見を求められました。
「そっか。仕事を進めていくにあたって、女性としてではなく「私」という個としての考え方、意見を言葉にして伝えることが重要なんだ」
職場において、発言権があること、発言しても否定されずその意見を尊重してくれる環境があること、そういう組織の中で仕事をしてきたから自分を卑下することなく成長することができたのです。
女性が社会で活躍していくということは、自分の考えを持つということ、それを言葉にして相手に伝えていくことが必要なのです。
会社や組織において、上司は男性の場合が多いのが現実です。女性を下に見ている男性はおそらく少なくはありません。女性だからと遠慮をせずに、相手が男性の上司であっても、どんな立場であっても「対等である」と意識し、自分の考えを勇気を持って伝えていくことが必要なのです。
家庭においては、夫に養ってもらっている自分を弱い立場だと思わなくていいのです。社会を家族を構成する一人であること、そのことを認識することができたから、「私はこうありたい、私はこうしたい」と、我慢せずに本当の気持ちを夫に伝えられました。言葉に出して伝えてみると、不思議と次の新しいことにチャレンジできるようになっていったのです。
人はすべて対等であること
これからの人生でいつも心に留めておきたい言葉です。
それからもう一つ大切にしている言葉を紹介します。
あすばるで出会い、今は亡き大好きだった尊敬する大先輩から教えていただいた言葉です。
自分らしく
怯むことなく
恐れることなく
こだわることなく
輝いて生きる
★Photo Tomo ★
写真はすべて天草で撮影。
天気に恵まれて、真っ青な空と茜色の夕陽が最高に綺麗な1日でした。
前回までのコラムはこちらから↓
専業主婦からのRestart 小さな一歩が未来をつくる