廣實 郁郎(ひろさね いくろう)さん
九州経済産業局長
大阪府出身。在学中に国家公務員試験、司法試験に合格。東京大学法学部卒業後、通商産業省へ入省。最高裁判所司法研修所を経て、平成5年にドイツ連邦共和国へ留学。帰国後愛媛県警警務部長、資源エネルギー庁電力・ガス・事業部ガス市場整備課長、特許庁総務課長等を経て平成24年4月より現職。
廣實さんへ3つの質問
Q. この仕事に向いている人は?
A. 誰でも向いていると思いますよ。
Q. あなたのバイブルは?
A. 最近はiPadで情報を得ることが多くなりました。この前はAmazonで『坊ちゃん』をダウンロードして懐かしく読みました。
Q. あなたのメンターは?
A. 初代特許庁長官 高橋是清(第20代内閣総理大臣)。「こだわらない」「楽しい」生き方をした人。生まれは江戸時代の彼が、何とも軽やかに生きてきた様はとても共感したし、私もそうありたい。
業績回復のカギは女性と経営者にアリ。
今こそ、女性活躍意識改革を。
昨年末、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が、「女性は日本の潜在力。働く女性が増えれば、日本経済はよくなる」と発言したことは記憶に新しい。今や、世界経済の安定に欠かせない日本の安定成長を求める世界各国から、日本の女性活躍が期待されている。
その一方で、日本の女性労働率の現実は未だにM字曲線を描き、出産を機に仕事を辞めていく女性たちが後を絶たない。九州圏域の経済発展を担う九州経済産業局でも、女性の人材育成は大きな課題の一つである。今回は女性の活躍推進について九州経済産業局長をたずねた。「九州経済産業局も、まだまだこれからです。職員230人中、女性が46人と約20%と少ないですよね。半々になる位にならないと。30、40代の女性が辞めることもあるので、長期的な人材育成の重要性を私たちも実感しています」と気さくに応えてくれた。
長時間労働なのに生産性が低い日本。
女性が社会でさらに活躍するには、いくつかの問題を乗り越えていく必要があるという。「まずは労働環境の整備。長時間残業が当たり前の職場では続けることが困難になります」。日本は、時間あたりの労働生産性がOECD加盟34カ国中19位(労働生産性の国際比較 2011年版)と、労働時間に対して生産性がよくない。いかに短時間で生産性を上げられるかがポイントだ。「男性自身も早く帰れるようになると家での時間が増え、家事をしたり子育てに関わったりと女性の負担が軽減し、仕事が続けやすくなるかもしれません」。次の課題は、ポジティブアクションとして女性管理職を増やしていくこと。「ただ増やすだけでなく、他の企業で活躍する管理職同士が交流する場も求められています」。
女性活用は経済発展と直結している。
取材中特に印象的だったのが次の言葉。「経営者の中には、女性活用の課題は女性自身にあると思っていて、経営者自身にもあると気づいていない人が多いです」。育休復帰がスムーズになったり、職場環境を整えたりすることで、女性が辞めなくなったという事例は数多い。「経営者の意識がまず変わり、職場の風土も変わっていきます。こうして女性たちが活躍することで、労働力もあがり企業の業績も安定する。私たちは九州経済がもっと発展し、開かれたものになるよう取り組んでいきます」。
今年、女性たちの再就職支援インターンシップを新たに始めた九州経済産業局。これからも企業とともに歩み、支えて地元経済の発展に寄与していく。